古瀬 奈津子(フルセ ナツコ/FURUSE Natsuko)
研究者情報
氏名
西澤 奈津子
研究用氏名
古瀬 奈津子
生年月
1954/8
学位
博士(文学)(1999東京大学)Ph.D. in Literature
専門分野
日本史学(日本古代史、特に日本古代の政治制度、儀式、平安時代史)
研究キーワード
- 天皇制, 律令制, 儀式, 日唐比較史, 日唐関係史
研究内容
2007年度の研究は大きく3種類に分類できる。
1.天聖令関係
新出の唐令史料である天聖令について、歴史学研究会大会(6月)、唐代史研究会夏期シンポジウム(8月)で学会発表を行い、一部は刊行された(主要業績BD)。
2.遣唐使関係
中国の武漢大学出版社から『遣唐使眼里的中国』が刊行された(主要業績@)。
遣隋使・遣唐使1400周年記念国際シンポジウム「東アジア文化交流の源流」(9月、中国・杭州)、東アジア世界史研究センター(専修大学)主催シンポジウム「古代東アジアの国際関係と留学生」(10月)で発表し、一部が刊行された(主要業績C)。
日中歴史共同研究の外部執筆委員として、第3部第1章を担当執筆し、2008年1月の北京全体会議において討議した。
3.日唐比較史
日唐令と敦煌文書の書儀等を使用して、上表と奉表の比較研究から、日本の天皇に対する官人の集団性について考察した(主要業績A)。
教育内容
1.学部では基礎ゼミ、古文書学を担当した。日本史概説では、安田次郎教員と合同で日本古代・中世史を都市に注目しながら概論した。日本古代中世文化史では、律令制から平安時代までの天皇制の変化について論じた。日本古代史料演習では『続日本紀』延暦2年・3年条を講読し、桓武朝初期の政治・社会の変化について考察した。大学院においては、『令集解』営繕令と『小右記』寛仁3年条を講読し、律令制の基礎とその後の社会的変化について理解を深めた。卒論・修論については発表会と個別指導を併用した。歴史現地調査では、古代東北の城柵である秋田城、払田柵、志波城、多賀城、東北歴史博物館などを探査した。
2.大学院教育改革支援プログラム「日本文化研究の国際的情報伝達スキルの育成」による国際日本学コンソーシアムで日本文学・文化部門を担当。2008年1月にはパリ・ディドロ(第七)大学およびフランス国立高等研究院で院生とともに共同ゼミに参加。同3月にはロンドン大学SOASで国際日本学コンソ準備会議に参加するなど、大学院の国際教育に寄与した。
将来の研究計画・研究の展望・共同研究の可能性
1.東アジアにおける日本という視点から、日本古代の天皇制研究を進め、日本社会の特質に迫る。
2.共同研究「日唐律令比較研究の新段階」(科学研究費による)を継続し、天聖令による日唐令比較研究から、日唐古代社会の本質的差異と歴史的展開の共時性を明らかにする。
3.平成19年度科学研究費に採択された「文書様式からみた日唐古代官僚制の比較研究」を進展させ、日唐の上表文・奉表文を分析することにより、唐の皇帝と官人の関係と、日本の天皇と官人の関係との違いから、日中における集団と個人の関係を考察する。
4.共同研究「身分感覚の比較史的研究」により、従来とは別の見方で、日本古代における身分について考える。
5.日本学の観点から、海外の日本研究者と共同で、日本の社会と文化について、異なった視点からの学際研究を進める。
受験生等へのメッセージ
女子大というと閉ざされたイメージがあるかもしれませんが、お茶の水女子大学の場合それは当てはまりません。サークルだけではなく、ゼミや勉強会を通じて他大学との交流もあります。他大学の単位を取得する制度もあります。お茶大の中だけに閉じこもらずに、積極的に外の世界とのつながりももつようにしましょう。
ただし、国立女子大学の意義もまたあると思います。現代社会においては、まだ就職や、結婚をし子どもをもった後に仕事を続けようとした場合などに、男女平等とは言えない部分があるのではないでしょうか。子どもの出生率が下がったままなのは、こうしたことに原因があるのではないでしょうか。本当の意味において男女がそれぞれの特性をいかして生きていける社会を実現していくために、国立女子大学の意義はまだ大きいと言わざるを得ないと思います。
著書、論文、研究発表等
- 古瀬 奈津子, 日本古代王権と儀式, 吉川弘文館, 464, 1998, 2月, 研究書
- 古瀬 奈津子, 遣唐使の見た中国, 吉川弘文館, 227, 2003, 5月, 研究書
- 古瀬奈津子, 遣唐使眼里的中国, 武漢大学出版社, 149, 2007, 10月, 研究書
- 古瀬奈津子, 遣唐使眼中的中國, 台湾商務印書館, 192, 2005, 7月, 研究書
- 池田温編集代表池田温、小口彦太、坂上康俊、高塩博、古瀬奈津子編, 唐令拾遺補, 東京大学出版会, 1501, 1997, 3月, 研究書
- 古瀬 奈津子, 官職唐名成立に関する一考察, 池田温、劉俊文編, 日中交流史叢書2法律制度, 大修館書店, 143-178, 1997, 1月, 研究書
- 古瀬 奈津子, 正倉院文書の封, 皆川完一編, 古代中世史料研究上巻, 吉川弘文館, 195-230, 1998, 10月, 研究書
- 古瀬 奈津子, 雨乞いの儀式について〜唐の祠令と日本の神祇令〜, 唐代史研究会編, 唐代史研究会報告第[集東アジアにおける国家と地域, 刀水書房, 469-488, 1999, 6月, 研究書
- 古瀬 奈津子, 官人出身法からみた日唐官僚制の特質, 池田温編, 日中律令制の諸相, 東方書店, 187-208, 2002, 3月, 研究書
- 古瀬 奈津子, 天皇と都市空間, 山本幸司編, 岩波講座天皇と王権を考える8コスモロジーと身体, 岩波書店, 97-125, 2002, 8月, 研究書
- 古瀬 奈津子, 古代奈良にみる宮廷人の暮らし, シルクロード学研究センター, シルクロード学研究センター叢書 9, シルクロード学研究センター, 101-115, 2005, 1月, 研究書
- 古瀬 奈津子, 関日本官職称用唐代官名的考察, 劉俊文・池田温, 中日文化交流史大系2巻・法制巻, 浙江人民出版社, 69-100, 1996, 12月, 研究書
- 古瀬 奈津子, 従官員出身法看日唐官僚制的特質, 高明士, 唐代身分法制研究ー以唐律名例律為中心ー, 五南図書出版公司, 311-328, 2003, 4月, 研究書
- 古瀬 奈津子, 手紙のやりとり, 平川南、栄原永遠男、山中章、沖森卓也, 文字と古代日本4神仏と文字, 吉川弘文館, 218-241, 2005, 10月, 研究書
- 古瀬 奈津子, 清少納言と紫式部中宮の記録係, 元木泰雄, 古代の人物6王朝の変容と武者, 清文堂, 123-145, 2005, 6月, 研究書
- 古瀬 奈津子, 摂関政治と王権―平安中期における王権, 大津 透, 王権を考える―前近代日本の天皇と権力, 山川出版社, 71-95, 2006, 11月, 研究書
- 古瀬奈津子, 唐与日本的上表与奉表, 戴建国, 唐宋法律史論集, 上海辞書出版社, 341-349, 2007, 12月, 研究書
- 古瀬 奈津子, 平成7・8年度科学研究費補助金(基盤研究C)研究成果報告書『古代日本における書状の系譜〜正倉院文書から綸旨まで〜』, 61, 1997, 3月, 科研費報告書
- 古瀬 奈津子, 平成15年度〜平成18年度科学研究費補助金 基盤研究(C)(一般)研究成果報告書日本古代における書状の社会的機能に関する研究, 139, 2007, 3月, 科研費報告書
- 古瀬 奈津子, 平安時代儀式研究の新視点を求めて, 九州史学, 126, 41-54, 2000, 原著, 査読あり, 学術雑誌
- 古瀬 奈津子, 摂関政治成立の歴史的意義〜摂関政治と母后〜, 日本史研究, 463, 3-22, 2001, 3月, 原著, 査読あり, 学術雑誌
- 古瀬 奈津子, 綸旨の成立, 法制史研究, 55, 51-79, 2006, 3月, 原著, 査読あり, 学術雑誌
- 古瀬 奈津子, 遣唐使の見た唐の儀礼空間, 東海史学, 41, 19-28, 2007, 3月, 原著, 査読なし, 学術雑誌
- 古瀬奈津子, 天聖令の発見と日本古代史研究, 歴史学研究, 833, 43-45, 2007, 10月, 原著, 査読なし, 学術雑誌
- 古瀬 奈津子, 遣唐留学生と日本文化の形成, 東アジア世界史研究センター年報(専修大学), 1, 43-49, 2008, 3月, 原著, 査読なし, 大学・研究所等紀要
- 古瀬 奈津子, 唐礼と日本古代の儀式 〜唐礼受容の過程〜(シンポジウムの記録), 唐代史研究, 6, 173-174, 2003
- 古瀬 奈津子, 唐帝国の解体と古代日本, 中国の歴史月報, 7, 5-8, 2005
- 古瀬 奈津子, 書儀・書簡よりみた日唐古代官僚制の特質, お茶の水史学, 49, 119-129, 2005
- 古瀬 奈津子, 唐の書儀と日本古代の書状, 中国唐史学会第9回年会, 中国唐史学会, 中国・雲南省昆明, 2004, 7月, 国外, 招待講演, 口頭, 第一発表者, 2004, 7月
- 古瀬 奈津子, 日本史からみた「井真成墓誌」, 唐代史研究会秋期シンポジウム, 唐代史研究会, 東京・明治大学駿河台校舎, 2004, 11月, 国内, 招待講演, 口頭, 第一発表者
- 古瀬 奈津子, 摂関政治成立の歴史的意義〜摂関政治と母后〜, 日本史研究会大会, 日本史研究会, 京都・仏教大学, 2000, 11月, 国内, 招待講演, 口頭, 第一発表者, 日本史研究, 463, 3-22, 2001
- 古瀬 奈津子, 官人出身法からみた日唐官僚制の特質, 唐律名例律学術検討会, 台湾大学歴史学系・唐律研読会中国法制史学会, 台湾・台湾県烏来, 2001, 7月, 国外, 招待講演, 口頭, 第一発表者, 唐代身分法制研究ー以唐律名例律為中心ー, 311-328, 2003, 4月
- 古瀬 奈津子, 従書儀・書簡看唐日的家内秩序與社会秩序, 「東亜伝統家庭教育與家内秩序」国際検討会, 台湾大学東亜文明研究中心, 台湾大学東亜文明研究中心, 2005, 4月, 国外, 招待講演, 口頭, 第一発表者, 「東亜伝統家庭教育與家内秩序」国際検討会要旨集, 5-1-5-5, 2005, 4月
- 古瀬 奈津子, 従書儀・書簡看唐日古代官僚制度的特征, 復旦大学建校100周年曁復旦大学歴史学系成立80周年「社会転型与多元文化」国際学術研討会, 復旦大学歴史学系, 復旦大学, 2005, 6月, 国外, 招待講演, 口頭, 第一発表者, 復旦大学建校100周年曁復旦大学歴史学系成立80周年「社会転型与多元文化」国際学術研討会論文集, 2005, 6月
- 古瀬 奈津子, 唐日における上表と奉表, 「唐宋時期的法律与社会」国際学術研討会, 上海師範大学, 上海師範大学, 2006, 9月, 国外, 招待講演, 口頭, 第一発表者, 「唐宋時期的法律与社会」国際学術研討会会議論文彙編, 354-360, 2006, 9月
- 古瀬 奈津子, 天聖令と日本令, 中外蔵書文化国際学術研討会, 天一閣博物館(中国・寧波), 文昌大飯店(中国・寧波), 2006, 11月, 国外, 招待講演, 口頭, 第一発表者
- 古瀬 奈津子, 日唐営繕令の比較研究ー営繕関係条文を中心にー, 遣隋使・遣唐使1400周年記念国際シンポジウム「東アジア文化交流の源流」, 中国・浙江工商大学日本文化研究所, 中国・杭州・浙江工商大学日本文化研究所, 2007, 9月, 国外, 招待講演, 口頭, 第一発表者, 2007, 9月
- 古瀬 奈津子, 天聖令の発見と日本古代史研究, 歴史学研究会大会古代史部会, 歴史学研究会, 東京大学駒場キャンパス, 2007, 6月, 国内, 招待講演, 口頭, 第一発表者, 歴史学研究, 833, 43-45, 2007, 10月
- 古瀬 奈津子, 日唐営繕令の比較研究ー営造関係条文を中心にー, 唐代史研究会夏期シンポジウム, 唐代史研究会, かんぽの宿 淡路島, 2007, 8月, 国内, 招待講演, 口頭, 第一発表者
- 古瀬 奈津子, 遣唐留学生と日本文化の形成, オープン・リサーチ・センター整備事業「古代東アジア世界史と留学生」シンポジウム, 専修大学東アジア世界史研究センター, 専修大学神田校舎, 2007, 10月, 国外, 招待講演, 口頭, 第一発表者, 東アジア世界史研究センター年報, 1, 43-49, 2008, 10月
学会活動
- 唐代史研究会, 国内(全国組織), 幹事会, 委員, 幹事, 2003年, 8月
- 唐代史研究会, 国内(全国組織), 幹事会, 委員, 幹事, 2005年, 8月
- お茶の水史学, , お茶の水女子大学読史会, 国内(地域組織), 委員長, 編集委員長, 2002年, 4月
- お茶の水史学, , お茶の水女子大学読史会, 国内(全国組織), 委員, 編集委員, 2005年, 4月
- お茶の水史学, , お茶の水女子大学読史会, 国内(全国組織), 委員, 編集委員, 2006年, 4月
- お茶の水史学, , お茶の水女子大学読史会, 国内(全国組織), 委員, 編集委員, 2007年, 4月
研究資金
- 基盤研究(C), 文書様式よりみた日唐古代官僚制の比較研究, 1800, 2007
- 基盤研究(C)(2), 日本古代における書状の社会的機能に関する研究, 500, 2006
- 基盤研究(C)(2), 日本古代における書状の社会的機能に関する研究, 700, 2005
- 基盤研究(C)(2), 日本古代における書状の社会的機能に関する研究, 700, 2004
- 基盤研究(C)(2), 日本古代における書状の社会的機能に関する研究, 1400, 2003
- 基盤研究(C), 古代日本における書状の系譜 〜正倉院文書から綸旨まで〜, 500, 1996
- 基盤研究(C), 古代日本における書状の系譜 〜正倉院文書から綸旨まで〜, 1500, 1995
- 古瀬 奈津子(取り組み実施責任者), 「魅力ある大学院教育」イニシアティブ, 文部科学省(日本学術振興会), 〈対話と深化〉の次世代女性リーダーの育成, 35000, 2006
- 古瀬 奈津子, 近藤 譲, 大学院教育改革支援プログラム, 文部科学省(日本学術振興会), 日本文化研究の国際的情報伝達スキルの育成, 0, 2007