Bitter Choco Liqueur
/ ビターチョコリキュール
純白天使ランジェリーエンジェル
第五話
街はずれにある、真夜中の教会。黒いランジェリーに身を包んだ、私と麻衣は教会の門の前にいた。私は“黒の杯”と裕くんを、麻衣は深淵の闇のような漆黒のベビードールに包まれた花梨を抱えている。花梨と裕くんの姉弟は、二人とも意識を失っている。ただ花梨は、時折その身体を弱々しく震わせ、小さな喘ぎ声をあげていた。
「うふふ……花梨、やっと一緒になれたね……」
麻衣はその様を見て、愛おしそうに花梨に頬ずりする。茫然とその姿を見ていた私のほうを、彼女は笑いながら振り向いた。
「さあ、絵美理。帰りましょう? 花梨と弟くんも連れてね」
「あぁ……はい……」
親友である花梨を裏切ってしまった悲しみを感じる間もなく、麻衣は私に命令を下す。私と麻衣は、堕ちたランジェリーの力で、高く跳躍し、屋根の上を駆けて行った。
麻衣の言っていた帰る場所とは、私の学生寮ではなく、先日、私を連れ去ったオフィス街のビルのことだった。私と麻衣は、他のビルの上を飛び移り、屋上から中へと入る。花梨を抱きかかえた麻衣は、慣れた様子でエレベーターへと歩をすすめる。私も裕くんを抱えてその後に従った。麻衣は、エレベーターに乗り、廊下を抜けて、突きあたりの扉を開く。すると中から、ムワッと濃い淫気があふれだす。やたらに広い部屋では、全裸の男女が常軌を逸した様子でお互いを求め続けている。そこは、昨夜、私が犯されたあの部屋だった。
「花梨と弟くんは、そこらへんに置いておけばいいわ」
「……うん」
麻衣は、床に敷かれていたマットの上に花梨を寝かしつける。私も、それに従い、花梨のすぐ隣で裕くんを横にした。
「さぁて、一仕事終わった後のお楽しみといきましょう?」
麻衣は、微笑みながら、部屋の奥に歩もうとする。麻衣は、どうしたらいいのかわからなくなって、立ちすくむだけの私に気がついて、振り向いた。
「絵美理は、そこの彼のお相手でもすればいいんじゃない?」
麻衣が指さした先には、マットの上に座り込み、所在なさげにしている男子の姿があった。私が助けようとして、一緒に麻衣によって連れ去られて、私の処女を捧げることになった……あの彼だった。彼のペニスは、硬くそそり立ち、切なげにひくひくと震えていた。
「あぁ……」
私は、ふらふらと彼のもとに歩み寄っていた。戸惑う彼の顔を、私の胸元に抱きしめる。彼は、ブラジャー越しに私の乳首を吸い始め、優しく甘噛みしてきた。私は、小さく喘ぎながら、部屋の様子を見回した。
「うふふ、そうよ。いいわぁ」
満足げな声を漏らす麻衣が目に入った。麻衣は、安楽椅子に身を預け、周囲に全裸の男女をはべらせていた。男性たちは、麻衣を取り囲むように立ちながら、その眼前にそそり立った肉棒を差し出している。女性たちは、慈しむように麻衣の手先や足先を舌でなめ清めている。さらに、麻衣の股間には、まだ幼さの残る少女が顔を沈めていた。幼い少女は、連れ去られてきたばかりなのか、まだな不慣れな感じで、それでも一心不乱に、漆黒のショーツに覆われた麻衣の秘唇に舌を這わせていた。
「うふふ……」
麻衣は、妖艶にほほ笑むと、目の前に差し出された無数のペニスから一本を選ぶ。そそりたった剛直をツーと指先で撫でると、それだけで男は全身を震わせ、ドプッと多量の精液が噴出する。白濁した粘液を、麻衣はその顔面で受け止める。
「あぁ、イイ……」
麻衣は、感嘆のため息をこぼしていた。麻衣は、さらに別のペニスに指を這わせていく。蕩けた笑みを浮かべる麻衣の顔に、欲望に白濁したシャワーが降り注いでいった。
「裕! 裕ぅ!!」
「ふあっ! お姉ちゃ……!!」
叫び声のような、激しい嬌声が聞こえてくる。私は、そちらのほうを緩慢な動きで振り向く。そこで、絡みあっていたのは……花梨と裕の姉弟だった。ついさっきまで、童顔の花梨を、お人形のように可愛らしく包み込んでいた純白のベビードール。それは、いまや漆黒に染まり、巻きつく黒いイバラのようになって、花梨の姿を妖しげな淫婦に染め上げていた。
「お姉ちゃん……助けてッ!」
「ダメよ……許さないわ、裕!!」
花梨は、裕くんの身体を組み伏せ、馬乗りになる。淫気にあてられたせいか、裕くんの幼いペニスは、小さいながらも力強く勃起していた。
「裕、私知っているのよ……時々、私がお風呂に入っているのを覗いていたでしょう?」
「あ、あぁ……」
「私の下着を盗みだしたのも……知っていたんだからッ! 一体何に使っていたのかしら!?」
「お姉ちゃん……ごめんなさぁい……」
「ひょっとして、お姉ちゃんの裸を想像しながら、オナニーしていたんじゃないの!?」
花梨は、泣きじゃくる裕くんを言葉でなぶる。花梨は、ぬめるような黒色に姿を変えたショーツに手をかけると、脱ぎ下ろした。
「それなのに……絵美理ちゃんと、初体験しちゃうなんて……許せないわ、裕! 裕の童貞は、本当は私が欲しかったんだから!!」
花梨は、裕くんのペニスに狙いを定めると、勢いよく腰をおろした。
(……花梨っ!!)
狂乱したように、姉妹の禁じられた交わりに突き進む花梨。私は、花梨に対して心の中で叫び声をあげていた。
「あら、花梨ったら。堕ちた勢いで、タガが外れちゃったみたいね」
その様を見ていたらしい麻衣が、楽しそうな声を上げる。党の花梨は、そんなことは気にも求めず、裕くんの上で激しく腰を振りはじめた。マットの上には、処女を喪失した証である赤い小さな点が散らばっていた。
「裕のこと、たくさん犯してあげる……裕の身体を、お姉ちゃん専用にしてあげるわ!!」
「ふぁ……あぁッ!!」
裕くんが、体を震わせた。それでも、花梨が腰の動きを緩めないため、裕くんの身体の震えも止まらない。しばらくして、花梨の秘所から、力を失ったペニスがずるりと抜け落ちる。あの様子だと、一度に二、三回はイッてしまっているかも知れない。
「あら? もう、終わりかしら。そんなことはないわよね、裕!!」
息も絶え絶えの裕くん。花梨は、今度はその頭にまたがり腰をおろした。
「裕、私のアソコを吸いなさい? お姉ちゃんと裕のミックスジュースを飲ませてあげる……」
「ふぁい……」
裕くんは、焦点の合わない眼で頷く。姉である花梨の命令に従い、ズルズルと、姉の秘部から、粘液の混合物を吸いだしていく。その動きに呼応するように、裕くんのペニスは徐々に力を取り戻し、立ち上っていく。
「ほらあ、元気になってきたぁ……」
花梨は、うっとりした声をあげる。そのまま身を乗り出すと、裕くんのペニスをパクリと口に含み、ジュルジュルと舐めまわしはじめた。姉弟は、わき目もふらずにお互いの性器に夢中になっていた。
(花梨でも、あんなになっちゃうんだ……)
私は、変わりはてた花梨の姿を呆然と見つめていた。しっかり者で、私のことをいつも支えてくれた親友が、淫気の虜に堕ちた。そのことは、私にとって十二分な絶望感だった。ただ、今の私は、その絶望を異様に甘味に感じていた。
「あの……」
ここではない、どこかを見つめていた私に声がかけられた。その声の持ち主は、私の胸の中で、ブラ越しの乳首を優しく舐めまわしていた彼だった。
「あ……何……?」
「名前……まだ、聞いてなかったですよね……」
こんな状況で、バカ正直な彼の質問に、なぜか私は少しだけホッとした。
「あ、そうだったね……小宮絵美理よ……」
「小宮さん……」
「絵美理でいいよ……あなたの名前は?」
「……林謙一です。絵美理さん……」
私は、少しだけ笑った。謙一くんは、困惑した顔をしていた。
「俺、絵美理さんに謝らなきゃいけないと思って……」
「え……なんで?」
「だって、俺のせいで……こんなことに……」
「何言っているのよ……それ言ったら、お互いさまじゃない……」
私は、謙一くんの顔をぎゅっと抱きしめる。
「ねえ。私、どうせするなら、謙一くんとしたい……いいかな?」
「はい……俺も、絵美理さんとが、いいです……」
私と謙一くんは、膝立ちになった。左手でショーツをずらし、右手で彼のペニスを握り、私の中へと案内する。
「うっ……はぁ……絵美理さんの中、すごく、イイです……」
「私も……謙一くんのが、とってもキモチイイ……」
私たちは、膝立ちのまま身体をくねらせた。謙一くんの、淫気に翻弄されながらも、私を気づかう動きは、それゆえに、私の奥深いところまで快楽を送り届ける。
「イイよ……謙一くんが、一番イイよぉ……」
絶望と淫欲に困惑する私は、謙一くんの優しさの中に逃避した。
「あらあら、ずいぶんとお熱いわね」
「もぉ、絵美理ちゃんったら、ずるいわ」
お互いの体温と鼓動を感じる私たちに声がかけられた。謙一くんの身体を抱きすくめたまま、私が振り向くと、そこには、麻衣と花梨と裕くんの姿があった。麻衣は、その顔と髪に白濁した精液がこびりついている。花梨は、そのふとももに愛液とも精液とも唾液ともつかない粘液の筋を何本も伸ばしている。そして、裕くんは、顔を真っ赤に上気させ、虚ろな表情をしながら、荒く息をついていた。股間のペニスも、いつの間にか一回り大きくなってそそり立っているように見える。
「ねえ、絵美理ちゃん……人の弟の童貞を奪っておいて、自分は彼氏とラブラブなの?」
「……花梨……」
花梨は、どこか、からかうような口調で、私を責めた。
「なんか、許せないな……ねえ、裕。絵美理ちゃんの、ジャマをしちゃえ!!」
「うん……お姉ちゃん……」
「花梨、裕くん……待って!!」
私の静止もむなしく、花梨に促された裕くんは膨らんだペニスを突き出してきた。もう剛直といってもさしつかえない裕くんのペニスは、躊躇なく私の後ろの穴をえぐる。
「ひぃぁっ!!」
私は軽くイッてしまった。本来、排泄のための器官であるはずの場所も、淫気に侵された私の身体は、至上の悦楽を持って、ペニスを迎え入れてしまう。
「うふふ。絵美理、これで、アナルバージンもなくなっちゃったわね。もっと楽しめるように、私も手伝ってあげるわ」
淫蕩な声で囁いたのは、麻衣だった。麻衣は、謙一くんの背後に回ると、四つん這いになる。
「女の子だけじゃなくて、男の子もアナルで感じられるのよ?」
「あ……うぅ……舌が、尻の中に、入ってくるぅ……」
麻衣は、謙一くんのお尻に顔をうずめ、その舌で彼の直腸をえぐっているらしい。麻衣の舌の動きにあわせ、謙一くんのペニスは、私の中で、ますます固く、大きくなっていく。
「さあ、裕。絵美理ちゃんを、もっと激しく犯しなさい!!」
「あう……はぁい、お姉ちゃん」
「あぁっ! お願い、もっとゆっくり……ッ!!」
花梨に促されるままに、裕くんは激しく腰を打ちつけてきた。その動きに合わせて、私も謙一くんに対して激しく腰を振る形になってしまう。いつの間にか、私たちは、獣のように激しくお互いの身体を打ちつけながら、犯しあっていた。
「あぁ、ダメッ! 私、飛んじゃう! 飛んで、イッちゃう!!」
「俺も、俺も……もうダメだッ! イクぅ!!」
神経が焼き切れてしまうのではないか、と思うほどの快楽とともに、私と謙一くんは絶頂した。今度こそ、もうダメだった。キモチよすぎて、二度と忘れられなくなってしまう。横では、淫蕩な笑みを浮かべた麻衣と花梨が私のことを見つめている。
「……ねえ、花梨……」
私は、弱々しく花梨に声をかけた。
「あら、何かしら。絵美理ちゃん?」
「花梨……私のママのこと何か、知っていたの……?」
花梨は、私のほうを見下ろして、ニヤリと笑った。
「あら、絵美理ちゃん。私、そんなこと言ったっけ?」
花梨の言葉を聞いた私は、目をつぶった。心を絶望が覆い尽くしていく。
(ごめん、ママ。私、もう会いに行けないかも……)
私は、最後に、行方不明のママのことを思った。いつか、探しに行こうと誓ったママ。でも私は、淫気がもたらす狂った欲求に抗う方法を失ってしまった。私は、薄く笑うと、目の前で呆然としていた謙一くんを押し倒した。私は、そのまま謙一くんの半勃ちになったペニスを馬乗りで呑み込み、壊れた機械のように腰を振りはじめた。
「あぁ、謙一くん。もっと、もっとぉ……」
「裕……お姉ちゃんに、もっと、ちょうだい……」
私は謙一くんに、花梨は裕くんに、二人並んでまたがっていた。もうどれだけ、腰を振り続けていたかもわからない。頭の中は、白いモヤがかかったようになっていた。それでも、精を求める淫欲だけは、一向に萎える気配を見せなかった。
「……麻衣ちゃん。少し、いいかしら?」
その時、麻衣を呼ぶ声が響いた。少し大人びた、知的な女性の声だった。私は、どこかで、その声を聞いたような気がしたけれど……思い出すことはできなかった。
「はい、何でしょうか?」
私と花梨の様子を見おろしていた麻衣は、呼びかけに応じて、部屋の扉のほうに向かう。そこに、研究者のような白衣に身を包んだ呼んだ女性の姿があった。ただ、その顔は、扉の影に隠れてしまってうかがうことができない。
「二人の様子は、どうかしら?」
「はい、順調です。絵美理のほうは、少しばかり手間取りましたけど……」
「フフ……それじゃあ、儀式の準備は、予定通り進めてもいいわね」
「ええ、問題ないかと……」
二人が会話している声は、私の耳にも届く。それでも、快楽に惚けきった頭では、その意味まで理解することはできなかった。私の腰の下で、謙一くんがまた絶頂にペニスを震わす。熱い噴出がもたらす感覚に、私もまた絶頂を感じる。許容量を超えた快楽に、私はそのまま倒れこみ、意識を失ってしまった。
私は、下腹部の甘い疼きを感じて、ぼんやりと目を覚ました。私は、個室のベッドの上に寝かせられていた。身体には、もう私の身体の一部みたいになってしまった黒い下着を身につけている。黒ヘビのように私の身体にまとわりつくランジェリーは、肌に吸いつき、離れようとしない。部屋は、暗いソフトライトでぼんやりと照らされている。大きめのベッドの他は、小さい机だけで、窓すらない独房のような一室だった。私は、今の自分の身に不安を感じるが、それも一瞬だけのことだった。
(……謙一くんと、ずっとキモチイイことできるなら……このままでもいいかな)
諦めにも似た感情を抱いて、私は再びまどろみの中に逃げ込もうとする。と、その時、個室のドアが、開かれた。ドアの向こうから入ってきたのは、謙一くんだった。
「……絵美理さん」
「あ、謙一くん……私を抱きに来てくれたの?」
私は、謙一くんに媚を売るような笑みを浮かべる。
「絵美理さん! しっかりしてください!!」
謙一くんは、私に小さく、それでいて強い言葉をかける。彼は、手に抱えていた何かをベッドに下ろした。
「え……?」
謙一くんが持ってきたもの。それは、私の制服だった。見れば、謙一くんも自分の制服を身につけている。よく見なければ、服を着ているかも判別できないほどに、私の頭は惚けていた。
「あと、これも……」
謙一くんは、制服のポケットの中から、もう一つ何かを取り出した。それは、私のペンダントだった。ママにお守り代わりにもらい、淫気を浄化する力を持ったペンダント。それを見て、私の頭の中のモヤはすっと晴れていく。漆黒の下着は、私の身体を妖しく締めあげ、貪るような錯覚を与え続けていた。だけれども、その下腹部の甘い疼きに悩まされている場合じゃない。
「謙一くん……一体、どうやって見つけたの?」
「あの……黒いビスチェを着た人が、隠すところを見ていましたから……」
「そっか。彼女……麻衣も、私たちが探し物をできるなんて思わなかったでしょうしね」
私の頭に、理性が戻ってくる。謙一くんは、私のほうに身を乗り出してきた。
「絵美理さん、一緒に逃げましょう。このビルは、見張りとかがいるわけじゃないみたいなんだ」
私は、自分の心に希望がよみがえるのを感じていた。私は、謙一くんの手に握られたペンダントを受け取ると、彼に向って力強くうなずいた。
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