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この作品は<R-18>です。
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近親姦
次の日の夜、お静の泣き声はなかった。五郎は、気になって、大吉とお静の部屋をのぞいてみた。白湯を飲んでいるのだろうか、五郎を気にかける様子もなく、談笑にふけっていた。むつまじい夫婦の姿だった。
むろん、昨夜の出来事は夢ではなかった。
五郎が寝床に入った頃だ。お静が来て、五郎の枕元に正座した。
「おっ母様、何のようだべか」
お静は、それに答えず、五郎の手をとり、襟に入れ、乳房を触らせた。
「おっ母様、何をするだ」五郎は驚いた。
「おめえ様も、大人になりなさったのう。おなごも欲しかろう。明日からおめえ様に嫁が来るまで、うちを抱きなされ」
五郎は、お静に連れられて、板の間に行った。梁に縄がぶら下がっている大吉とお静の寝室だ。五郎の家に板の間は一室しかなかった。あとは、五郎が寝起きする土間と釜戸だ。
大吉は壁にもたれかけて座っていた。前に瓢箪と碗が置かれている。いつのまにか、白湯はどぶろくに変わっていた。大吉は手酌で椀にどぶろくを注いだ。すでに顔が赤い。
「お静、着物を脱ぐべ」
「だけんど」お静はためらった。
「五郎におめえの裸を見せてやんねば、話にならねえべ」
お静は、着物を脱いだ。着ているものは、麻の寝巻きだけだ。手間はかからない。たたんで床に置いて、股間を手でおおった。
「隠すでねえ」
お静は、両手を後頭部に当てた。五郎を見つめた。自ら育てた息子とはいえ、このように裸体を見せるのは初めてだ。むろん、恥ずかしさもあった。
「五郎、お静は、おめえのおっ母様だべ。だけんど、欲しいべ」
五郎は、答えなかった。いつも、お静のもだえるさまを見ながら自慰行為をしていたのだ。
「ふふっ、答えられねえべな」大吉は笑った。
「五郎、お静をおめえにやる。明日からお静はおめえのもんだ。おっ母様だからいうて、遠慮することはねえ、おめえが抱きたいように抱けばええだ」
「おめえ様はどうなさる」今度は、お静が聞いた。
「おら、おっ母様が欲しいだ」
大吉は、五郎の前に竹と張り型を放り投げるように置いた。
五郎は竹をつかんだ。いつもお静が肌を打たれている竹だ。
「お静はおらが仕込んどいたけえ。なんをしても、辛抱できるべさ。逆らいもしなきゃあ、逃げもしねえ」
五郎は「おっ母様」といい、お静を見た。お静はうなずいたような気がした。
「だけんど、なんのかんのと、ごたくを並べるようだったら、これで、ぶてばええけえ。ちーと、ぶてば、いうことを聞くようになるけえ。
こいつは、お静にしか使わねえ。ほかの嫁はぶったことがねえだ」
お静を打つための竹だった。それを五郎に預けるということは、これからは、五郎が大吉の代わりに自由にお静を打って良いということなのだろうか。
「おめえ様の初めての女が、こんな婆さんで、すまねえな。おめえ様が、嫁をもらうまで辛抱してけろ」お静が言った。
「おめえがその気なら、嫁まわしに出してもかまわねえがよう。お静はまだ抱きてえと思っている奴がいるでな。だけんど、まわさねえでも、文句はいわれねえ」
「おら、誰にもまわさねえ」
「だなあ、おっ母様だしな」
嫁まわしは、その名のとおり、普通は夫が嫁をまわすものだった。この村でも、実母をまわすということはあまりしない。ただ、あまりしないというだけで、男の持つ女なら、実母であっても、まわしてかまわない。
何がしかの代償を得ることも許されていた。
「おらもな、初めての女は、おらのおっ母様だったけえ。おめえから見れば、婆様だな。おら、婆様を抱くのが何より楽しみだったけえ。
野良から帰ると婆様が、身体を洗おうとするのも許さず、裸にして梁から吊り下げたもんじゃ。婆様の身体に泥が付いていようと、汗が残っていようと少しも気にならんかっただ。そのまま抱いただ」
大吉は笑った。母親とのことは、大吉にとっても楽しい思い出なのだろう。
「だけんど、ある日、ぽっくり、いっちまっただ。おらには、なぜかようわからんかった。寂しかったけえ。
それから、しばらくしてからよう、お静がおらの嫁になってくれただ。
お静に婆様と同じように抱いてもいいべ、と聞いただ。すりゃあ、かまわんと答えたけえ」
「うちも下坂の女だけえ」
お静が言った。お静は依然、裸のまま立っている。
そして、このときの五郎には、竹以上に眼を奪われているものがあった。それを手にするのをためらっているだけかもしれなかった。
大吉は、そんな五郎の心を見透かしたように「こいつは張り型だべ」と言った。
「使い方は、知ってるべ」
五郎はうなずいた。
「お静、股を開けてけろ」
大吉は、どぶろくに指を浸し、張り型の先端部分に塗った。そして、陰毛を分けるようにしながら、お静の股間に入れた。お静はわずかに唇を結んだだけだった。深く埋めてから、動かせば、お静の身体が揺れた。
お静の口から「ああぁ」という、あえぎ声がもれた。
張り型は、本来は女性が自らを慰めるためのものだろう。しかし、大吉は女体をもてあそぶための道具として使っていた。男には、ほかに使い方がない。
実際、五郎は膣に埋め込められ、身体をもだえさせるお静を何度も見てきた。
「これはのう、おらの曾爺様が作っただ。お静にも使っただ。婆様にも使っただ。そのまた母様にも使ったはずだべ。そのまた母様にもだ。いんや、それだけでねえだ。まわされた嫁たちにも、いっぺえ、使っただ」
大吉が、再び張り型を前後に動かした。さっきよりも素早くだった。
「ああぁっ」
お静は、立っているのが、やっとだった。それほど、上体が揺れた。それでも、首筋に当てた両手はそのままだった。決して、大吉の手の動きを妨げようとはしなかった。
「ああぁ、もう、かんにん」
その声を聞きながら、大吉は眼を閉じた。大吉はまわされた多くの嫁たちを張り型で狂わせているところを思い出しているのだろうか。
「かんにんしてけろ」
お静が、倒れるように床にひざを着けた。
「こらえ性のないやつだな」
大吉は笑った。笑いながら、お静の尻を二三度たたいた。
『パチパチ』という音が聞こえた。
「明日になれば、これもおめえにやる」
大吉は、張り型をお静から抜き、五郎に手渡した。
今まで、お静の中に入れられていたのだ。五郎は指で濡れ方を確かめた。
後で考えれば、その黒光りした張り型だけが、大吉の形見だったのだろう。そして、張り型に埋めららた意味も知らなかった。
「だけんど、今日まではおらのもんだ」
大吉は、片手でお静の腰を抱き、引き寄せてから、膣を舌でなめた。
「あ、あ、あぁっ」お静から短いあえぎ声がもれた。
「やっぺえ、こいつが一番だ」大吉はつぶやいた。
「おらは、今からお静を抱くけえ。今晩が最後だ。だけえ、お静の声が聞こえても、こん部屋に入らんでけろ」
「‥‥」
「こん、肌に、ちょっくら、傷がつくかもしれんけえ」
「ぜっていだか」
「ああ、ぜってえだ。のぞいてもだめだ」
『何をするつもりなのか』と思った。
今まで、大吉がお静を抱くところを五郎に隠そうとしたことはなかった。わざと見せつけていたのかもしれない。のぞきたいときに、のぞくことができた。
五郎は、お静の表情をうかがった。今晩は、かってないくらい激しく責められるはずだった。平静を装っているようでも緊張がみなぎっていた。そして、お静の声というのは、泣き声以外に考えられなかった。
「おっ母様も、それでいいだか」五郎は聞いた。
承諾すれば、お静が、大吉にどんなめにあわされても助けようがなくなった。
「今はまだ、うちは、おど様のもんだけえ」
お静に迷いはなかった。
五郎は、寝床に戻った。興奮からさめたばかりだった。すぐには、寝付かなかった。
仰向けになって、天井を見つめた。粗雑な造りだ。風が吹けば、屋根を葺いたわらくずが、節穴からこぼれ落ちた。
目頭を押さえれば、明日からの生活が変わると思った。
「ああぁっ」
聞こえてきたのは、お静のうめき声だった。予期していたことが、はじまっただけだ。
『だけえ、言っただ』と思った。
『パシッ』というのは、お静が竹で打たれている音だった。
すぐに「うぅっ」とうめき声が続いた。それが、何度も繰り返された。
五郎は、すえ布団を頭からかぶった。それでも、音を完全に遮断することはできなかった。
「いてえ、もうかんにん。かんにんしてけろ」
竹で打つ音が途絶えても、お静の泣き声は続いていた。
何をされているのかはわからなかった。依然、梁からぶら下がった縄に吊るされているのだろうか、あるいは、くくられたまま、床に転がされているのだろうか、いずれにしろ、大吉がお静に苦痛を与えるのは容易だった。そして、お静は無抵抗だった。
「ああぁ、かんにん。ううーっ、かんにん」
大吉に許しを請う声が聞こえても、五郎に助けを求める声はなかった。
一刻ばかり続いただろうか、お静の声が次第にかすれてきた頃だ。悲鳴のような声があえぎ声に変わった。大吉がお静の身体を抱いているのだろう。そして、その声もやんだ。
奇妙な静けさだった。やがて、五郎も、静けさの中で眠りについた。
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