IOC評価委委員長(左)を迎える吉田(右)、伊調(中央右)=東京都江東区の東京ビッグサイトで(戸田泰雅撮影)
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3都市が争う2020年夏季五輪招致で国際オリンピック委員会(IOC)の評価委員会は6日、東京での3日目の現地調査を行った。この日は宿泊施設、輸送、メディアについてのプレゼンテーションを受けた後、レスリング会場などを予定している東京ビッグサイトを視察。訪問先では吉田沙保里(30)、伊調馨(28)=ともにALSOK=、小原日登美(32)、米満達弘(26)=ともに自衛隊=の4人の金メダリストがPRした。最終日の7日は評価委が記者会見する。
複雑な思いを胸にしまい、懸命に「東京」をアピールした。「いい感じで東京を分かってくれたと思う」。吉田はプレゼンテーションの感触を振り返った。
レスリング会場などが予定されている東京ビッグサイト。だが2020年にはレスリングそのものが五輪から除外されている可能性もある。招致に成功したとしても、その場に立てないかもしれないジレンマ。もちろんこの日はレスリング存続を訴える場ではない。招致アンバサダーとして役目を全うした。
招致を第一に考えながらも気になるレスリングの存続へ、明るい手応えも感じていた。3日に行われた非公式の歓迎パーティーではアスリート委員会代表のクラウディア・ボケルIOC委員(ドイツ)から「復活を願っている」と声を掛けられたという。「うれしかった。いろいろな人に声を掛けてもらい、いい印象を持ってもらえたと思う」とその時の様子を振り返った。この日のプレゼンでもロンドン五輪金メダリスト4人が勢ぞろい。日本レスリング協会の福田富昭会長も「何らかの印象に残ったと思う」と、無言のメダリスト効果に期待した。
招致活動が一段落した5月には、ロシア・サンクトペテルブルクで今度はIOCの理事会が控える。「行きたい。プレゼンもしたい」とこちらも全力投球の構えだ。「この場所に(選手として)戻ってきたい。強く願ってます」。吉田は7年後、東京で五輪が開催されること、そのマットに自身が立つことをあらためて熱望した。 (川村庸介)
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