アラビア語を学べる横浜国際高等学校(1)

 アラビア語を学べる唯一の公立高校      
 昨日、横浜国際高等学校を訪問した。
 なぜなら、ここが唯一のアラビア語を第2外国語として学ぶことができる公立高校であるからだ。

 ここにたいして、サウジアラムコが生徒のアラビア語の習得およびアラビア文化の理解に寄与するために、10万ドルの寄付を申し入れたことから始まった。実際には、神奈川県にはこれほど大きな寄付に対する受け入れ規定がないため、教育物品の寄付とこの学校でアラビア語を学び、将来国際社会で活躍する意欲を持って4年制大学へ進学するものに奨学金を出すということになったという。
 毎年3人の生徒が選ばれ、これを10年間も行うことができるほどの基金がサウジアラビア王国国営の石油会社サウジアラムコから寄贈されたというのだ。

 昨年10月にアラビア書道作品展でやはり、アラビア書道にも寄与していただいたサウジアラムコ サウジペトロリアム・リミテッド東京支社の小池栄樹顧問のお話の中でこのことを知った。市民であっても公立高校にアラビア語を学ぶところはあるとは知らないのに、驚かされた話である。
 12月には、神奈川県松沢知事からの感謝状がナーセル・アルマハシル支社長に贈呈された。

 前置きが長かったが、こうした事情のもと、着々とアラビア語選択者の学ぶ教室の環境が整えられ、その教室を『サウジアラビアYIS友好教室』と呼ぶ。
 YISとはこの高校の英語名 Kanagawa Prefectural Yokohama Senior High School of International Studiesの略称でYIS(ワイズ)と読む。つまり、サウジアラビア王国と横浜国際高等学校の友好の教室ということである。
 また、アラブ文化を代表するものとしてアラビア書道作品が日本の第一人者である本田孝一教授から寄贈されたのだった。

 そして3月26日、その横浜国際高等学校の教室で、『サウジアラムコ友好協会奨学金及び感謝状の贈呈式』が行われた。


    『サウジアラビアYIS友好教室』で、奨学生と招待者一同。(このブログへの掲載の許可をいただいています)

一見、美術館のように見えるのは大きな美術館向けアラビア書道作品が飾られているからだ。教室の机やいすは普通の高校と同じなので、不思議な感覚である。

しかし、前方を見ればこれまた最新のホワイトボードに上から照射し、かつそのうえでのペンの動きをキャッチしてこのホワイトボードはまるでPCのタッチパネルのように扱えるのだ。

 しかもペンで書き込み自由となる。そして上からの照射なので授業者が前に立っても影にならないとの説明があった。

左上には壁掛けのTVがかけられ、ブルーレイディスクとともに最新鋭の教室であり、また、伝統のアラブ文化と砂漠の写真など、この教室に入るだけでアラビア語やアラブ文化への学習意欲を掻き立てられそうな教室が2つ用意されていた。

    サウジから送られてきた砂漠の写真や卒業生のアラビア書道作品がアラブっぽさを演出する。

 これらの寄贈がなされた部屋で学び、優秀な生徒には奨学金が与えられるので、意欲的な生徒には公立高校としてはめったにないチャンスとなる。次年度から、アラビア語履修者が増えるのではないだろうか。


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by miriyun | 2011-03-27 23:54 | Comments(10)
Commented by 霧のまち at 2011-03-28 10:10 x
こんな学校があるんですね~。 驚きでした。
私がそんな年齢だったら 選んでみたい学校です。
日本にはまだ少し遠いアラビア、ぜひともいろいろ学んでみたいですね。 
Commented by 谷間のゆり at 2011-03-28 21:06 x
好いですね、意欲のある若者に学ぶ場を用意する人格者が居るアラブは。
世界が繋がって言う為にも。
Commented by miriyun at 2011-03-30 08:03
霧のまちさん、地元なのに私も昨年まで気づきませんでした。
努力した人がたくさん報われ、志を持って進む機会を得られるのは素晴らしいことです。
Commented by miriyun at 2011-03-30 08:05
谷間のゆりさん、
小さな一歩でもそこからやはり世界は繋がっていくと思います。
とても楽しみなことです。
Commented by yumiyane at 2011-03-30 19:14
このお写真の中にmiriyunさんもいらっしゃるのではないかと思っておりますが、如何でしょうか。
こうして、早くからアラブの文化と接していると、異民族とか異文化とか、宗教の違いとか、そういったことでの反目はなくなっていくでしょう。
駒場にも国際高校はありますが、そこは英語だけのようです。
横浜は土地柄でしょうか、目が外に向いていますね。
Commented by miriyun at 2011-03-31 07:19
yumiyaneさん、明るい未来を目指す意欲ある瞳に出会い、
厳しいニュースばかりでなくこうしたことも是非お知らせしたいと思いました。
早くから世界に目が向き、普通に多彩な文化に触れるのはいいことですね。
Commented by mitra at 2011-03-31 14:45 x
最新鋭の機器に驚きの教育資金。
さすがサウジです。
それにしても、皆さんおっしゃっていますが、自分がもっと若いときに、こんな教育を受ける機会があったらどんなによかっただろうと思います。ネット文化も無かかりし時代、当時の地方都市でアラブや中東の文化に、今のように触れる機会がくるとは思いもしていませんでしたから。
多角的・多元的な視点を持った若い世代が、これから訪れるであろう混迷の日本を担う一端を担ってくれるといいですね。
Commented by なな at 2011-04-02 01:11 x
googleのPF作業、この高校も参加しているのですね
頼もしいです

うちの姪っ子も高校で英語、仏語、韓国語の3つをやってて
いまどきの高校ってすごいなーって思ってましたが
アラビア語のある高校もあるんですねー
最新機器もすごいですね
OHP世代なもので。。
Commented by miriyun at 2011-04-03 05:53
mitraさん、石油だけに印象のあるサウジアラムコが広くいろいろな分野での貢献に乗り出している様子がわかってきました。
 この高等学校での奨学金という形の基金はとてもいいですよね。
日本でも大学生以外にもこのような奨学金制度があると、若いうちからの目標を持って学ぶ気持ちになると思うので、このような奨学金制度はもっと広がっていくといいです。
Commented by miriyun at 2011-04-03 06:17
ななさん、そういえば以前はOHPを見ただけでおぉ~という時代がありましたね。年々の変化に驚くところです。
最新式プロジェクターはそこの場で作業ができるように工夫されているので授業でとても役に立つと思うのです。
英語・フランス語・韓国語をやっていらっしゃるという姪ごさんもまた先が楽しみですね~!
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