東京電力は6日、福島第1原子力発電所事故後に社内テレビ会議で記録した計12時間47分の映像を同社ホームページで新たに公開した。水素爆発を起こした3号機の使用済み燃料プールへの注水を巡り、吉田昌郎所長(当時)がいら立つ場面や、政治家が次々注文を付ける様子などが収録されており、当時の混乱ぶりが改めて浮かび上がった。
事故から2年を迎えるが廃炉への道のりは遠い。政府の有識者会議は6日、「引き続き未解明部分の事故原因を究明し、国内外に記録として残すべきだ」と提言した。
新たに公開されたのは2011年3月11日から1カ月間に本店などで収録した155場面。報道関係者らに閲覧を認めた映像の一部に、社員の名前を伏せるなど音声・画像を処理して一般公開した。
このうち3月16日午前10時すぎの映像では、3号機から湯気のような煙がたびたび上がり、対応に追われていた。付近での作業への影響を尋ねた武藤栄副社長(当時)に、吉田所長は「私は……非常に難しいと思います」と言葉を詰まらせた。
不眠不休の現場はいら立ちを強めた。吉田所長は同日午後2時ごろ、3号機使用済み燃料プールへ注水するための手順書を作るよう本店に求め、「ただ水入れりゃいいと思ってたのかよ。爆発したら死んじゃうんだぜ」と声を荒らげた。20日午前には「かなり頭がめまいをしてきましたので、指揮を代わります」と体調不良を訴えていた。
海江田万里経済産業相(当時)や細野豪志首相補佐官(同)ら政治家が東電本店を訪れ、注文を付ける場面もあった。
16日昼に細野補佐官は、燃料プールへの注水のもたつきに対し「そういうことがないように対応することを検討していただけないでしょうか」と要請。吉田所長は「6日間徹夜の人間だけでやっておりますので、ぜひとも人的な支援をお願いします」と訴えた。
燃料プール注水用に持ち込まれ、長いアームを持つコンクリート圧送車について、海江田経産相は20日、「これとかあれじゃ分かりにくいので、キリンはどうですか」と提案。吉田所長が「キリンで決めましょう」と応じて愛称が決定した。これ以降、別の注水機材も「シマウマ」や「ゾウ」と名付けられた。
東電は事故後1カ月間の映像を昨年8月以降、3回に分けて報道関係者らに公開したが、全面公開には応じていない。
東京電力、福島第1原子力発電所、海江田万里、武藤栄、細野豪志
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