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気象歳時記

6. メイストームって何だろう?

 
 今回は、5月のあらし「メイストーム」について説明します。
 メイストームとは、5月に現れて急激に発達する低気圧のことであり、広い範囲で天気が急激に変わり、荒れた天気となります。また、強い風や高波、大雨をもたらし、各地で被害をもたらす恐れがあります。メイストームによって最も被害がもたらされた例は、1954年5月9日〜10日にかけて北海道東方海上で発達した低気圧によるものです。これにより、死者・行方不明者合わせて、400人弱という大海難事故が起きました。
 では、なぜこの次期にメイストームが発生するのでしょうか?それは、図1を見ると、南側からの暖気と北側からの寒気がぶつかりあっています。この次期はちょうど初夏の暖気と冬の寒気がぶつかりあい、空気の温度差がとても大きくなります。このため日本海や北日本に存在する低気圧が急激に発達するため、メイストームが発生しやすいのです。しかし、必ずこの次期にメイストームが発生するわけではありません。年によっては発生しないこともあります。
 近年のメイストームは、平成16年5月4日に低気圧が発達しながら日本海を進んだ事例があります(図2)。この日東京では西南西の風で29.6m/sの最大瞬間風速を観測し、当時の5月としては観測開始以来2位を記録しました。
 ところで、いつからこのメイストームという言葉が使われるようになったかというと、日本の数値予報グループによって、急激に発達する低気圧をモデルにして数値予報の研究が始められるようになりました。そしてその数値予報グループによってこの低気圧は5月のあらしを意味する、メイストームと名付けられ、現在に至っているのです。
 5月は高気圧に覆われて晴れる日が多く1年で最も過ごしやすい時期ですが、このようにメイストームの発生する可能性があり、急激に荒れた天気をもたらす可能性があります。時には、雷雲が発達して、局地的に激しい雷とともに、ひょうが降る可能性もあります。山や海等に出かけるときには、最新の気象状況を確認するようにしましょう。低気圧が急速に発達する時や悪天候が予想されるときは、外出を控えるようにしましょう。

※数値予報:物理学の方程式に基づき、現在の大気の観測を基にして、将来の大気の状態をコンピューターを用いて計算する技術。
     
2011年6月更新
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低気圧の発達の様子
  図1 低気圧の発達の様子
日本海を進むメイストーム
  図2 日本海を進むメイストーム
      (平成16年5月4日09時地上天気図)
はれるん
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