クローズアップ2013:中国国防費10.7%増 不透明な実数字

毎日新聞 2013年03月06日 東京朝刊

 中国が全国人民代表大会(全人代)開幕に合わせて発表した13年度の国防費は前年度実績比10・7%増の7406億2200万元(約11兆1200億円)となり、今大会で本格始動する習近平(しゅうきんぺい)政権も軍備増強を続ける姿勢が浮き彫りになった。世論の後押しを受けて「強大な軍隊」の建設を加速させる中国に、沖縄県・尖閣諸島をめぐり対立する日本や、サイバー攻撃に神経をとがらせる米国は警戒を強め、国防費の透明化を求める声を一層強めそうだ。

 ◇習体制、情報公開さらに抑制

 「強固な国防と強大な軍隊を打ち立て、国家の主権・安全・領土保全を断固として守る」。5日午前、北京の人民大会堂。全人代開幕後の政府活動報告で温家宝首相がこう発言すると、会場に詰めた全人代代表から大きな拍手が湧き起こった。

 活動報告の中身は、物価安定や教育振興など内政問題が大半。だが、これらの課題に対する会場の反応は鈍い。半面、国防や領土問題には会場全体が強い関心を示す。「国防建設をもっと進めるべきだ」。温首相の報告を聞き終えた貴州省代表の大学学長、鄭強(ていきょう)氏は毎日新聞の取材に、こう訴えてみせた。

 財政省が公表した13年度予算案の国防費は初めて7000億元を上回った。中国の軍備増強に国際社会の懸念が高まる中、中国がさらなる強化の方針を打ち出した背後には、全人代代表の反応に見られるような、海洋進出や軍の近代化に対する世論の支持がある。

 活動報告の国防方針に関する説明も昨年と比べて変化した。

 胡錦濤(こきんとう)指導部の昨年は(1)情報化のもとで局地戦争に打ち勝つ(2)後方支援のテンポを速める(3)新たなタイプの人材を育成する、など多岐にわたった。だが、習近平指導部初となる今回は、国防方針についての言及は3分の1程度に減った。情報の公開を極力控えつつ、武器などの近代化を優先させるという意向が鮮明になった。

 温首相は活動報告で、過去5年間の「革新型国家の建設の成果」を列挙。その中には▽ミサイルの精度を高めるといわれる中国版GPS「北斗衛星ナビゲーションシステム」の運用開始▽初の空母、遼寧(りょうねい)の就役−−なども含まれていた。さらに「軍事闘争への備えも絶えず深まり、新しい段階の歴史的使命を果たす能力が著しく高まった」と、軍を意識した発言を繰り返した。

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