■成功には実業的センスが不可欠
デザイナー/ ブランド名 | 系統 | 出身地 |
---|---|---|
1980年代 | ||
FOREVER21 | 韓国系 | カリフォルニア |
80年代後半から90年代 | ||
ビビアン・タム | 香港 | 香港 |
アナ・スイ | 中国系 | ミシガン |
ベラ・ワン | 中国系 | ニューヨーク |
2000年代 | ||
フィリップ・リム | 中国系 | カリフォルニア |
デレク・ラム | 中国系 | サンフランシスコ |
タクーン | タイ系 | ネブラスカ |
ジェイソン・ウー | 台湾・カナダ | 台北 |
アレキサンダー・ワン (バレンシアガ) | 台湾系 | サンフランシスコ |
フンベルト・レオン (オープニングレセモニー・KENZO) | チベット系 | カリフォルニア |
キャロル・リム (オープニングレセモニー・KENZO) | 韓国系 | カリフォルニア |
ドゥー・リー | 韓国系 | ニュージャージー |
いくらモノがよくても、一定の量を売り上げないとブランドとしては定着しない。駆け出しのデザイナーが“メジャー”になるにはそうした「量の壁」があるが、母親が中国にニット工場を持っていたワンは“ハズレ”を恐れずに、作っては売り出すことができた。
中国は世界中のブランドが生産拠点を置く国。ニットからスタートしたワンが他の素材に手を広げるたびに、新たな工場が必要となったが、母親が中国人脈ですぐに探してきてくれた。
だからこそ「思わずうなる価格設定」(ニューヨーク在住のファッションジャーナリストの森光世さん)もできるのか。高級品を扱いつつ、バッグは革製でも10万円以下、80ドルでTシャツが買える「T by Alexsander Wang」も持つ。安くはないが、それほど無理しなくても手が届く価格に設定できるのは強い。
■親族の結束が武器
ワンの成功について石井さんは「感覚が若い女性の気分とマッチしたこと」を挙げるが、その才能と同じくらい大きな要因として、台湾からサンフランシスコへ移民した母親ら親族の結束を重視する。
「アーティストとデザイナーが決定的に違うのは、ファッションは産業だということ。経営ができる人がいないと成功できない」。そのビジネス部門にワンは心強い後ろ盾を得ていたわけだ。
高級路線でブランドを築いたジェイソン・ウーも、資金力も経営能力もある盤石の親がいる。ウーの漢名は呉季剛で、台湾生まれ。親が台湾で貿易会社を営み、ウーをカナダ・バンクーバーの全寮制学校に送り込んだ。憂いなく才能を生かせる環境があった。
ワンやウーと違って、苦労の末にはい上がったというシンデレラ組も少なくないが、アジア系ならではのコミュニティーの強さを生かしている点では共通しているようだ。
セレクトショップ「オープニングセレモニー」の共同創立者で、高田賢三が始めた「KENZO」のデザイナーを務めている韓国系のキャロル・リムとチベット系のフンベルト・レオンの2人は、バレンシアガのプレスをしている中華系の共通の友人によって、カルフォルニア大バークレー校で引き合わせられた。
アジア系デザイナーで初めてフランスのトップブランド「バレンシアガ」に登用されたアレキサンダー・ワン(29)。その才能を見いだしたのは日本出身の“スカウト”……。アジア系がファッションシーンのトップラ…続き (3/9)
生物学から医学、民俗学まで修める旺盛な好奇心で、人類史に新たな視点を提供してきたピュリツァー賞受賞者、ジャレド・ダイアモンドさん(75)は自身の全盛期は40代でも50代でもなく「70歳のときだった」…続き (3/1)
各種サービスの説明をご覧ください。