NHK放送文化賞受賞者決まる3月7日 16時30分
放送文化の向上や放送事業の発展に功績があった人たちに贈られるNHK放送文化賞の今年度の受賞者に、去年亡くなった歌舞伎俳優の中村勘三郎さんら10人が選ばれました。
受賞が決まったのは、次の方々です。
アメリカのジャズ界で最高の栄誉とされるジャズマスターズ賞を日本人として初めて受賞したジャズピアニストで、テレビ番組で音楽や人生について語る姿が多くの視聴者の共感を呼んでいる穐吉敏子さん。
連続テレビ小説の「梅ちゃん先生」「おひさま」それに、ドラマ「坂の上の雲」などの制作に携わった時代考証家の天野隆子さん。
大河ドラマ「義経」や、連続テレビ小説「チョッちゃん」「走らんか!」など、時代劇から現代劇まで数多くの名作を執筆している脚本家の金子成人さん。
原爆の被爆者の医療に長年携わり、放射線被ばくによる人体への影響を解明する研究と被爆者への支援に取り組んでいる広島原爆被爆者援護事業団理事長の鎌田七男さん。
昭和52年から35年間にわたって料理番組「きょうの料理」の講師を務め、88歳の今も現役最高齢講師として人気を集めている料理研究家の鈴木登紀子さん。
「バラエティー生活笑百科」「上方演芸会」など、演芸・バラエティー番組で放送台本・漫才台本を執筆し、幅広い世代に笑いを提供している演芸作家の中田明成さん。
古典芸能の番組をはじめ、ドキュメンタリーや大河ドラマ、NHK紅白歌合戦の司会など、幅広いジャンルの番組で活躍し去年亡くなった歌舞伎俳優の中村勘三郎さん。
「翔ぶが如く」「八代将軍吉宗」など、NHKの大河ドラマ12作品に出演し、人間味あふれる演技で親しまれ、歌謡番組などでも活躍している俳優の西田敏行さん。
数多くの古典芸能番組に出演し、創作舞踊の振り付けでも活躍する日本舞踊花柳流家元の花柳壽輔さん。
コンピューターネットワークのモデル化と性能評価を学問として確立し、放送技術を大きく発展させた情報通信研究機構理事長の宮原秀夫さん。
以上の10人の方々が今年度の放送文化賞に選ばれました。
また、このほか、去年のロンドンオリンピックで銀メダルを獲得した、サッカー日本女子代表の「なでしこジャパン」には、女子サッカーという新たなスポーツ中継の分野を開拓したことが評価され、日本放送協会特別功労賞が贈られることになりました。
贈呈式は、今月22日に東京・渋谷のNHKホールで行われます。
多くの視聴者に親しまれた中村勘三郎さん
放送文化賞の受賞が決まった、歌舞伎俳優で、去年12月に57歳で亡くなった中村勘三郎さんは、古典と新作の両方を巧みに演じ、歌舞伎界きっての人気俳優として活躍しました。
テレビでも、歌舞伎の中継や古典芸能番組をはじめ、NHK特集の「鏡獅子三代」などのドキュメンタリーに出演し、歌舞伎の魅力を広く伝えました。
さらに、平成11年に放送されたNHKの大河ドラマ「元禄繚乱」では、主人公の大石内蔵助を演じたほか、その年の大みそかの紅白歌合戦では白組の司会を務めるなど、幅広いジャンルの番組に出演し、多くの視聴者に親しまれました。
今回の受賞について、長男の中村勘九郎さんは「父に代わりまして御礼申し上げます。父はテレビ、ラジオの放送を通じても歌舞伎を身近に感じていただきたいと思っておりました。きっとこの受賞を喜んでいると思います」とコメントを出しました。
さまざまな分野で活躍 西田敏行さん
放送文化賞の受賞が決まった俳優の西田敏行さんは、福島県出身の65歳。
昭和45年、劇団青年座に入団し、舞台で活躍するとともに、テレビドラマや映画にも出演し、人間味あふれる演技で親しまれています。
NHKでは、現在放送中の「八重の桜」を含め、大河ドラマ12作品に出演し、中でも「翔ぶが如く」「八代将軍吉宗」では主役を務めました。
また、歌手としても人気を集め、代表曲の「もしもピアノが弾けたなら」で紅白歌合戦にも出場しました。
さらに、文学の名作をラジオドラマで伝えるNHKの「新日曜名作座」では、無数の役を声だけで演じ分けるなど、さまざまな分野で活躍しています。
受賞について、西田さんは「放送に携わることは、私自身の人としてのありようを視聴される方々にさらすことです。この栄誉を糧として、ますますの精進を重ねて参ります」と、コメントしています。
被爆者の診療や放射線の影響を研究 鎌田七男さん
放送文化賞の受賞が決まった鎌田七男さんは、鹿児島県出身の75歳。
広島大学医学部を卒業したあと50年以上にわたって、被爆者の診療や、放射線の影響に関する研究を続け、現在は広島市にある被爆者の養護施設で園長を務めています。
鎌田さんはこれまで、白血病を発症する前に体内で起こる染色体異常などの過程を詳細に突き止め、世界の研究者の注目を集めたほか、原爆が投下された直後に広島市内に入った人や被爆した両親から生まれた被爆2世の白血病の発症率が高かったことを示す研究を発表するなど、数々の業績を残しています。
また、チェルノブイリの原発事故や東京電力福島第一原子力発電所の事故などでは、現地周辺の被ばく調査にも当たりました。
こうした研究や活動は、NHKのニュースや番組などを通じて広く紹介され、放送文化の向上に大きく貢献したことから、今回、受賞が決まりました。
鎌田さんは「思いがけない受賞で大変、喜んでいます。原爆の被爆者や原発事故の被災者の目線で活動してきたことが評価されたと受け止めています。これからも広島の医師としてやるべきことは何かを常に考えながら、研究に取り組みたい」と話しています。
多くの視聴者が注目 「なでしこジャパン」
日本放送協会特別功労賞の受賞が決まったサッカー女子の日本代表「なでしこジャパン」は、佐々木則夫監督と澤穂希選手や宮間あや選手など18人の選手です。
おととしのワールドカップドイツ大会は、決勝で強豪のアメリカをペナルティーキック戦の末、破り、初優勝をつかみ取りました。
苦しい場面でも笑顔を忘れず、最後まで諦めない選手たちの姿は、東日本大震災のあとの日本で多くの視聴者に注目され、女子のサッカー人気を一気に高めました。
また、去年のロンドンオリンピックでも厳しい戦いを勝ち抜き、男女を通じてサッカーで初めてとなる銀メダルを獲得しました。
受賞について、佐々木監督は「ワールドカップやオリンピックを通じて多くの皆様に喜んでいただき、なでしこジャパン、そしてサッカー界は大きなパワーをいただきました。映像を通じてこそ伝えられたことも多かったと思います。この場をお借りしてご声援いただいた皆様に感謝申し上げます」というコメントを出しました。
|
[関連ニュース] 自動検索 |
|
[関連リンク] |
|