アユモドキ:生息地に球技場、計画撤回要望へ 京都・亀岡

毎日新聞 2013年03月05日 15時38分(最終更新 03月05日 21時17分)

絶滅危惧種のアユモドキ=京都府亀岡市で大西康裕撮影
絶滅危惧種のアユモドキ=京都府亀岡市で大西康裕撮影

 京都府亀岡市の球技スタジアムの建設予定地に生息する国の天然記念物の淡水魚「アユモドキ」がスタジアム建設によって絶滅する恐れがあることが、日本魚類学会(木村清志会長、約1300人)への取材で分かった。同学会や日本生態学会近畿地区会などは近く、事業主の同府と市に計画の白紙撤回を求める要望書を提出する。誘致した市は予定地に人工の生息域を設ける予定だが、魚類学会は「効果が期待できない」と指摘している。

 アユモドキは現在、国内で同所と岡山県内2カ所の計3カ所でしか生息が確認されておらず、環境省のレッドデータブックで「絶滅危惧1A類」(絶滅の危険性が極めて高い)に分類されている。

 スタジアムはサッカーJリーグの試合が可能な2万5000人規模で、建設費110億円を見込み、14年着工、16年ごろ完成を目指す。予定地はJR亀岡駅北約250メートルの水田12.8ヘクタール。同学会によると、南に隣接する曽我谷川にアユモドキの唯一の産卵地があり、稚魚は予定地内の水田や用水路を泳ぎ回って成長するという。

 市は予定地の約3.6ヘクタールをアユモドキとの「共生ゾーン」とし、人工水路などを設けて生息環境を維持する方針だが、詳細は未定で、来年度に予定地内の魚類・植物などの生態を調査し、専門家の助言を得て14年度中に保護方法を最終決定するという。同学会は「重要な生息地である農業用水路の大部分を埋め立てれば、甚大な悪影響を与える」と指摘し、共生ゾーンの効果は「市の希望的な目標に過ぎない」と要望書で批判している。

 スタジアムを巡っては、推進団体による約50万人の署名を受け、府が用地の無償提供を条件に誘致自治体を公募。京都市など5市町が立候補し、12年12月、交通の便や造成費の安さから亀岡市に決定した。

 府自然環境保全課は「本格的な環境調査はこれから。共生ゾーンで新たな産卵場所を作るなど、建設の影響が最小限になるよう学識者と検討していきたい」と説明。同学会自然保護委員長の細谷和海(ほそやかずみ)・近畿大教授(魚類学)は「共生ゾーンの効果は未知数で、十分な検討もせずに着工すれば、取り返しのつかないことになる。建設ありきの姿勢で進んでいる現計画は、国有財産であるアユモドキの存在を脅かす」と指摘している。【村田拓也】

 【ことば】アユモドキ

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