浩二監督、頭を悩ます!? キューバ戦
6日、1次ラウンドA組最終戦
著者 = 永塚和志
(スポーツナビ)2013/3/5 12:50
先発は大隣が濃厚 昨秋の対戦で好投
ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)1次ラウンド・プールA最終日の6日、同組1位通過を懸けて、ともにここまで2連勝の日本代表とキューバ代表が対戦するが、2チームがどのような試合運びをするかが興味深い。というのも、東京での2次ラウンドでも両者が再び対戦する可能性があるからだ。次のラウンドまで、あるいはその次の当たる時まで戦力を多少なりとも温存することが考えられる。
ただ、日本はまだまだ投打で本来の力が出ているとは言い難く、いわば調整段階にある。その意味では、この試合を無為に戦うことはできないし、変な形で負けることがあればこの先、相手に精神的なアドバンテージを与えることになってしまう。
日本の先発マウンドに上がるのは大隣憲司だろう。昨年11月の親善試合の際には左腕が比較的苦手とされるキューバを相手に好投している。大隣とすればここで再び良い投球を見せ、このまま2次ラウンド以降も先発ローテーションに残りたいところ。チームとしても彼が快投を見せれば、この先の対戦でも再び同投手を使う方向に持っていける。
本領発揮しつつあるキューバ打線
一方で、強化試合ではいまひとつ迫力が感じられなかったキューバが、ここに来てようやく本領を発揮し始めている。4日の中国戦では2本の本塁打を含む15安打と爆発し、7回コールド勝ちを収めた。それまで3番を打ちながら不振だったユリエスキ・グリエルを7番に下げ、代わって3番に入ったホセ・フェルナンデスが3安打2打点と爆発するなど、ビクトル・メサ監督の采配もさえた。同監督自身も「チームの状態は上がってきている」と認めており、6日は好試合になりそうだ。キューバの先発投手は、1日の対福岡ソフトバンク戦で先発し2回を1安打無失点に抑えたウィルベル・ペレスの順のように思えるが、あるいは2次ラウンドまで温存するかもしれない。同チーム投手陣は、強化試合までは制球に苦しみ、四球が多かった。しかし、本戦へ入るとしっかりと修正。ブラジルと中国との対戦では計3四球を出しただけだった。ブルペンにはノルベルト・ゴンサレスに代表されるような変則的な投げ方のリリーバーが多いだけに、ペレスを攻略できなければ日本も苦戦するだろう。その意味では、6日の試合は勝敗は別として、日本としてはそうした変則投手を何とかブルペンから引きずり出して球筋を見ておきたい。
ただし、「我々にとっては日本戦が一番重要でなわけではない」とメサ監督が中国戦後述べたように、キューバも当然2次ラウンド以降の戦いを狡猾(こうかつ)に見据えている。同監督は「台湾のグループ(プールB)の状況も考えなければならないので、まだこの段階では戦略を立てることはできない」と、日本戦についての質問をのらりくらりとかわしたが、同時に、2次ラウンドで対戦するプールBのチームの状況も見ながら戦っているようだ。
投手起用に難しさ 今大会の厳しい日程
日本は往々にして、どういう状況でも全力を尽くすところを美徳としているが、さすがにこのキューバ戦を是が非でも勝ちにいくということはないだろう。それにしても、今回のWBCは1次と2次ラウンドの間が中1日(※プールBは2日)しかなく、とりわけ投手起用の面で難しさがある。日本に関して言えば、2次初日の8日には、キューバ戦の勝敗に関係なく2試合ある内の2試合目に戦うことが決まっているが、それ以降は勝敗次第で決勝までの試合日が変わってくるのだ。8日勝利なら8日→10日→12日(※10日に勝利した場合)と調整が楽な中1日の日程か、8日→9日→11日→12日(※9日と11日に勝利した場合)という日程になるかが分かれる。
本稿執筆時点ではまだプールBからどこが勝ち進んでくるかが分かっていないだけに、このへんことは考えても仕方がないといえば仕方がない。ただ、言えるのは、6日のキューバ戦後すぐに、より厳しい2次ラウンドが始まるということだ。
山本浩二監督以下首脳陣は2次ラウンド以降の投手起用等と何パターンも考えているというから、先を見つつ戦っていることだけは間違いない。とは言っても、6日のキューバ戦は何とも難しい試合となりそうだ。
<了>
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