北朝鮮の労働新聞は6日、「核攻撃でソウルとワシントンを火の海にする」「まだ世に知られていない北朝鮮式の精密核攻撃手段で対抗する」などとする記事を掲載した。同紙が指す「精密核攻撃手段」について、韓国軍消息筋は「小型核弾頭を使った電磁パルス(EMP)弾や移動式発射台から発射が可能な大陸間弾道ミサイル(ICBM)の可能性がある」と指摘した。
■電磁パルス弾開発か
韓国の国策シンクタンクの専門家は「北朝鮮は昨年12月、長距離ロケット『銀河3号』の打ち上げ成功で、米国本土まで達する射程距離1万キロ以上のICBMを確保したと推定される。そこに核爆発を応用した『スーパー電磁パルス弾頭』を載せ、飛ばす可能性がある」と述べた。電磁パルス弾には、核爆発で放出される強力な電磁波を利用する核電磁パルス弾と核爆発なしで電磁波を発生させる非核電磁パルス弾の2種類がある。専門家は北朝鮮がいずれの電磁パルス弾も開発を進めてきたとみている。北朝鮮はこれまで電磁パルス弾について公式に言及したことはない。
米中央情報局(CIA)の核専門家だったピーター・プライ博士は2011年、米国ボイス・オブ・アメリカ(VOA)のインタビューで「電磁パルス弾を開発したロシアの科学者が、設計情報が北朝鮮に流出したと語った。04年にロシアの科学者は北朝鮮が数年以内にスーパー電磁パルス爆弾を開発すると見方を示した」と語っている、プライ博士は06年に北朝鮮が行った核実験の威力が予想水準を下回ったことについても「多くの人は核実験が失敗したと誤った判断を下した。非常に小さい核爆発力がスーパー電磁パルス弾の特徴だ」と指摘した。
韓国国防部(省に相当)傘下の韓国国防研究院関係者は09年に国会で「北朝鮮が小型核弾頭を電磁パルス弾の形態で活用する可能性がある。東海(日本海)上空で20キロトンの核兵器が爆発すれば、韓半島全域の電子装置搭載兵器を無力化することが可能だ」と答弁した。
専門家は電力網が発達し、電子装置が多い韓国や米国の上空で電磁パルス弾が爆発すれば、深刻な被害が出かねないと予想している。現在韓国軍の主な指揮施設は電磁パルス弾による攻撃には非常に弱い状態だ。韓国軍当局は北朝鮮の電磁パルス弾攻撃に備えるため、大統領と主要政府関係者が戦時に指揮を執る「B-1バンカー」と陸海空軍本部がある「鶏竜台バンカー」(忠清南道)などに2015年までに電磁パルス弾防護施設を建設する事業を進めている。