夢の世界貫く人生の苦み 文芸評論家 小谷真理さんに聞く
ファンタジー小説が読む人を引き付けるのはなぜだろう。文芸評論家で日本ファンタジーノベル大賞の選考委員も務める小谷真理さんに聞いた。
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ファンタジー小説の魅力は大きく2つに分けることができます。
まず一つ目は物語の夢のような設定でしょう。例えば絶世の美男子である主人公や魅惑的な魔法使いが登場し、読者が強い愛着心を感じる要素がふんだんに盛り込まれています。その逆で、信じられないほど恐ろしい悪者が登場して背筋が凍る思いができるのも特徴です。
もう一つの魅力は登場人物が私たちと同じように「人生の苦さ」を味わう点です。指輪物語では指輪を巡り物欲に苦しみ、ゲド戦記やハリー・ポッターシリーズでは身勝手に魔法を使いしっぺ返しを食らいます。主人公たちだって常に正しくいられるわけではないと知り、読者は共感できるのです。社会経験を積んで大人になるほど、ファンタジー小説に含まれる「苦み」を楽しめるようになるでしょう。
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表の見方 (1)初めて出版された国(2)日本で版権を持つ主な出版社(3)初版年、外国作品は最初の邦訳(4)単行本の1巻目の税込み価格。どの作品も文庫本が発売されている
調査の方法 対象年齢が小学校高学年以上で、日本国内では第2次世界大戦後に出版されたファンタジー小説から専門家の推薦をもとに28作品を選出。世界観や人物描写などの観点から、何度も読み返したい作品を順位付けしてもらい、得点化した。選者は次の通り(敬称略、五十音順)
池田茂都枝(東京学芸大非常勤講師)▽大井五月(クレヨンハウス子どもの本事業部サブチーフ)▽金原瑞人(法政大教授・翻訳家)▽兼森理恵(丸善丸の内本店児童書担当)▽工藤左千夫(絵本・児童文学研究センター理事長)▽蔵元和子(図書館振興財団学校図書館用選書員)▽佐藤宗子(千葉大教授・児童文学研究者)▽菅原幸子(教文館子どもの本のみせナルニア国スタッフ)▽土居安子(大阪国際児童文学館主任専門員)▽広瀬恒子(親子読書地域文庫全国連絡会代表)▽藤田のぼる(日本児童文学者協会事務局長)
著者:J.R.R. トールキン, J.R.R. Tolkien, 瀬田 貞二, 田中 明子.
出版:評論社
価格:2,310円(税込み)
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