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「少女」62年6月号160円、264P ふろくは3つ

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牧美也子「姉妹ふたり」10P、少し幼い風に描いている
今村洋子「チャコちゃんの日記」12P、いつもながらの達者な絵
武田京子「ナナ」27P、柏小学校4年生、ママがいず姉の美佐と妹カコとの3人姉妹
姉が殺人現場を目撃したと心配そうに語るが、犯人がつかまって一安心
一方、ナナは学校帰り、有田というおばさんから話しかけられるが、悪人たちにおばさんと連れて行かれる7
有田さんは夫婦研究者で悪人に利用されているらしい、断った団さんというのが殺されたようで、姉が目撃した当の事件、それもつかまったのは偽物で姉にも危険が迫りそう、本誌では一番ひかれました
藤江ふみえ「スーダラミヨちゃん」6P、ユーモア作
望月あきら「わたしの名はゆり!」27P、引っ越してきた新入生瀬川ゆり、新しいクラスでも騒動が起こりそう、青蛙先生という名で呼んで、後のすきすきビッキ先生の先駆けか
三木ゆたか「ママちょっときて」8P、チャコ風絵でチャコ主人公
広丘純「ゆう子さん ゆるして!」原作付きスリラー22P、ゆう子の母は昔スリをしていたと噂が流れるスリたちが母を誘おうとする

58年頃高橋真琴を中心に旋風を巻き起こしたバレー漫画はもう落ち着いている
母ものからも少しずつ脱皮して、少女が自分の力を発見する内容に重点が移っていく過渡期でしょう
20年代のブロマイド風からモダンな少女像に変わった表紙は違和感があり、他誌ほど時代に乗っていない雰囲気が見えます
まんが内容はバラエティに富み、時代に合うものを模索中みたい

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「ひとみ」61年4月号

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秋田書店の低学年向け少女月刊誌 150円、224P
ふろくは5つ
石川球太「スーパーローズ」水色ローソクのひみつ、それで他人に変身してしまうローソク、活劇9P
小山葉子「ごきげんノンちゃん」15P、チャコ風
よこたとくお「おタケちゃん」8P
高井研一郎「パパちゃん先生」チコが小学校で先生がパパ
水谷武子「いじわるベビーとパア子ちゃん」2P、4こま
赤塚不二夫「まつげちゃん」15P、よこたさんの絵とよく似ています
木村光久「花びら少女」15P
石川さんが手塚マナーの絵柄・内容だったのには驚き
会社の資本力でしょうか、「ひとみ」は他誌に比べると少し地味

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「少女ブック」

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集英社の高学年向け少女月刊誌、160円、244P
7大ふろく ナルちゃんロケット/学習人名辞典/プリンセスバッグ/人気スターブロマイド/ナルちゃん絵はがき/白馬の少女/歌のつばさに
わたなべまさこ「白馬の少女」10P
寺田ヒロオ「にらめっこ」17P
木彫かよ子(コケシちゃん)と0点ボウズの張子太(ダルマくん)は家が道をはさんだ両側で八百屋を営むライバル同士、クラスでも委員長に立候補したふたり、一票差でコケシちゃんが委員長に
一波乱ありそうだが、中学生にからまれたところをダルマくんが妹だとかばい二人も元の仲良しに
横山光輝「とびだしたマリ」14P 女性新聞記者
山根青鬼「オジャマちゃん」2P
西奈貴美子「ルリ子はいつも」13P、母が入院したルリ子、引き取られた先の娘千春は悪い仲間と
鈴原研一郎「黒いオデット」15Pバレーもの
山田えいじ「私のリッキ」15P 、シェパード犬とシホの物語
野呂新平「星の子」14P、キララは星の国のお姫様、地球探検にきていろいろな騒動にあう、洋風でよいスタイル
集英社の2誌はどちらが高学年向けかにわかには判然としない内容になっています

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「りぼん」62年6月号

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集英社の低学年向け少女月刊誌 160円270P
8大ふろくが マキちゃんファン/」マキちゃんセット/スタアバッグ/ボタンブローチ/カラーダイヤル/りぼん文庫ことば 別冊まんがが 東京プリンセス/ぺぺも悲しいか
ここでは「マキ」人気がよくわかる
牧美也子「マキの口笛」22P、おねえさんの結婚のところ
わたなべまさこ「おかあさま」23P
つのだじろう「ルミちゃん教室」40回目、15P
山田えいじ「ペペも悲しいか」16P、コリー犬ペペが病気で瀕死の状態に、リリが悲しむが介抱のかいあって元気になる
赤塚不二夫「ひみつのアッコちゃん」13P、絵は「まりっぺ先生」と同じ感じ
野呂新平「ひとりぼっちのすずらん」15P、絵物語風、リアルな絵柄で洋風風俗をうまく描く、今後注目したい作家さん
上田とし子「チューリップくん」13P、遠足の巻、幼いちいちゃんを連れては小学校の遠足も大変になる
くぼたまさみ「青空きょうだい」9P
藤木輝美「ノンちゃん劇団」9P、ライバル同士の劇団の話

時代ものもなく、小学生の目線から見た世界をまんがで描く内容が大半、読者にとって親しみやすい構成になっていますね

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「少女クラブ」62年6月号

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講談社の高学年向け少女月刊誌、160円、278P
ふろくは
レーンバッグ/コイン入れ/山のカレンダー/123と546/ふたりの白鳥/雨の百科
細川知栄子「ふたりの白鳥」8P、小学5年生の真弓とかおるはバレー好き
高橋たくみ「アコちゃんとボクん」8P、ユーモア作
石森章太郎「江美子ストーリー」24P、他を圧倒するほどにモダンな設定、絵柄
赤塚不二夫「青い目の由紀」13P、不思議な動く人形をユキと名付けて親しむ由紀だが、ユキは異星人らしく円盤とともに帰っていく
貧乏ななかで父が遠足費用を工面してくれたという暖まる話も盛り込んでシリアス作
回顧番組では58年「ナマちゃん」が赤塚ギャグの先駆けとしていたが、62年は「おそ松くん」「ひみつのアッコちゃん」「すすめ!ケン太郎」とさまざま傾向の作品を手がけていた、ギャグに絞るのは「おそ松くん」人気に火がついてからでしょう
西谷祥子「ふたごの天使」6P、巧みな絵柄、美しく新鮮
水野英子「星のたてごと」19P
よこたとくお「ミスおとこ」12P、ユーモアもの
きくちひろこ「のんちゃん」4P
あすなひろし「ちいさなうた」10P、手塚風絵、絵は粗い(あすなさんは初めから抜群だったわけじゃないんだ)
東浦美津夫「夕月の山びこ」23P
石森、西谷、水野さんの絵を見ていると「少女クラブ」が当時では一番レベル高い少女誌だったと言えそう

「少女クラブ」を見ると未知のものへ向かって冒険する心(少年誌でも同様)がコンセプトだとはっきりわかる

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「なかよし」62年6月号

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講談社低学年向け少女月刊誌 160円、276円
8大付録が
おしゃれ手かがみ/しあわせのネックレス/ブロマイドスターカード/しあわせの時間表/しあわせの星/そよ風さん/ラッキーしおり/切り絵スタイル人形
「しあわせ」とこんなに付くところを見ると巻頭にもなった赤松さんの作品はかなり人気あった様子
赤松さんは貸本時代のものを入手したが、絵はまだ手慣れていなかった、この号ではわたなべまさこさん風だが構図もしっかりした絵柄になっている
巻頭カラー 赤松セツ子「しあわせの星」9P おじいさまの病気でアンヌが苦労するという物語
手塚治虫「野バラの天使」16P
鈴木麗子「ステキ!テコちゃん」8P、こまどり姉妹がリアル絵で入ってくる 今村洋子風絵
中島利行「そよ風さん」バレーまんが8P、江戸川ミネ子はお屋敷のお嬢さんだったが病気で脳の発達障害、みっともないと両親は出入りの江戸川の子供にしてしまう、現在はバレーにかけてがんばっているというストーリー
つのだじろう「サムライの子」13P、「ブラック団」当時に近い絵柄でもう少しゆるめ
山根赤鬼「かのこちゃん」8P、ユーモアもの
竹原セツ子「チビッコ校長」18P、白ばら洋裁院の院長の娘えりは母がフランスに研修に出ている間、学校長を務めることになったユーモア作、面長の人物が特徴的な絵柄
前川かずみ「パイナップルパイナちゃん」6Pユーモア作
村野学美「ラリー」15P、メルヘンもの
まゆずみゆきお「紅つばめ」13P、ゆり姫時代物
みずしまじゅん「東京少女」18P、ちおり、エミ兄弟は母がいない ちばてつや風絵

まだ20年代の母ものは少し残るが、それを越えて学園(学校)ものになるのか、スポーツものになるのか、この雑誌では方向性が見えませんね

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第4回国際児童文学館訪問

紅葉も終わりの11月下旬休日だけど、「少女」掲載高橋作が読みたくなり来訪
(文学館便りは2回目訪問の借り忘れ少年月刊誌を終えたところでようやく3回目メインの少女月刊誌にいくところ)
前回は平日ながらけっこう混んでいて、閲覧室はざわついており、閲覧依頼も時間がかかって
休日は混んでいるかなと、開館すぐに
下の階は子ども連れや幼稚園生か、団体で賑わっているが、2階は平日と変わらないくらいで、防音よけに持参したアイポッドも出る間なくゆったり読めました
高橋真琴関連で1957年よりの「少女」(57年12月号はなく「のろわれたコッペリア」は読めず)
寺田ヒロオ関連で1957年よりの「野球少年」(「スポーツマン佐助」は大半が付録で4回分読めたくらい)
「少年キング」を創刊号からその年内の10号分くらい
後は前回の続き「あいつと私」2、「おてんば天使」3、「ガラスの靴」2などなど

千里中央から難波へと御堂筋線を下るので、心斎橋で降り、まんだらけにも寄ってくる
さすがに古いものに目がゆくが、そう古くなくても単行本高いです
みやわき心太郎「男の叫び(青春残酷詩)2100円、下元克美「ゴキブリ番長」3600円ほど、牧英三郎「戦国忍法帖」5000円、赤塚不二夫「ブツカレだん」全3巻6300円ほど
下元さんの東京トップ社からの「青春群像1」1500円
金田光二「はやぶさ探偵長」420円
小室孝太郎さんのものが珍しく「ミステリオス2」525円、「みこと」105円
上巻がよかったので松本剛「甘い水」下630円
あっ菅原さん作を探し忘れちゃった(多分なかったろうと思うが)

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菅原雅雪「牛のおっぱい」2、3巻

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「暁星記」の菅原さんは寡作で他はこれと数作
現在すべて品切れ状態、少し前ブックオフで見つけた本作を読み返してみると
山林に生える野草を利用して牛を放し飼いで育てる酪農法に、自然児のような太児がマイペースで取り組んでゆく物語
彼には周囲の人間(人に限らず牛や犬までもか)を心地よくさせるオーラのようなものがあり
獣医のやよいはひかれるものがある、それは親戚の高校生美里も同じで牧場にちょいちょい通ってくる
美里の姉、珠江は現在では結婚して男の子もいるんだが、やはり高校生くらいの時、じゃれるように太児と親しむのが過ぎて心配した親たちは遠くの親戚に預けて二人を遠ざけた経緯がある
2巻ではそんな珠江が牧場を訪れ、抱きついてくる太児に許してしまいそうになる
飼い犬タロの鳴き声に自分を取り戻した珠江は太児を手なずけて耳をかんでやると気持ちよさそうに寝てしまう、なんか人間というより動物的な太児
それをまた美里が見ていて姉につめよるが、おばさんややよいさんまで現れて、ゴエモン風呂にみんなつかるんだからなんてゆったりした話なんだろ
3巻は人間関係はあまり動かず
牛ベコの出産場面が圧巻
逆子で生まれようとしている仔牛の足が見えているところ、狐たちが寄ってきてすきあれば食らおうとする
やよいは一人で狐を追い払おうと必死になっている、という場面
5巻目まであり最後はやよいさんと太児がくっつくみたいだが、太児のことだからまわりの人間を巻き込んでいろいろ騒動起こしているんでしょう
本としては手に入らないが、ネットの電子マンガで購入できる様子

「暁星記」でもそうだが、スクリーントーンを使わず丁寧に点描していく画法が見事
特に自然で生きていて、ギャグ風の人間描写と不思議なバランスを見せている

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「暁星記」完結

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遠い未来、地球が住めなくなった時代、人間は金星に人類の種をまき
樹上で生活する縄文時代風の暮らしを描いた大作
主人公の若者ヒルコは村に拾われた変わり者
大変な強力で巨大なシシザルを倒す力を持つ
彼に目を付けた精霊が村々の間での殺し合いを誘発してまでヒルコが地上に降りるようし向けていく
地上に降りたヒルコはそこで変わり果てた人類や救われない魂に出会いながらそれらを救済する器と成長してゆく
一方樹上では、かつての怨念に突き動かされた女性イナンナの魂が悪霊となり人々に取り付き人間の滅亡まで殺戮のし合いを続けさせようとしている
さらに物語にはもう一つ深い底が
金星に古代風の人類を生み出したのは永遠にも生きられるが自身は生殖能力を失った未来人類であって
一人二人の管理人が金星の高いタワーに住み人類の成長を観察・管理している
管理人の中には猿のような人類から魂が発生するのに我慢ならず、あるいは恐れ大虐殺を行った者もいる
高度な技術で宇宙までも管理しているように見える未来人類に欠けているものは、その魂あるいは心で
悪霊はその暗い噴出とも言える
精霊は自然が成長して生み出していく魂の大きな流れを人類に語りかけ教える存在として描かれている


彷徨う魂を解放する入口としてのヒルコも素晴らしく描かれている
(シロクビという巨鳥が死ぬとき、「ナンカチョダイ」としおらしく語った後、白い残像となってヒルコに吸い込まれていく)

荒っぽい巨大亜な鷲のようなハシカケに語りかけ鳥が心を許してマユミの頭をこずく6巻目のシーンも素晴らしい

本年完結の最高作はこれでしょう

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桑田次郎の変化

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「デスハンター」69年
内容がかなりむごいというふれで読んでみようと思ったが(確かに図版に見るようかなりハードな内容を描いている)桑田流の劇しい絵柄を開発しようという意欲が伝わってきて新鮮
トーンも使わずこれだけのリアルさを描くのはさすがに優れた腕前と感心するわ
さてこんなあらすじ
レーサーの田村俊夫は事故を起こしすぎだと今回の退院後、解雇される
金を手に入れるため、シャドウという男の誘いにのり
カリブでの生き残りゲームに参加する
林石隆、リシュール・ブルーエと合わせ生還できたのが3人だけ
片腕、片目を失った俊夫はシャドウに復讐しようとする
シャドウはこんな企画で人選する理由を打ち明ける
宇宙生物が地球に到来、人間の体内に入り込み悪事を起こさせる
これをデスと名付けを壊滅させるための適任者を集めているのだということを
シャドウは俊夫に「日本に戻って一週間事態を見てから復讐するならしろ」と言う
仲間の忠告もあって、日本に戻ると、恋人マリアンヌが姉さんを殺害するという惨事が起こる
これもデスのしわざで、デスに乗っ取られたマリアンヌは俊夫も殺そうとして乱戦の末、退治される
デスの実在を知った俊夫はシャドウの元で働くことになるが、優しい性格がわざわいする
加賀美一家五人の誰かにデスが乗り移っていると情報を得た俊夫は一家を抹殺するよう命じられるが、美しい良子にひかれ、デスの影が認められないから殺すことをためらう というのが一巻目の内容
桑田さんは70年代にも作品を多く発表しているようだが、絵柄がこんな風にハードになったのかは未確認

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60年代の桑田次郎

桑田さんというとシャープでスマートな絵柄、少女を描くと妖しい魅力がある
探偵もの~科学ものとうまくつないでピカイチの絵師さんだけど、「8マン」後半からは白っぽい絵柄に物足りなさを覚える
62年頃雑誌を読んでいて桑田さん人気がすごいことを再認、有名作にふれてみようと思い復刻版で何種類か借り出し

58年「月光仮面」、65年「超犬リープ」「エリート」、69年「デスハンター」の順で拾い読み
(「月光仮面」前後の「まぼろし探偵」「8マン」は所有)
「月光仮面」は「まぼろし探偵」風なので眺めるだけ
「リープ」は内容にひっかかるところがなく「エリート」にひかれて読み始める
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「エリート」
主人公竜太郎の前に、ある夜、巨大な目が現れる
自らを宇宙人アルゴーと名乗って、三人の人間を選びその潜在能力を引き出すという、頭脳は五倍筋力は二〇倍に
それで地球が良い方向に向かえばよし、悪い方向なら滅ぼすと言って消えてしまう
同じ頃、日本上空で飛行機が爆発、パラシュートで脱出した親子を待ちかまえていたダンガーがプラズマガンで撃ち殺す
竜太郎は偶然通りかかり、幼児ジョンを助けることができたが
ジョンも敵であるダンガーもアルゴーが選んだ人間、ここにエリート3名が揃うことになる
ダンガーに抗するため、強化服を作り、空も飛ぶようになる竜太郎
研究者の娘ジョディの助けやヨガの大家イスマイリの教えもあってダンガーに立ち向かう
というのが復刻1巻目のあらすじ

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「少年画報」1960年12月号、130円

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62年6月でないのは実に少年画報は文学館にあまり揃ってないため、一番近いものを探してこれということ
「少年」「少女」などかなり揃っているのに月刊誌の王者ともいえる「画報」がほとんどないのは何か理由があるのかな?
さて、7大ふろくは相撲ブックに始まり
以下まんがで、まぼろし探偵/ビリーパック/豆パンチ/特ダネ六さん/ポーさん/パイロットA
桑田次郎「まぼろし探偵」8Pは悪人加保根の脳を利用して生まれた怪人の巻
河島光広「ビリーパック」8P、こうもり団の巻
桑田次郎「Xマン」科学もの、同じ雑誌に2作というのは桑田さんの人気を物語るか
「赤銅鈴之助」最終回、池田屋を奇襲する新撰組から桂たちを逃がそうと活躍する鈴之助たち
おうりゃあとうの真空切りで切り抜けるが、勤王一派は待ち伏せしていた黒さそり団に撃たれる
別のところでは坂本龍馬と中岡先生も黒装束の一味に殺害されてしまう
鈴之助たちは江戸で闘うが時勢に押され、母の元に戻るというラスト
(図版は戦いの最中、母を思い浮かべているところ)Akado

内容的に高めて終えるのでなく、時間に区切られて片を付けた形になっている
平川やすし「あめん坊」相撲もの16P
福田三郎「お笑い一心太郎」16P
伊東章夫「スーパーヒューリー」15P、馬ヒューリーとハミー少年の西部劇、TVドラマのまんが化
南村喬「白馬童子」12P、堀絵風でうまい絵
下山長平「5郎10郎」16P、曾我の五郎をもじった少年活劇もの、出てくる警部は銭形というが、こちらはかなり二枚目
矢野ひろし「怪傑 鷹の羽」16P、日映TVドラマのまんが化
堀江卓「天馬天平」16P
山口よしひろ「犯人はあいつだ」16P、手塚風絵、主人公少年探偵が少女漫画なみに大きな瞳の持ち主というのがおもしろい
他「まんが寄席」につのだ、わちら四人が競作33P

どの作品も完成度高く、60年の時点でも絵水準は「少年」に勝っている、ただ科学を全面に押し出した「少年」の方が探偵もの中心の「画報」よりオリンピック~万博と成長をとげる時勢に適していたと言える

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「少年クラブ」1962年6月号

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講談社 284P、160円
付録は
宇宙ロケットゲーム/不思議な少年/ガロロQ/ロボット三等兵/よたろうくん/マリンキング
巻頭、手塚治虫「不思議な少年」6P
桑田次郎「ガロロQ」8P
木村ただし「町は青空」23P、母の入院に困ったさとるは野球決勝で負けるよう持ちかけられる、友人のたかもりはボクシングでやはり八百長を依頼される
堀江卓「マリンキング」6P、海賊ものもやってたんですね
わちさんぺい「スリーコッペ」11P、お笑い三人組のユーモア作
一峰大二「探偵長イガ」23P、風太郎少年は忍術使い、忍術を悪用する魔鬼は金塊を盗むが、風太郎の父を誘惑している(図版は暗闇に消える忍術に対抗する場面、消えるしかけを解き明かすところ)
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たくみ勝久「かみくずおやこ」10P、くず屋親子のまきおこすユーモア作
伊東あきら「おいら孫悟空」15P、あの孫悟空の活躍ですが、達者な絵柄
楠高治「光れヒロー」17P、宇宙でロボットが登場する科学冒険もの、桑田風絵
こちらは11本中ユーモア作は4で標準か

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「幼年クラブ」講談社1958年3月 P184、110円

六大ふろく 火の山の少年(石森章太郎)/黒馬城(鈴木光明)/ラッキーちゃん(寺田ヒロオ)/嵐風之助(社領系明)/探偵クリちゃん:怪物ジラン(金田光二)/スーパー太郎弾丸ゲーム

山根赤鬼「おすもうごんちゃん」が巻頭作品、「かのこちゃん」といい人気あったんですね
武内つなよし「どろんでん助」(母よいずこ)8P、忍術少年が黒覆面に襲われているおばさんを助けると金の鈴を持つさなえの母であった(おばさんはその証拠に銀の鈴を持つ)
永田竹丸「ロボットS1号」8P、ユーモアもの
宮坂栄一「まぼろし童子」海賊との戦い
なるみひでお「だんぜんだんちゃん」4P、4コマもの
板井レンタロー「スーパー太郎」8P、空も飛ぶスーパーマン少年の活躍、手塚風
大友朗「ながやのゴロたん」6P
ふじこふじお「わが名はXくん」8P
以上が連載もの
ふじこふじお「どろんこ三刀流」15P、父の仇を探す少年剣士ぼうたろう、少年あめじろうや子持ちのだるまさんの助太刀を得てみごと果たすが
最後にだるまさんが討たれ、その子を面倒見ると約束してラスト
ふじこさんは2本も描いています、こちらが特に子供向けにほんわかした絵柄になっている、名前もひらがなで通しているし
「どんべちゃん」江戸ものユーモア作
山根青鬼「カメラがあたりました」9P、赤鬼よりスマートな絵
西田一歩「とんだお客」5P、ユーモア作
桂たろ「やじさんきたさん」15P半裁サイズの綴じ込み
吉田竜夫「天草十字丸」8P、少年剣士もの、リアルな絵物語風の絵、60年から始まる「パイロットA」のなじみ絵柄と比べると全く違うのに驚き
南村喬「ひさくろ頭巾」読み絵10P
20作ほどあるとは、さらに半分がユーモア作品というのも特徴
「幼年クラブ」は文学館に所蔵が少なくて62年6月に近いものを選んでこの号となる
幼年向けだからか、短い作ばかり、ページ数のわりに本数が多いのは中・高学年向け誌に比べると読み物がほとんどないから
内容もほのぼのした感じ、そのくせ付録など見ると他誌より執筆陣が豪華

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久しぶりに梅田

出張帰りにまんだらけに寄るがあまりめぼしい物がない
60、70年代のものは出ているが高くて、単行本が少年もので3000円超え、少女もので2500円とか
巴里夫さんけっこうたくさん、今村洋子さん「チャコちゃんの日記」が出ているがうーん高くてパス
ここ2年くらい高騰している、買い始めた4年前は半分か1000円は安かったもん
団塊世代が懐かしんで買うようになって品薄なんでしょうか
それでは復刻を期待するしかないや
また、80年代のものはあまり出ていない
三山さんの作品このところとんと出ないもの、こちらは再度オークションに挑むかな

結局買ったのが菅原雅雪「暁星記」第8巻(もう出て多のね、なんとこれで完結)
武田京子「さぼてんとマシュマロ 文庫版全4巻」最近このゆるさが気に入り
太刀掛秀子「秋への小径」(文庫で見る、絵柄と違うようで気になり)
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今週の長編:「風と木の詩」76年

寄宿舎に入ってきたセルジュは同室となったジルベールと知り合うが
美貌のジルベールは伯父オーギュスト・ボーによる誘惑で男色を覚え、男ばかりの寄宿舎にあっては人を誘う妖しい魅力を振りまく存在
そんなジルベールをかばいながら、いつの間にか愛して、それを隠さなかったため、学院に多額の寄付を出し意のままというボーと張り合うことになり、あげくは学院を脱走、パリに逃げ貧困の中で二人ぼろぼろになりながら傷つけあいもしながらはかない生を燃やし尽くすというあら筋
問題はオーギュストにあろう、ジルベールを自然のままに育て、世に必要な何も教えず、学院に放り込み、ジルベールを奪ってしまいそうな存在(セルジュ)が現れると保護者然として無理矢理引き取ろうとする
そのなりふり構わぬ行動を取らせたのがジルベールの魅力にあるにせよ、破滅的なようでいながら冷静冷酷な人柄
原因が義兄に犯されたことにあるとしたら、まことに哀しい連鎖

セルジュはジプシー娘を愛して子爵家の身分を捨て、スイスに駆け落ちしたアスランの息子
そんな一途な性格を受け継いでいる
正義感厚いセルジュは最後までジルベールの味方になろうとするが
彼の責任感は天衣無縫のジルベールを追いつめてしまったかも
それほどのきまじめさがなければ、彼を愛した(また彼も愛した)アンジェリンやパットとの中も平穏に進んだだろうし
セルジュの愛情の強さはこの3人に対して同等ほどでなかったか、たまたまジルベールが長らく彼のそばにいたという理由から
セルジュがより関わったと思える

自分の意志で傷つき倒れたセルジュ、ひとのなすがまま倒れ傷つくしかなかったジルベール
二人の結びつきは痛々しい、せめて二人の逃避行がチロルを選んでいたら・・・

セルジュの絵柄もすがすがしいが、やはりジルベールがなまめかしい
とりわけパリについてからの少し年長たる風貌、終盤、クレヨンか鉛筆か薄色を使って描かれる背景に浮かび出るジルベールの姿
ああなまじジルベールは人の姿で見るものじゃない、猫などこそ似合いなのでは?
Takemiya

番外編の主役は意外に寄宿舎の監督生たち、ロスマリネと対抗者のジュール
二人の生い立ちが明かされた後、ロスマリネがジュールの妹への気持ちを打ち明けることで二人がすなおな青年に戻っていることがわかりほっとさせられる、描かれていないが子爵家を継いだセルジュはパットを選んだんでしょう
ボーのその後が明かされていないが、執筆の中に輝きを見いだすことになりそう(悪徳でなく平穏であることを祈っている)
じゃあジルベールは何だったんだ?竹宮さんがいけにえとして紙面に極め付けた欲望だったんですね
壮大な登場人物を繰り広げながら、物語を織りながら、ただジルベールの美、苦しみ、その姿を現出させたかったとすると
竹宮恵子こそオーギュスト・ボーなんだ

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国際児童文学館三訪

この所、急に寒くなったので紅葉が所々で見事になるなか千里万博へ足を運ぶ
予定としてこういう借りだしメモ作っていきました

少年誌忘れ分:幼年クラブ/少年クラブ/少年画報
それと少女誌の62年6月号(ひとみはないので61年4月号)
少女/ひとみ/りぼん/少女ブック/なかよし/少女クラブ
単行本で
飛鳥幸子「ガラスの靴」
横山光輝「おてんば天使2」
青池保子「続 おーい青春」
雑誌で拾っていくのが
あべりつこ「ひっこめ!全ガキ連」マーガレット1974年46号~1号まで借りられるだけ
あべりつこ「ほほえんだ夏」ぶーけデラックス1981年9月20日号
鈴木光明「もも子探偵長」りぼん58年1月号~59年12月
うしおそうじ「おせんち小町」少女56年1月~12月
寺田ヒロオ「スポーツマン佐助」野球少年32年9月~34年5月
のがみけい「風よ雲」りぼん73年6月~74年2月

他時間があれば
金子節子「オッス美里ちゃん」
井出ちかえ「最後のストライク」
丘けい子「カリブの女海賊」「黒いプリンセス」
武田京子「あいつと私」
木内千鶴子「ノラをさがして」 なんかが予定

結局、「全ガキ連」あたりで疲れてきて、「もも子探偵長」を一冊見本に読んで、丘さん、武田さん一冊ずつ借り
「オッス美里ちゃん」も借りたが絵柄が他のと違いすぎぱらぱら見たくらい
続きは次回にでも、それまで報告を挙げていく

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児童文学館便り:「日の丸」62年6月号

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集英社の低学年向き月刊誌 160円246P
付録はウィンテェスター銃、海賊ゲーム
少年ロケット部隊/ナンバー7/ララミー牧場

関谷ひさし「ケンとすてきな仲間」
横山光輝「ロケット部隊」は7Pで付録に
宮坂栄「ぼくらはゼロ戦チーム」11P ほのぼの野球チームの物語
手塚治虫「ナンバー7」8P 宇宙人女王自殺後の展開
くぼたまさみ「タッちんくん」21P 小学生五年一組で肌身で感じさそうと先生が主導して戦争ごっこを始めるというもの
松本あきら「ララミー牧場」16P こちらはTVをなぞったものらしく本来の味がない
岸本修「太郎冒険記」少年ボーイスカウト団がアマゾン奥地に不時着してという冒険もの
ツンツルテン「丸くん」14P 杉浦風はちゃめちゃなユーモア編
山根一二三「ごろっぺ」16P 時代物ユーモア ポコ助とふとっちょ少年
みねたろう「九ちゃん」3P 板井風絵、ユーモア
益子かつみ「太陽少年」25P ボクシングもの 日本人健二が帰国前、アメリカで苦労する編

「日の丸」は「幼年ブック」が改題したものというがこちらが低学年向き、「少年ブック」が高学年向きという区別があまり感じられませんね

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児童文学館便り:「少年ブック」62年6月号

Zsyounenbook6206


282P160円
集英社の高学年向け月刊誌、川崎、益子と劇画風絵柄を採用しているのが特徴的

10大付録はルガー、マジックカラーインキ
少年No1/海底戦隊/くりくり投手/火星ちゃん/黒王子
綴じ込みまんがが3作と0戦の解説

関谷ひさし「少年No1」P7
横山光輝「サンダーボーイ」健児の分身としてのサンダーボーイロボット 怪盗メノウが狙う17P
貝塚しげき「くりくり投手」 甲賀中学との対戦が迫る7Pで付録に続く
わちさんぺい「火星ちゃん」 3P
川崎のぼる「黒い荒野」第6回「手錠をはずせ」ガンマンもの21P
親の敵7悪人を追って3人目のダンカンを苦闘の末倒すチャック少年、次はジム・ブライアンとの対決が待つ
やまねあかおに「九ちゃん一家」8Pユーモア
益子かつみ「日本少年」26P 主人公は東海太郎
父がヤルカン共和国に鉄道技師として赴任するが、給料がごっそり盗まれ盗賊と対決することに
大コマのアップが弱いところ
石森章太郎「ジョージジョージ」 ロケットエンジンを巡り族との対決する丞児(ジョージ)24P
九里一平「ファイター健」18Pプロレスもの
久慈あきら「ジャングルの王者」ターザン風のまさるがジャングルで活躍
アラビアの盗賊がねらう
サランガに助けられるが巨大ゴリラに襲われ、豹の"坊主"が助けに来る

昭和30年以前から月刊誌で活躍していた益子さんは「少年サンデー」にコミカルな「怪球Xあらわる」を連載した後、月刊誌に戻ってよりリアルな絵柄に変えている(「少年ブック」の兄弟版「日の丸」連載の「太陽少年」もそうね) 

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児童文学館便り:「ぼくら」62年6月号

Zbokura6206


160円256P講談社の月刊誌
歴史在る「少年クラブ」より少し年少向け少年誌として54年に創刊され、後TV関連の作品のヒットで「少年クラブ」をくっちゃった様子
水木さんの「カッパの三平」はこの誌に連載されたんだ(66年から)
この当時はまだあまり冴えない内容
その中で松本さんの「オズマ」が光るし、前谷さんの絵の上手さに気づきました
ジャングル冒険セット(コルト、グライダー、猛獣カード、ドロンパー、ゲーム)
別冊 コンドルキング/はやぶさQ/きえる宇宙島/ノーダン・フルベース

武内つなよし「コンドルキング」8P ドクロキング
山川そうじ「少年バブーン」16P ジャングル王者
吉田竜夫「はやぶさQ]8P カーレース
滝田ゆう「ポコチーン」14P ハイキングの巻、ユーモア
松本あきら「電光オズマ」34P
地球征服をたくらむズーラ(ペガン星人)に囚われの身となったオズマはザンバ(ターザン風)たちと敵軍艦から脱出
ズーラは化石円盤で追わせるが、オズマ側は空中戦で優位に
そこで小惑星爆弾を用意するズーラにどう立ち向かうのかというところで続く
伊東あきら「台風ぼうや」15P あさのりじ風ユーモア絵
前谷惟光「ロボットくん」12P
よこたとくお「2わりくん」31P
人の2割程度しか働きのないゆったりした少年2わりくん
引っ越してくるのがかわいこちゃんというふれこみで舞い上がり
部屋には靴のままあがったりで嫌われてしまうという内容

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「ガラスの仮面」の結末は?

天才と認めるマンガ家は手塚、白土二人なんだが、三番目に美内さんが来るかも知れない
まだ42巻、43巻読んでませんし、それで完結じゃないわけで

いや生前(作者の?読者の?)は完成しないだろうという噂
ここまで大きな存在になった亜弓を捨てるわけにいかないから「ガラスの仮面」は最後が決まらないんでしょうね
じゃあラストはどうなるんだろ?
これまでの内容から予想すると

1案:マヤと亜弓それぞれの紅天女が完成する(これだと納得させるだけの演技を二つ用意しなければならないので大変)
2案:マヤは速水との愛を取り、亜弓が紅天女を譲り受ける(これだと演じるマヤに憧れる速水の気持ちが十分くめないことになる)
うーん、二つを合体させて
マヤの紅天女は自然体そのもの、本当の天女然とした表現は深く速水を魅了するが自然と一体化するため奈良の里に籠もるようになり、以後時折地方を巡演して伝説的な女優として記憶される
亜弓の紅天女は磨き上げられた技そのもの、観客を魅了し脚光を浴び、一般的な公演は亜弓が行うことになる
二人とも年を取り、演劇界から遠ざかった頃、奈良の里で再開し二人だけのために自然の中で紅天女を演じる という結びならOK?

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今週の長編:「ガラスの仮面」文庫版23巻

数年前まんが読み出した頃、少女まんがでは何がいいかと聞いて勧めてもらったのが本書
まんがの中で劇が楽しめる、いろんな工夫がおもしろいという紹介だったと思う
近くの漫画喫茶で数巻読み、公演が車事故でじゃまされマヤが一人で芝居をするという所まで読んで確かに読ませるなぁと思い、かつ作りすぎの感じがしていったん置いたまま今まで来たわけ
喫茶では「BananaFish」や「天は赤い河のほとり」など続けて大いに感激した頃ね
少女マンガにも慣れて、少年マンガも読んで、長編も読みたいのはかなり読んだかなというのがこの夏
「ドカベン」は喫茶で読んで「からくりサーカス」は二度目、そういえば「ガラスの仮面」はまだだったと気になってきた頃、ブックオフでたまたま文庫版が安売りしていてまとめ買い
2か月くらいおいて秋も中過ぎる頃読み始めて
参りました
美内さんもの他作にはぴんと来なかったからへたしたら読まずにいたかも知れない
「ガラス・・」は舞台が大きくなっても大げさにならず内容が高まるところが凄い
「ドラゴンボール」でも舞台が広がるとかえって味薄になってくるのに
マヤと亜弓のライバルもすさまじい
少年マンガでは「あしたのジョー」が思い浮かぶが、力石は早めに死んでしまうし、亜弓ほどのライバルは類を見ないのでは
マヤの工夫もおもしろいが、亜弓の努力が痛ましいほどで、亜弓をマヤ以上に慕うファンが多いのもうなずける(私もその一人)
後半になって、狼少女演技がヘレン・ケラーと重なるのと、月影千種が演じる「紅天女」で能面をかぶっていたのが不満(ここは老いた千種の素顔と若いときの顔を交互に描いてほしかった)
「紅天女」はさすがに絵柄で表現しつくせなかったようで、観客にセリフを与えすぎ
でも後半、速水の生い立ちや、千種の一蓮との恋が描かれ充足しました

Garakame


ぞくぞくきたのは「二人の女王」で亜弓が初めて登場する、そのやつれながらも野心を含む顔立ち
これだけ表情を多彩に描いたマンガも少ないと思うが、その中でも迫真のコマでした
今年最高の一作、おそらく全マンガ中でも五指に入るだろう

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アニメ夜話:録画ミス

「電脳コイル」はアニメをすべて見たので解説はいらないやと録画せず、他の二つをるす録に
「ガンバの冒険」は時間設定ずみの旧番組に上書きしたため「録画オン」をチェックし忘れて発効していなかった
このミスを訂正したつもりの「グレンラガン」、一時間ミスして「明日からマ王」が入っていました、あーあ
これはアニメ気分盛り下がりの現況を映したもんね、まるで
「ガンバ」は動物キャラだからまあ、いいかって
「グレンラガン」はあのアニメ絵柄でしょ、話はおもしろそうなんでシリーズが放映になってからでもいいじゃない
というわけで、
このところアニメ録画はゼロ、見たいのが全くなし
劇場版では「エクスマキナ」を借りてかTVかでというぐらい
だいたい「ポニョ」をDVD出てからでいいやと思う時点で04年のアニメ熱は終わってる

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哀しい、クロワッサン

金曜は夕食作りが面倒で、生駒のデパートに寄って買ってくることが月に一度くらい
たいてい鰻かお寿司
ついでにドンクに寄ってパンを買うことも
ここ数ヶ月、クロワッサンが売り切れていて、今日珍しく残っていると見たら、なんと一つが190円
うーん、食パン一斤買えるよ、ドンクのはましな方だが、そこまで出してほしいほどの味じゃなく、パス
穀物高騰以来、特にパンの値上がりが目立つ

フランスからはクロワッサンの缶詰が持ち帰れる
一缶2つ、焼くとちゃんと仕上がるが油少なめで塩気が多いかな
エールフランス機内で注文すると届けられる冷凍パンはふつうの種以上に焼く時間がかかるけれど味はなかなか
これだと日曜の朝でもOK、ただしこのメニューにはミニクロワッサンしかない、それと一個100円くらいでけっこうする
自分で焼くと朝から用意して半日かかり、ようやくお昼に焼けます
一回に10個くらいできるので2つ食べても二日は持つというもの
どうしても発酵に難があったり、家のオーブンでは中までからっといかなかったり、バターがもれていたり
家で作ると大半バター代、それでも300円くらい、粉なんか併せても一個50円以下ですね

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児童文学館便り:「少年」62年6月号 

13大付録
忍術セット(刀、こま、けむり、九ちゃんゲーム)
付録は鉄人/サスケ/ストップにいちゃん/シルバークロス/鉄腕アトム/ナガシマくん/テスターZ/銀河R3/がらくたくん とかなり豪華
付録は多いし、以下の作家陣を見てもこの時点でトップを走る月刊誌
発行元光文社からは数年前、62年4月号がそっくり復刻されました
その時は5000円という高さから購入する気がおこらず友人に借りて読んだくらい
付録もそっくり再現されている、付録だけでもオークションでは1000円超えますし、本体は1万を下らない
「少年」全号の解説も付いていたから今なら買うでしょうね
復刻の表紙写真くらいネットにあるだろうと「少年」は表紙コピーを文学館でお願いしませんでした
それは考えが甘くて、現在はネットに復刻のイメージ画像なんて皆無なんですね
6月号内容は次の通り

横山光輝「鉄人28号」7P 二つの鉄人の巻
関谷ひさし「ストップにいちゃん」8P 
藤子不二雄「シルバークロス」8P脱出の巻
手塚治虫「鉄腕アトム」7P ロボットランドの巻
白土三平「サスケ」7P
小沢さとる「少年台風」22P  空母台風を見学する三郎
寺田ヒロオ「代打者」16P
石森章太郎「少年同盟」23P
一峰大二「宇宙人マッハ」8P
あさのりじ「発明ソン太」16P
板井れんたろう「ポテト大将」16P
前谷惟光「ロボット一家」8P
九里一平「テスターZ」16P
桑田次郎「銀河R3」15P
吉田ゆたか「がらくたくん」14P

復刻借りた時一番新鮮だったのが「テスターZ」
随分リアルなバイクレース描写に驚きました
「がらくたくん」のほのぼのした雰囲気も好き
一峰さんは一昔前の物語絵風で描くから違和感が残ります(ウルトラマンには合っていたかな)

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児童文学館便り:「まんが王」6月号236P

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秋田書店発行、「冒険王」に比べて低学年向けなのでしょうか、作家も同じ人が多いわ
読んだ感じはほのぼの度が強い
付録 円ばんピストル、付録マンガ、がんばれ竜/鉄腕マキ/海神少年隊/ジャングルリッキー

貝塚ひろし「がんばれ竜」8P秘密少年探偵団、ジェト機乗りの話
九里一平「海神少年隊」8P
おざわさとる「ジャングルリッキー」8P、ロボット学者の父、息子のリッキーにタイホウというキングコング型ロボットを造ったりしてジャングル暮らしをしているがバルダ軍がその技術を狙ってくる
一峰大二「鉄腕マキ」少年プロレスラー、11P
あぶ・ハチロー「たいほうくん」8P、わちさんぺい風絵柄ユーモア
大野ゆたか「マッハ部隊」11P
ムロタニ・ツネ象「わんぱくター坊」15Pユーモア
九州から上京するおばあちゃんを迎えに行って一騒動
東信二「ゼロ戦ニッポン」16P 小沢さとる風
板井レンタロウ「スリルくん」15P
デンちゃんポテト大将風、姉ママにしかられる
石井いさみ「ホームラン天使」15P 貝塚風

中頃にのる赤塚作品が注目される
赤塚不二夫「すすめケン太郎」21P
少年科学者山田ケン太郎はロケットエンジンに必須の金属チタンレスを発見
兄はこの研究で亡くなり自分も誘拐されそうになる
危ないところ、黒メガネの男に助けられるが
兄は生きている、母が売ったのだと教えられる
54年6月12日の兄の日記を見つけ墓に刻まれた日付より新しいところから兄を探しに行く決心を
赤塚さんの少年向けアクションは初めて見る、全集にも入ってないようで気になる
62年というと「おそ松くん」連載の年、まだこのころは試行錯誤していた様子
映画好きの赤塚さんは「おそ松くん」でも映画をアレンジしたシリアス作を描いたいたところから見てもストーリーに愛着があったよう

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児童文学館便り:「冒険王」62年6月号 272P、160円

Zboukenou6206


秋田書店からは他に「まんが王」が出ています、それが低学年向けで「冒険王」が高学年向けという位置づけなんでしょう
付録はジェット水中翼船と以下のまんが本
ゼロ戦レッド/ジャジャ馬くん/ザンバ(石川球太)/ハリケンGメン/魔神ガロン/流れ星ビリー(久松文雄)

関谷ひさし「ジャジャ馬くん」が巻頭8Pで付録へ続く
貝塚しげき「ゼロ戦レッド」が7P、赤木隊長以下5名は特攻の用意をしている、続きは付録へ
手塚治虫「魔神ガロン」8P
九里一平「ハリケーンGメン」少年Gメンの活劇7P
当時の読み物企画のメインが野球、プロレス、戦艦、科学
続いて小沢さとる「烈剣五郎」34P 忍者もの
伊東章夫「キングタイガー」冒険活劇14P、石森系の活劇、インドパール王国王子が再建をかけガリララと対決する物語
井上さとる「アパッチ牧場」12P
加賀五三六(いさむ)「清水次郎長」25P、甚兵衛一家との対決で活躍したジロ少年は二人の大人を大政、鬼吉として次郎長一家を立ち上げるその端緒物語
岸本修「少年マッハ」飛行機乗りのはやぶさけんじ、アメリカでの活躍に力道山も登場
一峰大二「木伝くん」12Pユーモア混じりの活劇、現代のぼくでん、父のちょんまげ姿がおかしい
手塚、石川、関谷、九里、貝塚と揃えてるが何か決定打に欠ける作品陣

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関西TV「これでいいのだ!!赤塚不二夫 伝説」

トキワ荘時代をドラマで再現した部分はよく知っているところ
ギャグ漫画の走りが初連載「ナマちゃん」ということや
赤塚さんにとっての愛着作が「レッツラゴン」だとか
離婚した妻が再婚の後押しをしたなんかは初めてしりました
もう少し作品紹介がほしかったので「ナマちゃん」以降当たってみよう
(作品はWikipediaに載る連載作)
1958年 ナマちゃん(漫画王)、まつげちゃん(ひとみ)
1959年 まりっぺ先生(りぼん)
1960年 おハナちゃん(少女クラブ)、ハッピィちゃん(りぼん)、がんばれマミちゃん(なかよし)、あらマアちゃん(なかよし)
1961年 カン太郎(冒険王)、キツツキ貫太(少年マガジン)
1962年 おそ松くん(少年サンデー) 、ひみつのアッコちゃん(りぼん)、青い目の由紀(少女クラブ)、すすめ! ケン太郎(漫画王)
1963年 サーカス☆ジン太(冒険王)、まかせて長太(少年)
1964年 メチャクチャ No.1(冒険王)
1965年 しびれのスカタン(少年画報)、ジャジャ子ちゃん(少女フレンド)、過激派七年生(別冊漫画サンデー)、ユー・ラブ・ミー君 (平凡)、いじわる教授(ボーイズライフ)、キビママちゃん(りぼん)
1966年 スリラー教授(ボーイズライフ)、怪盗1/2面相(少年ブック)、いじわる一家(少女フレンド)
1967年 ミータンとおはよう(りぼん)、スリラー一家(少女フレンド)、天才バカボン(少年マガジン)、へんな子ちゃん(りぼん)、もーれつア太郎(週刊少年サンデー)、ヒッピーちゃん(少女フレンド)
「天才バカボン」が始まった67年が連載のピークのようです
その後は印象深い作品は主に「少年サンデー」連載
1970年「ぶッかれ※ダン」、71年「レッツラゴン」、74年「少年フライデー」、75年「のらガキ」、76年「母ちゃんNo.1」
77年には「少年マガジン」に大工見習いの「建師ケン作」という作品があるんですが、未見、ビッグ錠原作だからストーリーものか?

「ナマちゃん」はちび太の原型という解説だけど、よこたとくおさんの絵柄を思い出す(「カン太郎」「貫太」がちび太そのもの)
「おそ松くん」で多彩なキャラクターが揃い、「ジン太」「長太」はおそ松くん然、「No1」はでかぱんタイプ、「スカタン」はちび太、「スリラー」はイヤミ
「天才バカボン」以降絵柄の爆発が起こりあまり読んでません
「ナマちゃん」以後は少女誌掲載作もシリアスものがなく、ユーモアほのぼの作品になったんですね
「まりっぺ先生」と「青い目の由紀」はストーリーものかな?当たってみたい(62年はおもしろい年で「ケン太郎」はストーリーものです)
赤塚作品は続きものじゃないからラストまで読むことはなくなんとなく読んでるって程度
「おそ松くん」「天才バカボン」「ひみつのアッコちゃん」という3大作以外では「ぶッかれ※ダン」が印象深く終わりまで読んでみたい

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小玉ユキ「坂道のアポロン」2巻目まで

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うーん、1966年舞台ですか
復興後のベトナムを描く世代がこの時期を取り上げるのは
「アポロン」に日本上昇直前の60年代後半が相応しいのか?
母の離婚、父(とは仲がよいが)が海外航路の船長のため叔母の家に預けられ地方の高校に引っ越してきた西見薫くん
メガネかけ優等生タイプ、環境に弱くすぐ吐きそうになる
このクラスには不良っぽいが善人の千太郎とその幼なじみ、気のいい律子がいてすんなりなじんでいく
薫は律子を好きになるが、言い出せないうち、千太郎がのぼせあがる女の子が現れて・・
2巻目にでは、彼女の正体はなんと同じ学校一学年上の百合香とわかり、律子も含めて4人で遊びにさそったことがきっかけで
律子が千太郎を好きなのを薫は知ってしまう
ジャズ仲間の兄貴格淳一が百合香の気になる存在というところで最新巻が終わっていて
従来作からは意外ながら複雑な恋の絡み合いを予想させる
小玉さんは時代の王道からはずれた生活を描く人だから、ポップスでなくジャズ(まあアートブレイキーだからポップスファンにも受けるドラミング)というのはわかるけど、「アポロン」(物語では千太郎のことでしょう)を持ってくるのはなにか含みが?
ラストが気になります

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今週は傑作

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小玉ユキ「Beatiful Sunset」2002年
小玉ユキ短編集2に所収
いやあ、久しぶりにどきどきする恋愛もの読みました
「マンゴーの涙」がサイコーって思っていたがもっと素敵でせつない物語
中学生、杏(あん)は兄貴風格の女生徒、成績はトップ
落ち着いた人柄で自分を出さない
性格が逆のなるちゃんが親友、お付きとしてなるちゃんがファンのわかもっち(若本先生)のもとを放課後ひんぱんに訪れる
杏の心はその隣のホッシー(保科先生)にあるが、誰にも言っていない

ある日、喫煙室でわかもっちが体育の衣川先生とキスしているのを目撃してなるちゃんは大ショック
この後、杏はホッシーとしゃべる機会が多くなり
荷物抱えて帰る夕方なんか、ホッシーに車で送ってもらうことに
車のホッシーはえらくさばけていてドライブしてくれたり
杏は舞い上がってキスする展開に
なんかホッシーは杏のこと気づいていたみたいだし
下心がありそうな雰囲気だし、微妙でゆかしい雰囲気が漂う

さてこの後、意外な展開が・・・・
ショックから立ち直ったなるちゃんは衣川先生に直接問いつめたらしい
それが、先生は遊び気分でしたことで、実は本命が居て
・・・とたんに杏にやばい話になってしまう

そこからの杏の気の乱れようが印象を連ねるように描かれ実に繊細
さらに気の取り直しようは咆吼するようなラストに、やりきれないけれど快哉

まだ初期のこなれない所ある絵が初々しい恋心描くのにぴったり
話はよそ目からみればわずかな出来事、それだけのことなのに初めての恋においては気持ちはあんなにふくれあがっていたんだとまざまざ思い出させてくれる
杏の視線の先にあるコマが実に丁寧に描かれ
セリフもぴったりはまっている
本作、間違いなく今年のベスト作の一つ

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