中国:国防費10.7%増 3年連続2ケタ伸び
毎日新聞 2013年03月05日 11時14分(最終更新 03月05日 14時18分)
【北京・工藤哲】中国の第12期全国人民代表大会(全人代=国会)第1回会議が5日、北京の人民大会堂で開幕した。これに合わせ、中国財政省は13年度の予算案を明らかにし、国防費は前年度実績比10.7%増の7406億2200万元(約11兆1200億円)となると公表した。国防費は3年連続で前年度比2桁の伸びとなった。中国の国防費は米国に続く世界2位で、過去6年で2倍以上と急増。実際は公表額を大きく上回るとも言われ、国際社会の懸念はさらに高まりそうだ。
温家宝(おん・かほう)首相は政府活動報告で、沖縄県・尖閣諸島(中国名・釣魚島)を巡る日本との対立などを念頭に「国防と軍隊の現代化推進を加速し、強固な国防と強大な軍隊を打ち立て、国家の主権・安全・領土保全を断固として守り、わが国の平和的発展を保障しなければならない」と述べ、引き続き軍事力の増強を推進する考えを鮮明にした。
国防費の規模は4日の記者会見では明らかにされなかったが、全人代開幕に合わせて他の予算項目とともに公表する形が取られた。
一方、治安対策などに充てる公共安全費は前年度実績比8.7%増の7690億8000万元(約11兆5440億円)で、総額では公共安全費が国防費を上回ったものの、伸び率では逆転した。公共安全費には治安対策を担う武装警察や公安部門、司法機関などの経費が含まれる。各地で当局の対応に反発する抗議行動が近年頻発し、2010年度の実績ベースで国防費を初めて上回ったが、今年度の予算で伸び率が縮小したのは、胡錦濤(こ・きんとう)指導部が進めてきた治安強化に国民が不満を募らせていたことや、習近平(しゅう・きんぺい)新指導部の国防重視の姿勢が反映されたものとみられる。