第1原発事故:放射線測定に国の関与強化…データ消去で
毎日新聞 2013年03月09日 15時00分
福島県が東京電力福島第1原発事故の緊急時放射線モニタリングの観測データを消去した問題で、モニタリングのあり方を検討している原子力規制委員会は、観測実施やデータ管理で国の関与を強める改善策を決めた。
11日の同委の専門家会合で具体的な内容が報告され、近く原子力災害対策指針を改定する。規制委は「福島でのモニタリングが住民避難に役立たなかった反省がある」としている。
規制委によると▽自治体のモニタリングに最初から国が関与▽観測データも国が一元的に管理するシステムを構築−−が柱で、国の役割範囲の拡大と責任の明確化を図る。
事故では、発生から数日間は県が東電などの協力で緊急時モニタリングを実施した。だが、放射線量が上昇し始めた11年3月12日午前5時ごろ、大熊町の避難所に設置した可搬型測定器の観測データは、県が消去した。国(文部科学省)も参加した観測は3月13日午前8時台以降で、観測データの管理も3月中旬までは原子力安全・保安院(当時)が、それ以降は文科省が担当しバラバラだった。
原子力安全委(現・規制委)が定めた現行指針では、国・自治体・電力事業者が協力して緊急時モニタリングを実施するが、役割分担は決まっていない。そのあいまいさが観測やデータ活用などで混乱を招いたと規制委は判断し、昨年12月から専門家会合で、改善策を探ってきた。規制委によると、これまでは国が専門的な情報を提供する指導役となり、観測の実施は自治体や事業者が担当というのが実態だった。
規制委監視情報課は「放射線モニタリングの観測データは公共財産だ。ただ、大震災のような複合災害では自治体が壊滅的な被害を受けて機能不全に陥る。国が役割を強めるのはそのためだ」としている。【栗田慎一、神保圭作】