"COTTON"(綿)
おそらく誰もが一枚は持っているであろう広く利用されている素材。
長所としては、手入れが非常に楽だということがあげられる。
基本的に洗濯機で水洗いをすれば問題がない。染色性も良い素材の部類に入り、
黒や濃紺などの非常に色の濃い服以外は、あまり色褪せを気にすることもないだろう。
ただ、アイロンをかければ、ピシっと決まるものの、基本的にシワのつきかたはあまり綺麗ではない。
あくまで印象だが、適度な厚みのもの、ウォッシュ加工がかかっているものなどは、それほどひどいしわがつくこと
はないような気がする。
本当にざっくり書いてしまったが、ひとくちに綿と言ってもいろいろな種類があり、スーピマ綿やエジプト綿などの高級綿は
繊維の長い超長綿というもので心なしか肌触りもいい。
ちなみに、番手というのは糸の細さを表す単位で数字が大きくなるほどより細い糸を表しているが、さすがに100番手以上くらいになると
綿でも高級感全開で、まるでシルクのように見える。当然ながら、その手の服は風合いを損なうという意味では、
耐久性はぐんと落ちるので、取り扱い注意。
"麻"
一口に麻といっても、種類はたくさんある。日本語の製品表示だと"麻100%"としか書いていなかったりするが、 それがLinen(亜麻)なのか、Hemp(大麻)なのか、Lamie(苧麻)なのかぐらいは気にしよう。
"LINEN"(亜麻)
リネンはランジェリー(Lingerie)の語源にもなっているように、古来から肌触りの良い高級な素材として愛されてきた。
なかでも特筆すべきはその機能性。吸湿性、速乾性に優れているため、夏にリネンの長袖のシャツを着ると、
コットンの半袖シャツよりも、はるかに涼しい。かといって、汗をかかなければ、体が冷えることもないので、実は冬に着ても
快適な素材である。
また、防虫性、耐久性も非常に優秀で、乾いた状態でもコットンの二倍ほど強度があるが、
濡れるとさらに強度が増すなど、その耐久性は折り紙つきである。よくヤフオクで百年前のアンティークのリネンのコート
が出品されているのを見かけるが、それもリネンならではのような気がする。
逆に短所としては、染色性が弱い、しわがつきやすい、使い始めの毛羽がひどい、などがあげられる。とりわけ最悪なのは毛羽である。
リネンのシーツを新調すると、洗濯で落ち着くまでしばらくは毛羽をさんざん撒き散らし、部屋中を埃だらけにしてくれる。
染色性の弱さゆえ、水洗いを何度か繰り返すと急激に色褪せてしまう。ただ、逆にいえば汚れが落ちやすいということでもあり、一概に短所とも言い切れない。
それを証拠に、今でこそリネンも様々な色の製品がでているが、昔は基本的に生成りか白しかなく、リネンの性能がフルに生かされていたらしい。
なお、リネンはたしかにしわが付きやすいが、個人的にはとても上品なしわであると思う。かえってしわしわな方が様になる素材だけに、いちいちアイロンをかける面倒も
なく、私などはついついリネン素材の服ばかりを着てしまう。
"HEMP"(大麻)
意外と安そうな素材であるが、どうもそれなりに高価な素材のようだ。 それも服の素材として優れているとか希少であるというよりかは、 単純にあまり流通していないだけなのかもしれない。一着だけヘンプ100% のブルゾンを持っているが、柔らかくて風合いもよくなかなか 気に入っている。また、しわのつきかたはリネンよりも浅いように思う。
"LAMIE"(苧麻 )
麻=ごわごわ、ザラザラ、のイメージの元凶はたぶんラミーである。ラミーがアジアで多く採れるのに対し、
亜麻はフランスやリトアニアなど涼しい気候で育つ植物である。そのため、日本において
麻のイメージがラミーになるのはいたしかたないだろう。
私はラミー100%の服は持っていないが、おそらく着心地は悪いのだろうと思う。
ただ、ラミーが10%〜20%ぐらい混紡されている素材の服は何点
か持っていて、その服に関しては、麻独特の風合いが適度に主張していて、なかなか良い。
あと、ラミー混紡の服には妙にしわがつきにくいような気がするが、なぜかはよくわからない。
洗濯に関しては、ラミーが混紡された素材はなかなか丈夫な印象がある。
"CASHMERE"(カシミア)
一般人にとってカシミアはまぎれもなく最高級の素材である。
カシミアというのは、とにかく細い素材で、他のウールに比べても群を抜いている。毛玉ができにくく肌触りが良いのは、そのせいである。
また、薄手のものでも暖かく、防寒性にも優れ、風合いは抜群、染色性も良いようである。
ちなみに、なかでもホワイトカシミアと呼ばれる真っ白なカシミアは最も高価とされている。
普通のカシミアは少しグレーがかっているので、脱色してから使う必要があり、繊維が痛むために価値が下がるらしい。
耐久性は強くないように思えるが、個人的にはそれは服の仕上げのせいではないかと思っている。
昔のバランタインのカシミアなどはかなりがっしり織られていて相当長く着られたそうだし、
自分の持っているロロピアーナのストールもかなりしっかり織られていて、そうそう悪くなりそうではない。
最近のカシミアものは軽めに織られていて、あえて仕上げも毛羽立たせてふわふわな感じに仕上げているようにみえる。
そのため、耐久性のない素材のイメージがあるのではないだろうか。
なお、日本で販売されるカシミアの服には水洗いはできない、ドライクリーニングオンリー、ということが製品表示タグ
に書かれているが、本来は水で洗える素材である。輸入品の場合、オリジナルの製品表示タグも付いているので、そちらの方の
製品表示タグもみるとたいてい手洗い可能、と表示されている。とにかく日本の製品表示タグは、責任逃れのためか、
水で洗える素材でもドライクリーニングのみと書いてあることが多く、あまりあてにならない。カシミアを洗うときは、ラノリンという
動物性の油脂が含まれた専用の洗剤があるのでそれを使うといいだろう。
"CAMEL HAIR"(キャメルヘアー)
あまり聞きなれない素材であるが、ラクダの毛のことである。実は肌触りが良くて暖かく、丈夫で風合いもいいという、かなり素晴らしい素材。 ただ、染色性が悪く、茶系の素材しか存在しない。それでも色はいわゆるラクダ色〜黒に近いダークブラウンまでいろいろある。しかし、毛布、肌着、マフラー 以外となると、なかなか見つけるのは難しいかもしれない。
"ALPACA"(アルパカ)
南米のちょっと間抜け面をした動物の毛である。一番の特徴は、毛が直毛であることだと思う。直毛だけに、アルパカの製品は毛玉ができにくい。
反面、毛が抜けやすいという性質もあるため、何かと混紡されていることが多い。
ちなみに私はリネン36% アルパカ64%のファリエロサルティのストールを
持っているが、これが最悪である。アルパカの繊維の長さもあいまって、風合いは抜群なのだが、素材の相性が悪いのか、驚くほど毛が抜けてしまう。
もはや何かの病気にかかったのかと思うくらいの脱毛ぶりである。他のアルパカの服にしても、洋服ブラシをかけると、
ごっそり毛が抜けたりするので、あえてローメンテナンスで使っている。
アルパカは繊維の太さはそこそこある方だが、ベビーアルパカと呼ばれる
若いアルパカの毛はとても細く、高級品である。
"ACRYL"(アクリル)
よくウールの代用品として、混紡されている素材。詳しくは知らないが、繊維としてのアクリルは、
おそらく安価な素材なのだろう。特徴としては、染色性がよく、保温性が高い。染色性の良さゆえ、
ビビッドな色の服が多く、イメージとしてはベネトンのようなブランドを思い浮かべるといい。
欠点としては、静電気が起こりやすく、毛玉ができやすいということ。正直なところ、アクリルが50%以上入っている服はおすすめしない。
日頃から洋服ブラシなどでこまめにケアをしていても、あっという間に毛玉だらけになること請け合いだ。
たしかに発色は良いので、服を購入する時は非常に魅力的に見えるけれど、しばらく使っていると残念な思いをすることになる。
経験上、アクリルの服を買って良かったと思ったことがなく、なるべくアクリルの入った服は買わないようにしている。
ただ、登山をする人からは、化繊の方が保温性などにおいて、天然素材より非常に優れているという話を聞いたことがあるので、
用途によってはアクリルにも選択の余地がある。
"Nylon"(ナイロン)
かなり丈夫な素材なので、服だけでなくバッグなどにもよく使われている。
また、混紡素材として他の素材に少し加えるだけで、生地全体の強度を飛躍的にあげることができる。
そのため、コートの裏地や靴下など、摩耗の激しい個所に耐久性に不安のある素材を用いる場合には、
10%ぐらいナイロンが混紡されていることが多い。
個人的にナイロン100%のボクサーパンツを何着か持っているが、フィット感が素晴らしい反面、通気性は悪すぎて履き心地が悪い。
ナイロン100%の素材はダウンジャケットをはじめ、アウター素材には適した素材である一方で、肌に直接触れる素材にはあまり向いていないと思う。
"POLYESTER"(ポリエステル)
ポリエステルを一番よく見かけるのは、服の裏地であると思う。
裏地として使う場合は非常に滑らかで光沢があり、
摩耗が激しく傷みやすい部分を補強したり、袖に腕をいれた時の感触を良くしてくれる。
しかし、ポリエステルの場合は通気性が悪いという欠点があるため、比較的安価な服に使われる傾向にある。
ただし、同じく服の裏地としてよく使われるキュプラが水に弱いのに対し、ポリエステルは洗濯に非常に強い。
そのため、高級服の場合でもメンテナンス性を考えて、ポリエステルが裏地の素材としてあえて選択されている場合もあるようだ。
とはいえ、ポリエステルの裏地が使われているからといって、必ずしも安物というわけではない。
また、ポリエステルは静電気のおきやすい素材なので、起毛している場合はすぐに毛玉になりやすい。
この性質を生かし、ピリング(毛玉)加工などを施す場合、あえて素材として混紡されていることもある。
他には、ジーンズやTシャツなどによく混紡されているのを見かけるが、
それはポリエステルを混紡することで、服が型崩れしにくくなり、洗濯後の乾きが早くなるなどの効果が得られるからであろう。
"CUPRA"(キュプラ)
コットンリンターと呼ばれる天然原料から作られる人造繊維。
まれに混紡素材として用いられているのもみかけるが、その用途のほとんどはやはり裏地であり、
キュプラはまさに裏地のために生まれてきたような素材である。
発色がよく光沢もあるので、キュプラの用いられた裏地はとても美しい色合いであることが多い。
また、吸湿性にも優れており、ポリエステルとは対照的に着心地も抜群にいい素材である。
こうした優れた特徴を兼ね備えたキュプラは主に高級服の裏地として用いられている。
しかし、欠点がないわけではなく、その重大なものは水に弱いということである。
すごく気を使えば洗えるという人もいるが、個人的にはかなり難しいのではないかと思う。
したがって、キュプラが使われている服はドライクリーニングに出す方が無難である。
ただ、ドライクリーニングでは、汗などの水溶性の汚れを落とすことが難しいため、用途によっては、
キュプラよりもポリエステルの裏地を選択した方が良い場合もあるだろう。