政府は16日、東京電力福島第1原子力発電所の事故収束に向けた工程表の第2段階(ステップ2)の完了を確認した。野田佳彦首相は記者会見で「原子炉が冷温停止状態に達し、発電所の事故そのものは収束に至った」と宣言。ただ「冷温停止状態」は、原子炉圧力容器内に燃料が閉じ込められ、水につかっている前提で使う通常の「冷温停止」の定義とは異なり、住民帰還のメドも立たない。廃炉には最長40年必要で、実態としての事故収束にはなお長い時間がかかる。
政府、東電が4月に作成した工程表は安定冷却までをステップ1、冷温停止状態までをステップ2とし、事故収束を目指してきた。ステップ1は7月に達成。ステップ2は来年1月の目標を1カ月前倒しで到達した、としている。
首相は本部長を務める原子力災害対策本部の会合後の記者会見で「闘いが終わったわけではない。廃炉に至るまで息を抜かず努力する」とも語った。除染作業の人員を来年4月をメドに3万人以上確保し、来年度予算案を含め1兆円超の費用を用意する考えを示した。
半径20キロメートル圏内で原則立ち入り禁止の警戒区域の見直し着手も表明。長期的な帰宅困難区域に関し「国が責任を持ち長期的対策を検討する」とし、国による土地買い上げ、借り上げなどを協議する意向を表明した。東電の国有化に関しては「円滑な賠償実施へ様々な選択肢の検討を指示している。あらゆる可能性を念頭に来春までに集約する」と述べるにとどめた。
首相は事故収束と判断した理由を、圧力容器底部の温度が100度以下で、トラブルが生じても原発敷地外の放射線量を十分低く保てる、と説明。圧力容器内にほぼ燃料がないとの見方もあるが、首相は「格納容器全体の温度も測りながら出した結論」と主張した。
首相は政府・東電の中長期対策会議を設置し、従来の統合対策室は廃止した。政府は20日をメドに廃炉に向けた中長期の工程表を発表する。工程表では原子炉建屋内の使用済み核燃料について2年後に取り出し作業に着手する目標を記す。廃炉完了まで30~40年がかかるとし、費用負担が今後の焦点になる。
政府は半径20キロメートル圏内で原則立ち入り禁止の警戒区域と、20キロメートル圏外の計画的避難区域の見直しの考え方を、年末までに示す。年間放射線量が50ミリシーベルトを超える地域は「長期帰還困難区域」として新たに指定する。除染で生じた放射性廃棄物を保管する中間貯蔵施設の同区域への建設も検討する。
細野豪志原発事故担当相は16日の記者会見で「政府は今後、除染、被害者の健康の不安を取り除くことや、賠償などの問題にしっかり向き合う」と強調。同席した東電の西沢俊夫社長は「燃料取り出しや廃棄物管理など中長期的な課題に責任を持って取り組む」と語った。福島県の佐藤雄平知事は16日、冷温停止状態の宣言について「避難住民の帰還が実現する新たな一歩になるよう期待するが、事故収束に向けた道のりは長く険しい」と災害は進行中との認識を示した。
福島第1原発は3月11日の東日本大震災発生直後に全電源を喪失。冷却機能を失い、1号機と3、4号機が水素爆発した。冷却機能を回復し、原子炉が「冷温停止状態」に至るまで9カ月がかかった。
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