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漬物の食中毒事故を防ぐには

2012/9/2 3:30
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 いくら基準を細かく設定しても、食品ビジネスの“生命線”である衛生管理そのものを軽視する事業者がいる限り問題は解決しない。食の安全をめぐる規制強化の動きについてである。

 厚生労働省が食品衛生法に基づいた漬物製造についての衛生規範を全面的に見直すと発表した。都道府県や中核市などが浅漬けの製造現場への立ち入り調査を実施し、衛生管理の実態を踏まえて改正作業に入るという。

 事の発端は北海道の高齢者施設などで発生した白菜の浅漬けによる腸管出血性大腸菌O(オー)157の集団食中毒だ。製造元の岩井食品(札幌市)は8月15日の会見で消毒が不十分だったと認め謝罪したが、2008年にも同市保健所から同じ浅漬けの衛生管理について指導を受けていた。

 今の漬物の衛生規範は製造施設内の手洗い設備などについては細かく規定しているが、生野菜の洗浄に使う消毒液の濃度、殺菌時間を具体的に定めてはいない。

 だからといって、業界全体で一律に規制を強化するよう舵(かじ)を切る行政の姿勢には違和感がある。基準を細かく設定しても、事業者が「生で食べる食材を扱う」という緊張感を持って製造にあたらなければ、食中毒は再び起こりうるからだ。

 食の安全を徹底するために行政が手を尽くすのは当然だ。一定の基準は必要だが、より重要なのは衛生管理を軽視する劣悪な事業者を個別に厳しく処罰し、市場から容赦なく排除することだろう。

 消費者自身も、食の安全についての基礎知識を身につけることが大切だ。生で食べる肉や魚介類、卵、野菜は食中毒の原因になりうる。高齢者や子供がリスクのある生の食材を食べる際には、十分な注意を払う必要がある。

 食中毒の恐れがあるとして、厚労省は7月から、牛の生レバー(肝臓)の販売を禁止したが、「危険」すなわち「禁止」や「規制強化」では、問題の本質的な解決にはならない。

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