河北春秋
大手薬局チェーン創業者の故松本清は、千葉県松戸市長を務めた政治家でもあった。市長に就任して驚いたのが回ってくる書類に、はんこが20個も押してあること▼市長直属の「すぐやる課」を創設したのは、行政の非効率を何とかしようという思いがあった。失言か名言かはともかく、その当時の発言に「役人はかちかち山のタヌキと同じだ」がある
▼背負った薪が燃え始めても、確かめもせず、消しもせず。のんびりしていてやけどを負うタヌキ。さて、国会にも似た人が大勢いるようで、裁判所からレッドカードを出されてもどこ吹く風▼1票の格差の放置だ。きのう、東京高裁は昨年12月の衆院選を違憲と判断した。2年前には最高裁が違憲状態と指摘している。ぐずぐずと是正を先延ばしにしてきた国会のサボタージュが際立つ
▼各地の高裁や支部に起こされた一連の訴訟は、提訴から100日目の27日までに判決が次々出る。このスピード審理は、裁判所の静かな怒りの表明だろう。なかなか宿題に取り掛からない国会に対しての▼民話では、タヌキの乗った泥舟は沈没し、溺れそうになる。先の衆院選で当選した議員は泥舟にいる気分か。松本清の「すぐやる精神」を発揮していれば、こうはならなかったものを。
2013年03月07日木曜日
|
|