<サンデー時評>居所不明の小中学生千人と「親」
サンデー毎日 3月6日(水)17時0分配信
すぐに質問が飛んだ。
「赤ん坊の時に吸った感触を、その兵隊さんは覚えていたということですかねえ」
「そうじゃないんですよ。公衆の面前で、そんなことができる女性は世の中に母親一人しかいない。息子もすぐにわかったんじゃないですか」
と話題提供者が答え、質問者は愚問を恥じた。
さて、居所不明の小中学生約千人の話に戻ると、二つの親子物語に登場するような父親、母親がいたころ、居所不明事件など起こるはずがなかった。親子が深い情愛で固く結ばれていたからだ。いまは情愛が浅く、薄くなったと簡単に言い切ってはいけないと思いつつも、やはり親子関係は次第に疎遠に流れているように見えて仕方ない。
例が適当でないかもしれないが、以前から気になっていた。観光地をのぞいても、食べもの屋に入っても、列車に乗っても、とにかく女性グループが目立つ。みんなで渡れば、でもあるまいが、女性同士で楽しむ情景を見るたびに、
「子供はどうしているのかな」
と思ってしまう。私が小中学生のころ、帰宅すれば必ず母親がいた。どの家庭でもそうだった。
いま母親がいないことに子供のほうも慣れ、一人部屋でゲーム機を相手に満足している。母子の会話量も、母親が叱る回数も格段に減っているのではなかろうか。これは恐ろしい変化だと思ったほうがいい。
<今週のひと言>
おごるなよ、自民党。
最終更新:3月6日(水)17時0分