白菜の浅漬けを原因とする北海道の腸管出血性大腸菌O157の集団食中毒では100人以上が下痢や腹痛などの症状を訴え、7人が死亡した。消費者や商品を扱った店舗などは不安を募らせ、全国の漬物業者や白菜の生産者も影響を懸念している。
問題の商品は札幌市西区の岩井食品が製造した「白菜きりづけ」。7月29、30日に道内の高齢者施設やスーパー、飲食店など約50カ所に出荷した。市保健所からの指摘で同社は8月11日に出荷を停止。連絡を受けた流通先では売り場や出入り口に経緯を説明、おわびする文書が張り出された。
札幌市西区のスーパーの漬物売り場では、多くの買い物客が足を止め、貼り紙に見入っていた。区内の会社員、伊藤佳子さん(54)は「漬物を買うのは不安だ」と話した。同市中央区のスーパーでは7月の月末セールで問題の浅漬けが完売。「回収しようにも打つ手がない」と、従業員は途方に暮れる。
札幌市内の宿泊施設ではバイキング形式の食事の利用者が症状を訴えた。施設の男性役員は「菌は目に見えず、危険かどうかは分からない。会社を信頼していたのに」と憤る。
今回の集団食中毒では、高齢者施設の80~100歳代の女性入所者6人と札幌市内の女児(4)が死亡。道や札幌市に寄せられた問い合わせは18日午後5時までの集計で計約90件に上った。
厚生労働省のホームページなどによると、1996年以降では集団食中毒で2002年に栃木県の施設で9人が死亡したのが最多。昨年は焼き肉チェーン店の事件で5人が死亡した。
漬物業界や白菜生産の現場にも波紋が広がる。39都府県の漬物業者約1200社が加盟する全日本漬物協同組合連合会(東京都千代田区)によると、食中毒発覚後、千葉県や大阪府、香川県、大分県の業者に「おたくの浅漬けは大丈夫か」などとの問い合わせがあったという。同連合会は15日、衛生管理を徹底するよう通知した。
10年度の白菜の年間出荷量が全国2位の長野県では風評被害を懸念する声も出ている。農協関係者は「消費量が落ちるのではないかという不安はある。白菜とO157が直結するかのように言葉が独り歩きしてしまうのが心配だ。これからおいしくなる季節なのに」と打ち明ける。
漬物に関する著書がある前田安彦宇都宮大名誉教授(食品化学)は「漬物の中でも浅漬けは加熱しないため、衛生管理が特に重要だ。消費者は業者を信頼して買うしかなく、業者側のモラルにかかっている。業界全体で安全管理を再点検すべきだ」と指摘する。〔共同〕
浅漬け、集団食中毒、前田安彦
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