東海第2原発:再稼働中止を JCO臨界事故で被ばくの大泉さん、日立市議会に1654人の署名集め請願 /茨城

毎日新聞 2013年03月06日 地方版

署名とともに請願を市議会事務局に提出する大泉さん(左端)=日立市助川町の日立市役所で
署名とともに請願を市議会事務局に提出する大泉さん(左端)=日立市助川町の日立市役所で

 ◇「忘れ去られてはいけない」

 1999年の東海村の核燃料加工会社「ジェー・シー・オー」(JCO)臨界事故で被ばくした日立市の大泉恵子さん(73)が5日、日本原子力発電東海第2原子力発電所(東海村)の再稼働中止を求める請願を同市議会に提出した。請願には大泉さんらが集めた同市民1654人分の署名が添えられた。東京電力福島第1原発事故から間もなく2年となる中、大泉さんは「皆が忘れかけたころだからこそ、新たに思い出させる必要がある」と訴える。

 「事故が起こったら日常生活が営めなくなるんです」。2月4日、日立市みなと町の「久慈サンピア日立」周辺の住宅街。大泉さんや賛同者6人が、東海第2原発再稼働中止の必要性を説明しながら、署名用紙を手に一軒一軒訪ね歩いた。多くの人が署名に協力する一方、「商売をしている以上、署名はできない」と個人商店を経営する女性(56)は心苦しそうに断った。「まだやっているのか」と事故が既に過去のことのように話す人もいれば、「お前らみたいなのがいるからだめなんだ」と男性に罵倒されることもあった。

 大泉さんが請願提出に向けた署名活動を始めたのは昨年12月中旬。「原発事故が忘れ去られている」と感じたからだった。大泉さんは、臨界事故の影響で心的外傷後ストレス障害(PTSD)になったとして、JCOなどを相手に約7年8カ月に及ぶ損害賠償請求訴訟を闘った。事故の風化が進む中「まだそんなことを言っているのか」と言われたこともある。今、福島原発事故も同様の経過をたどりつつあると痛感する。「忘れられるのはつらい。今も福島で苦しんでいる人がいると思うと、何かしなくてはいけない」と署名集めに取り組んだ。

 請願では「臨界事故を体験し、福島第1原発事故の放射能の影響も体験している」として、東海第2原発の再稼働を認めないことを求める意見書の採択を要請している。大泉さんは「若い人や子どもたちには同じ苦しみを味わわせたくない」と話す。

 日立市議会ではこれまでにも東海第2原発の廃炉や再稼働中止を求める請願・陳情が提出されているが、いずれも不採択だった。今回の請願は14日の市議会本会議で付託先の常任委員会を決定し、早ければ18日に審査される予定。【杣谷健太】

最新写真特集

毎日新聞社のご案内

TAP-i

毎日スポニチTAP-i
ニュースを、さわろう。

毎日新聞Androidアプリ

毎日新聞Androidアプリ

MOTTAINAI

MOTTAINAIキャンペーン

まいまいクラブ

まいまいクラブ

毎日RT

毎日RT

毎日ウィークリー

毎日ウィークリー

Tポイントサービス

Tポイントサービス

毎日jp×Firefox

毎日jp×Firefox

毎日新聞のソーシャルアカウント

毎日新聞の
ソーシャルアカウント

毎日新聞を海外で読む

毎日新聞を海外で読む

毎日新聞社の本と雑誌

毎日新聞社の本と雑誌

サンデー毎日

サンデー毎日

毎日プレミアムモール(通販)

毎日プレミアムモール(通販)

毎日新聞のCM

毎日新聞のCM