東日本大震災:流失写真、持ち主に がれき撤去のボランティア回収、返還へ展示−−11日まで仙台 /宮城
毎日新聞 2013年03月04日 地方版
東日本大震災の津波で流失した写真や思い出の品を持ち主に返そうと活動しているボランティア団体「おもいでかえる」は、仙台市若林、宮城野区で見つかった写真約50万枚などを、仙台市若林区蒲町のサンピア仙台で展示している。会場では、被災者らが訪れ、ずらりと並んだ品々を真剣な表情で見つめていた。持ち主が分かった品は返還される。11日まで。【近藤綾加】
会場に並んだのは、写真の他、卒業証書や位牌(いはい)、ランドセルなど。震災直後から、がれき撤去作業にあたっていた自衛隊員や被災者、ボランティアらによって集められた写真など思い出の品々。昨年3月設立の同団体のメンバーら約20人が週5回、泥だらけの写真などの洗浄作業を行っている。アルバムからはがした写真を乾燥させ、一枚一枚カビを拭き取り、水洗いする。
同団体理事長の野瀬香織さん(38)は「津波で全て無くされた方の心の支えになるものが一つでも見つかってほしい」と話す。野瀬さんも若林区荒浜の実家を津波で失い、写真は一枚も残らなかった。「今はまだ震災前の思い出を振り返る気持ちになれない方も、いつか写真を見られるようになる。その時まで、活動を継続して写真を大切に守っていきたい」と話した。
会場で、10年前に東京ディズニーランドへ旅行した家族写真を見つけた同区、主婦、花渕みどりさん(65)は「まさかこんなにもきれいな状態で見つかるとは。楽しかった思い出が戻って来て励みになる。帰って家族と一緒にじっくり見たい」と両手でアルバムを抱えていた。
午前9時〜午後4時半。問い合わせは仙台市消防局減災推進課(022・214・3109)。