東日本大震災:県外避難者、悩み尽きず迷いも

毎日新聞 2013年03月05日 02時30分(最終更新 03月05日 03時07分)

福島県飯舘村の保育園にいた時に長女結心ちゃんが作った工作を見て笑う大村ちあきさん=山梨県昭和町で2013年3月1日、春増翔太撮影
福島県飯舘村の保育園にいた時に長女結心ちゃんが作った工作を見て笑う大村ちあきさん=山梨県昭和町で2013年3月1日、春増翔太撮影

 「帰りたいけど、帰れない」。東日本大震災から2年になるのを前に毎日新聞の県外避難者アンケートでは「移住」の意向を持つ人が8割にも上ったが、調査票からは心の揺れや迷いがうかがえた。

 福島県南相馬市に残る会社員の夫(32)と離れて、山梨県甲州市の市営住宅で、長女結心(ゆい)ちゃん(4)と母子避難を続ける大村ちあきさん(28)は「移住は考えていない」に○を付けた。

 2年前、原発爆発を知り、娘を乗せ車を走らせた。山梨県富士河口湖町の避難所を経て甲州市に。結心ちゃんは保育所に入り、友だちもできた。放射線量は低く、食材の心配もない。「ママ大好き」と言ってくれる娘との生活は、「福島にいるより子供を守れている」と感じてきた。

 今年の正月、福島に帰省した。夫や両親ら大勢の家族に囲まれ、大はしゃぎだった結心ちゃん。山梨に戻り、少しさみしげな様子だったので聞いてみた。「パパやばあちゃんたちとすぐ会えるのと今とどっちがいい?」。答えは「みんなと一緒がいい」。その一言に、はっとした。

 ちあきさんも、山梨に戻る道中、車を運転しながら涙が止まらなかったのだ。1人の子育てはつらいと思う時もある。二重生活は経済的にも楽ではない。

 帰還を決意した。

 新年度から保育園に入れるよう、今月18日に南相馬市へ戻る。しかし不安は募る。外遊びは? 食べ物は? 何より近所の人は福島を離れた自分たちを受け入れてくれるだろうか。

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