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【社会】

足立でも「認可」増設を 保育所不足 区に異議申し立て

認可保育所不足問題で、足立区教育委員会の担当部長に要望書を読み上げる母親代表の甲斐ゆきさん(左)=28日、東京・足立区役所で

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 多くの希望者の子どもが認可保育所に入れない問題で、東京都足立区の母親二十二人が二十八日、入所を「不承諾」とする区の通知に対し、行政不服審査法に基づく異議申立書を集団提出した。近藤弥生区長宛ての要望書も手渡し、認可保育所の「抜本的な増設」を求めたが、区は都の認証保育所や小規模保育室など認可外施設の利用を進める方針を崩さなかった。 (柏崎智子)

 集団での申立書提出は、都内では杉並区に次いで二例目。申立書を取りまとめた甲斐ゆきさん(33)は、対応した区教委の担当部長の前で「子育て世代のニーズを正面から受け止めず、適切な対策を講じない行政に憤りを感じている」との要望書を読み上げた。

 甲斐さんの住む地域は大規模開発で子どもが急増。認可保育所の不足は明らかとして昨年十一月に、都営団地の敷地内への整備を区議会に陳情したが、継続審議とされた。同様に子どもの増えた別の地域から先に出された認可保育所増設の陳情は、区議会で否決されている。

 担当部長は「真摯(しんし)に受け止める」と回答。しかし、その後の報道陣の質問には、認可保育所の整備は、大規模開発地域であっても、認可外も含めて保育施設の供給が足りない地域に限るなどとする従来の方針を繰り返した。

 その上で都認証保育所や区の小規模保育室などの認可外で対応すると説明。需要の多い認可保育所に消極的な理由を、財政負担が大きく、人口推計で一三年度をピークに未就学児が減るためとした。

 足立区では、公立と私立を合わせて八十八カ所の認可保育所に、三千七百四十人が入所を希望し、二月二十七日の時点で千二百七十八人が入所を認められていない。

 異議申し立ては区教委で審査し、「不承諾」の決定が妥当だったかどうかを六月までに回答する。

 四月の入所時期までには間に合わない見通し。

希望者のほとんどが「待機」状態であることを示す区の台帳

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◆8割超「認可」求める

 足立区では昨年二月、認可保育所に入れなかった区内の母親らでつくる「保育所つくってネットワーク」が就学前の子どもを持つ保護者を対象にアンケートをまとめている。区は認可外保育所も含め保育需要を吸収する方針だが、アンケートでは認可保育所を求める声が多数を占めた。

 子育て世代の多い区内各地のマンション住民を中心にアンケート用紙を配布し、そのうち就学前の子どもを持つ百三十七人が回答。保育施策への要望では八割が施設の増設を挙げ、そのうち87%が認可保育所を求めた。

 また、四割以上の人が認可保育所へ申し込んだ経験が「ない」とし、その理由を半数近くが「無理だと思ったから」と答えていた。

 自由記述では「保育園が見つからず会社をやめた」「高い認証保育園に預けて働き(給料が)ほとんど手元に残らなかった」「(一歳では)入りにくいので、もう少し育児したかったが、ゼロ歳で入園させた」など、保育所確保の厳しさをうかがわせた。

 ネットワーク代表の斉藤真里子さんは「大多数が認可保育所を求めている。この現実から区は目を背けないでほしい。認可外でもいいと言い訳せず、認可保育所を増やしてほしい」と話している。

 

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