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サラリーマン節税に危うさも

2月15日 19時25分

高橋広行記者

今月18日から所得税の確定申告の受け付けが始まります。
「サラリーマンは、給料から天引きされているので関係ない」と思われがちですが、実は今、一部のサラリーマンの間で、ある節税の方法が注目されています。
この手法で確定申告をすると、数十万円の税金が戻ってくることもあるといいます。
しかし、不正と取られかねない危うさも指摘されています。
社会部の高橋広行記者が解説します。

今注目の節税法とは

一部のサラリーマンの間で注目されている節税の方法とは、どのようなものなのでしょうか。
都内の書店には、そうした手法などを解説した本が並び、売れ行きも好調だといいます。
ポイントとしているのは、「副業」による経費の計上です。
サラリーマンの場合、基礎控除のほか配偶者控除などが認められていますが、自営業者に認められているような「経費」は利用しづらくなっています。
そこで、「副業」を行い、自宅の家賃や光熱費などさまざまな経費を計上すれば、税金が減らせるという理屈です。

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「二足のわらじ」で節税

神奈川県に住む40代の男性は、副業を実践している1人です。
この男性は、ふだんは清掃会社の管理職として働いていますが、休みの日には飲食店を対象にした経営コンサルタントをしています。
コンサルタントを始めて3年で、顧客はまだ2件。
年間の売り上げは10万円ほどにとどまっています。
一方、経費としては、自宅の家賃や光熱費の一部、携帯電話代、営業の際の交通費などを計上しています。
副業をしていなくてもかかる費用も含まれていますが、結果として100万円以上の赤字になり、去年は、所得税16万円が戻ってきました。
さらに住民税も10万円以上減るため、30万円近い節税になっています。
この男性の場合、戻ってきた税金は副業の営業活動などに充てているため、節税が目的というわけではありませんが、「事業が軌道に乗るまでは、お金が出ていくばかりだと思っていたので助かっている」と話していました。

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悪質な不正のケースも

副業の経費は、どこまで認められるのか。
税理士の多くは、業務に関係する交通費や飲食費のほか、自宅を事務所にすれば家賃や光熱費の一部を経費にしても問題はないとしています。
しかし、友達どうしでの食事代や家族旅行の費用などプライベートの支出は、当然、経費に計上することはできません。
東京国税局元幹部の中野晶博税理士は、「サラリーマンに限ったことではないが、本当に業務に関係した支出なのか、経費の計上では公私の区別をしっかりとつけないといけない」と指摘しています。
さらに、ほとんど売り上げがないまま、毎年のように赤字申告を続けていれば、税務署が「業務に実態がない」と判断する場合もあるといいます。

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国税庁によりますと、「副業で赤字が出た」として税金の還付を受けたサラリーマンの中には、架空の経費を計上したり、そもそも副業を行っていなかったりする悪質なケースもあるということです。
15日には、サラリーマンに不正な申告をするよう指南し、所得税合わせて約2500万円を脱税させたとして、東京・新宿区の経営コンサルティング会社の代表が所得税法違反の疑いで東京地検特捜部に逮捕されました。
不正な申告をしたサラリーマンに対しても、重加算税を含む追徴課税の処分が行われるということで、国税庁は「金額の大小に関わらず、不正が行われないよう監視を徹底したい」としています。
サラリーマンの平均年収は、年々減ってきています。
こうしたなか、副業を始めるサラリーマンも数多くいますが、不正と見なされないよう適正な申告に努めてもらいたいと思います。

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