xapの日記: 人間のクズになってみた 11
三年ほど前、役職が上がった。
責任と会社に居る時間が一気に増えた。 が、給料はほとんど増えなかった。
作業量は、自分ひとりでできる分量を簡単に超えた。
部下と一緒に、なんとかこなした。
だが、仕事量はいっかな減らなかった。
プロジェクトの掛け持ちは当然で、その上に3~4社の保守業務、社内の管理業務、経営資料……
部下に振れる作業は、全て部下に振った。
だが、仕事は増える一方だった。
このご時勢、仕事があるだけでも良い事。自分に言い聞かせる毎日。
心の中から、余裕というものが消えた。
***
二年ほど前、新入社員のときから面倒を見ていた、一番信頼していた部下Oが退職した。
Oから退職の意を告げられたとき、心から引き止める事ができなかった。
今まで、上司としてOを十分に守る事ができなかったから。
理不尽な会社からの要求を、理不尽と思いながらもメンバーに告げる自分が心底嫌いになった。
この頃から、会社で心から笑う事がなくなった。
なにもかも、失敗するような気がした。
人と話すが怖くなった。
自分を押し殺して、なんとか仕事をこなした。
作業の遅れ、お客様からの苦言が多くなった。
奥さんに、ちょっとふざけた感じで「転職していい?」と聞いてみた。
「ふざけんな」
男らしい回答だった。
***
数ヶ月前、四年間一緒にいくつかのプロジェクトを共にしてきたメンバーKが退職した。
Kから退職の意を告げられたとき、心から引き止める事ができなかった。
この会社に居ても、Kの為にならないと判っていたから。
これまで、長い間会社に尽くしてきたにも関わらず、会社は最後の最後まで、Kに理不尽な要求をぶつけてきた。
それを告げたとき、自分の中で何かが砕けた気がした。
誰と話すにも萎縮してしまう自分が居た。
奥さんとも話せなくなった。
というか、暫く前から話していない。奥さんとは完全に心が離れている。
不安感で押しつぶされそうだった。
異常だと思った。
その週の日曜日、生まれて初めて心療内科に行った。家族には内緒だった。
「うつにはなっていない。だけど、いろいろな要因で不安症状が出ている」との診断だった。
不安を抑える薬を処方してもらった。
その日、薬を飲んだが、不安感は消えなかった。
月曜日が近づく、また、会社が始まる。
動悸が止まらず、寝れなかった。
朝食を食べ終えて、奥さんがパートに出かける時間になっても、家に居た。
「今日は遅くていいの?」
「うん。近くの会社さんに直行だから」
あ、そ。と言って、奥さんは出かけていった。
子供たちが学校に出かける時間になっても、家に居た。
「行ってきまーす」
声を揃える長男と娘を抱きしめた。
「行ってらっしゃい。いい子でな。」
キョトンとした表情のまま、学校に向かう子供たち。
誰も居なくなった家の中で、奥さんに手紙を書いた。
現状の事、人が怖い事、会社に行く時間になってもスーツが着れなかった事。
最後に、「ひとりになって考えます」と書いて家を出た。
着替えや当面必要そうなものを、リュックに入れて自転車に跨った。
借りていた本を図書館の返却ボックスに返した。
会社の上司に、不安感がとまらず、昨日心療内科に行って薬を貰ったが会社に行ける気がしない。とメールした。
雪が降ってきた。
携帯の電源を切り、少しはなれた場所にあるスポーツショップに向かう。
月曜の午前、客もまばらなスポーツショップで、キャンプ用品売り場に向かう。
暖かそうなシュラフを見つけ、それに手をかけた。
これを買ったら、もう家には戻れない。
そう思った瞬間、子供たちの顔が頭の中に広がった。
涙が出てきた。
このままでは、明らかに不審者なので、トイレに非難した。
ふと、携帯が気になって電源を入れた。
上司からのメール受信があったが、読む気になれなかったので開かなかった。
その時、奥さんからメッセージが入ってきた。
「これ見たら返事して」
「たまたまお母さんが家に洗濯物とりこみにきてたの」
「手紙お母さんにみられちゃったよ」
「パート上がってきたから、子供たち帰ってくる前に話そ」
「会社なんかやめていいから」
奥さんから返事があったとしても、「ばか」「そのまま死ね」とか言われると思っていた。
すぐに奥さんの携帯に電話した。
「なにやってんのよー、ばかー」
いつも気丈な奥さんが、泣きじゃくっていた。
自分は何をやってんだろうと、ほんの少し、正気に戻った。
涙が止まらなくなった。
家に戻り、奥さんに謝った。
それから、全部話した。
心療内科に行ったのはバレていた。
自分が居なくなり、連絡がつかないので、すぐに会社かばんを探ったらしい。
処方箋と薬が出てきたから、その病院に電話して確認したらしい。
心の中の靄がかなり、晴れた。
***
そんなことがあったが、会社の方は結局、なにも変わらずだった。
「自分が居なきゃ」「自分がやらなきゃ」
なんて考えは、ただの妄想だと思った。
何事も無かったように、来期の話がされている。
何事も無かったように、ゴルフの誘いが来る。
何事も無かったように、仕事が増える。
もう、辞めよう。
その日薬を飲んでも (スコア:2)
>その日、薬を飲んだが、不安感は消えなかった。
そりゃそうだ。って、書かれなくても今はわかってるでしょうけど。
そこそこの会社は誰がいなくなっても回っていけるしね。
昔勤めてた会社で課長や部長や工場長まで倒れたり亡くなられたことがあったけど、なんにも問題なく会社は続いてた。
結局最後は潰れたけど。
でも、家族はそうは行かない。
いい奥さんに愛されているようでなにより。
「○○は心の風邪」とか言ってるやつはどっか行って欲しい。
風邪みたいな気楽なもんじゃないよ、そりゃ風邪でも体力なかったり症状がひどければ命にかかわるけど。
街中でウイルス感染するようなもんでもないから。
自分の場合は資質もあるだろうけど、生活(と身近な社会)環境と習慣が一番大きな原因だと思ってた。
克服するのにものすごく時間と労力と金が掛かり、今はなんとかなったけど失ったものもものすごく多かった。
貯金もそれまでのキャリアも全て一回無くなった。
あとから振り返れば生活環境も習慣も一度完全に崩壊し組み立てなおしてなんとかなってた。
当時は独り者で頼れる家族が近くには居なかったのも大きいかも。
有効な解答も治療法も唯一つじゃなくてケースバイケースなのは確か。
オーソリティが太鼓判を押すいい方法や薬なんてのもあるわけない。
でも悲観することもないから。
そこに何時まで居るのか要られるのかはわからないけど、
風向きはいつか変わるし、そのうち夜も開けるから。
それまでもそれからも周りの人のことを大切に。
今までも今もこれからもいろんな人に関わって何かをして其れ以上に助けてもらってるはずだし。
人という字はと言うあのドラマでよく聞く話は嫌いだけど、まぁそういうのもあるし。
隔離病連に入院中、ある修養でそういうことに気がつくようにされてなんとか復旧しました。
Re:その日薬を飲んでも (スコア:1)
コメントありがとうございます。
>そりゃそうだ。って、書かれなくても今はわかってるでしょうけど。
そうですね、2週間は続けないと効果は出ませんよって医者に言われました。テヘ。
貴重な経験のコメントありがとうございます。
なんか泣けてきます。
現状は、既に別の会社さんに内定もらってます。年収は下がるけど、この会社に居続けるよりはマシです。
あとは、切り出すタイミングだけです。
まあ、半分以上はウソなんだけどね。
淡々ときりだせばいいのでは。 (スコア:1)
切り出し方は、、そこまでひどければ事務的に淡々と、でいいのでは。
下手な未練をのこすより、「やめるという事務をこなす」とまで割り切ればいいと思います。
もはや「あなたには関係のない場所」なのですから。
どうせ退職金も出し渋りそうなところだろうし。
そう思います。
Re: (スコア:0)
2週間は続けないと効果が出ない薬ということは、抗不安薬(マイナートランキライザー)ではなく、抗うつ剤(SSRIもしくはSNRI)を処方されたということですね。
「生まれて初めて心療内科へ行った」「心療内科に行ったことがバレていた」等の記述から、精神関係の病気に対してある程度の偏見をお持ちであると推察されますね。
テヘ。なんて書いてるところからして全然大丈夫そうなので、好きにしてくださいとしかいいようがないですね。
Re: (スコア:0)
ああ,読んでいて少し涙がこぼれました.
>いい奥さんに愛されているようでなにより。
ほんとですね.
どうか,一つ一つゆっくりと気持ちを片付けていってください.
Re:その日薬を飲んでも (スコア:1)
コメントありがとうございます。
とりあえずは、すこしずつ立て直して生きたいと思います。
まあ、半分以上はウソなんだけどね。
逃げだよ。 (スコア:0)
つか、おもしろくも無い小説かな。オチもないし。
事実だとしたら自分の無能力を棚に上げて、不幸自慢しているだけだ。
くりかえし出てくる「会社に尽くし」がですべてを誤魔化しているのが、まとまって吹き出ただけだろ?
奥さんも、悪いのにぶつかったよな。子供は親を選べないから同しようも無いが。
Re:逃げだよ。 (スコア:1)
コメントありがとうございます。
おもしろくない、ヤマなし、オチなしな、同しようもない読み物と思ってください。
テヘ。
まあ、半分以上はウソなんだけどね。
Re: (スコア:0)
なんて血も涙もない奴だ。。。
Re:逃げだよ。 (スコア:1)
世の中いろんな考えがありますからねぇ。
確かに、逃げではありますし。
まあ、同しようも無いですね。テヘ。
まあ、半分以上はウソなんだけどね。
Re: (スコア:0)