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赤坂整形外科

院長のオリジナルの考えをのせています。今までの考えを残してゆくつもりで筆を執りました。読み物だと思ってください。
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上半身の痛みでわかってきたこと
138 、首周囲の痛み6

首の痛みの原因の話をさらに進めます。

今回は、復習的な話+アルファです。

1、レントゲンで異常が出ていても、痛みがでるとは限らない。

 年齢的変化は、第5頚椎第6頚椎の間の椎間板に現れることが一番多くなります。腰椎と同じように、頚椎の間は、1,2番を除いて、椎間板で結ばれています。年齢的変化も同じように、レントゲンでは、椎間板の高さが減少して狭く写ります。それを修復しようとして骨が尖ってくるのですが、前方や、後方に尖るよりも、側方のルシュカ関節と呼ばれる部分が尖る方が多くなります。このすぐ横から、神経が脊髄から出ますので、神経が刺激されやすくなります。しかし、常に痛みが出るとは限りません。どなたも、年齢的変化は多少生じます。それでも痛みが常に出るわけではありません。痛みが出た方も、痛みが出ない期間のほうが長いのです。前回は、その脊髄から出る神経の障害の話もしました。

2、レントゲンの異常はすぐに生じるわけではない。

 1に述べた年齢的変化は、変形性頚椎症、頚部脊椎症などと呼ばれます。変形 といっても、骨がずれているわけではありません。1で述べた変化が、変形です。
 この変化、急に生じたわけではありません。年々少しずつ生じてきます。ある程度の年になって、初めて首が痛くなった方にも、かなりの率で、すでにこの変化が見られます。今までこの変形が存在しても痛みがなかった、ということです。

3、レントゲンでの異常は変わらなくても、痛みは治る

 その、痛みがない状態に戻れば、治った ということです。もちろん、レントゲンの所見は変わりません。これだけ変形しているからもう元に戻りませんよ、と、同じ整形外科の医者でも言う先生がいますが、確かに、変形した部分の形は変わりません。元の形にもどすことは、若返らせろ といっているようなもので、現代の医学では無理です。が、痛みが出なくなれば、治ったとしてよいのです。多くの方は、年齢的変化があっても、痛みもなく過ごせているのですから。

4、レントゲンでは椎間板のヘルニアはわからない。

 首にも椎間板があり、ヘルニアになることがあります。しかし、レントゲンでは確定できません。腰と同じように、診察所見でほぼ ある と推測できることもあります。通常、痛みやしびれが片方の上肢に来ます。首をある角度に動かすと、この痛みが強くなります。神経の圧迫が強いと、その神経が行っている先に症状が現れます。首が悪くても、痛みやしびれは手先だけのこともあります。逆に、椎間板ヘルニアがあっても、上肢に症状が出ないこともあります。診察では所見が出ないのです。確定できる外来で行える検査は、MRI検査です。
 この検査、レントゲンではありません。強力な磁場の中に身体を置き、その磁場を変化させて、FMラジオと同じ電磁波を当てて、からだの中の水素原子の変化を捉えて、コンピューターで演算処理します。その電磁波を当てる間隔、時間などをさらに変化させて、数種類の画像を捉えることが出来ますが、一回一回条件を変えて取り直しますので、時間がかかります。CTはさっと一回撮影すればすぐ済みますが、MRIは、そうは行かないのです。狭い所で、音がうるさい上、ある程度の時間(20〜30分)じっとしていなくてはいけないため、痛みがつらくてじっとしていられない方、恐怖感や圧迫感が強い方は、検査が出来ません。加えて、強力な磁石の中に入るので、からだの中に磁石に吸い付く金属があり、しかもその金属が動くとまずい、内臓を止めているものなど がある方は行えませんし、反応する金属の周辺は画像がうまく出ません。

 前回まで述べてきた、首での脊髄の圧迫障害や、脊髄から出る神経根の障害の話ですが、まとめは→

5、首では、脊髄そのものが圧迫されて症状が出る方より、脊髄から出る神経根が刺激や圧迫されて症状が出る方が多い。

 脊髄が圧迫されている方自体が少ないうえ、その所見に見合う脊髄圧迫症状(両手指の痺れ、細かい運動がしにくくなり、不器用になる)が出ている方はさらに少なくなります。神経根が刺激されたり、圧迫されて痛みが出ている方のほうが圧倒的に多いのです。が、首が痛いといってこられた方全体を診ますと、神経根が刺激や圧迫されて痛みが出ていると確定できる方も実は少ないのです。

6、教科書に載っている整形外科の診察では、首から痛みが出ている とわかっても、首のどの部分から痛みが出ているかは、原因部位までわからないことも多い。
 レントゲンで、悪くなっている部位があっても、そこから痛みが出ているとも確定できません。
 上肢に知覚障害(触って感じにくい)や、筋力低下が認められるときは、その場所や、筋肉の種類によって、障害部位(例えば、第5,6頚椎間の右の神経根など)をある程度決めることが出来ますが、それらの神経障害が出ている方は、首の痛みで来られた方の中でも、少ないのです。

7、確定できる方法は、その原因と考えられる部位に注射をすることです。

 MRI検査が普及する以前は、椎間板造影といって、レントゲン透視を見ながら、椎間板に造影剤を入れ、ヘルニアがあるかないかレントゲンや、CT撮影して検査する方法が、頻用されていました。この椎間板に造影剤を入れた瞬間に、再現痛といって、今までの痛みが再現されることがあり、その部位が痛みの原因部位になっていると確定することが出来ました。
 この検査、入院が必要で、手技も難しく、施行後も安静が長時間必要です。MRI検査が普及してからは、どれほど行われているかわかりません。
 比較的簡単に出来るのは、レントゲン透視を見ながら、椎間関節に麻酔剤を注射することです。神経根そのものに当てようとすると、難しい上、あたった時には、激痛が走ります。首は、椎間関節に当てることで、その部分の神経根が原因となっていても、非常に近い位置にありますので、痛みがほぼ再現されます。また、麻酔剤を入れますので、施行後は、いつもの痛みがなくなります。例えば、第5,6頚椎間の右側で痛みが出ていると考えた場合、本人が注射しても治したいほどつらい状態なら、レントゲン撮影用台に横向きに寝てもらい、透視を見ながら、第5,6椎間関節に注射します。造影剤も必要なく、その椎間関節がちゃんと見えていれば、すぐに当たります。椎間板造影に比べれば、非常に簡単です。注射したときに、いつもと同じ部位に痛みが走れば、そこが痛みの原因部位と診断できます。はっきりしない時は、施行後、様子を診るため5分〜10分ぐらい休んでもらいますので、その間、いつもの痛みがなくなれば、その部位が痛みの原因と診断できます。
 この手技、診断兼治療になり、非常に有用なのですが、
 本人に注射を受ける勇気があること、それだけつらい痛みがあること、に加え、透視室を確保して、看護師についてもらい、施行後もしばらく様子を診ますので、通常の病院では、簡単にはできません。

レントゲンで異常が出ない時の首の痛みの原因

レントゲンで、異常が認められない方も多い。

1、レントゲンで異常が出なくても、診察で痛みの出ている部位が診断できる話
 6、に関連して、関節運動学的アプローチ(AKA博田法)(腰痛13、あるいはホームページ参照)に基づく手技を行うことで、痛みの原因部位がわかることがあります。この手技は、整形外科では正式に認められていませんので、教科書にも載っていませんし、行う先生はまだ少ない状況です。 
 第一肋椎関節(ろくついかんせつ)を動かす手技で、痛みが再現されます。この部位は、肩こり、交通事故後に続く痛み、長く続く痛み(慢性痛)、ストレス、緊張、体調不良、精神的負担などによる痛みの原因となります。また、レントゲンでは、通常異常が認められません。たまに、この部位の変形性関節症がわかる方、痛みが出やすい形をしている方がいるくらいです。
 棘突起(きょくとっき)を動かすことで、椎間関節が動きます。この手技により、痛みが再現されます。どの部位の棘突起を動かすかで、どの椎間関節が痛みの原因になっているか判断できます。椎間関節は、変形が進まないとレントゲンでわかりませんし、変形があるところ≠痛みの原因 です。
 この手技を行うと、治療にもなります。=診断兼治療になりますので重宝しています。

2、急に起こる動かなくなるほどの首の痛み
 感染後の一時的なアレルギー反応、と勝手に考えています。
 風邪の後などに起こります。原因がわからないこともあります。痛みはかなり強いのですが、痛み止め(主に飲み薬)がよく効いて、比較的早く治ります。

3、ウイルスが神経に着く?
 水疱瘡(みずぼうそう)の原因ウイルスが、神経に潜んでいて、免疫力の低下など、体力が落ちた時に症状が出るのが、帯状疱疹(たいじょうほうしん)です。強い神経痛がでて、3日後ぐらいから、神経の走行部位に、水ぶくれのような湿疹がでます。部位は、神経のあるところはどこでも です。水疱瘡のウイルス以外が神経に着いても、同じような痛みが出ると考えます。この場合は、湿疹が出ませんので、原因がわからない という結論になります。
 首では、肩甲骨周辺に痛みを訴えます。激痛になることもあります。レントゲン、MRI、血液検査で異常が出ません。肩を外側に回す力が落ちると確定と考えます。(筋力は変わらない場合も多いと考えています。)
帯状疱疹にも使う抗ウイルス剤が効果があるはずですが、確定が出来ないので、患者さんによく説明し、納得された上での使用になります。痛み止めを使用しているうちに、時間とともに、痛みが軽減します。時間がたたないと改善しませんので、神経ブロック治療は改善を早める効果程度になります。=一回でぱっと痛みが取れません。
| 上半身の痛み | 16:29 | - | - | - | ログピに投稿する |