元オウム教団幹部 野田成人のブログ

原則1日コメント3個迄 これまでの賠償額550万円 

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革命か戦争一神教終焉表紙

 遠藤周作「沈黙」は、一神教信者が陥る葛藤を著している。原作のフェレイラ(先に棄教した元宣教師)とロドリゴ(葛藤する主人公の宣教師)の会話部分を以下に引用する。ロドリゴが囚われの身となり穴吊りの拷問を受けている、その隣で信者達が拷問されている。信者達は「転ぶ、転ぶ(棄教する)」と必死に訴えるが、ロドリゴが転ばない限り赦されないと告げられる。そこでフェレイラがロドリゴを説得するという場面(以下、フ=フェレイラ、ロ=ロドリゴ)
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フ 「ここに、わしはお前と同じように閉じ込められ、その夜はほかのどんな夜よりも寒くて暗く…わしもあの声を聞いた。穴吊りにされた人間たちの呻き声をな」

フ 「LAUDATE EUM (讃えよ、主を) わしはその文字を壁に掘った筈だ、その文字が見あたらぬか。探してくれ」

ロ 「知っている… 黙っていなさい。あなたにはその言葉を言う権利はない」

フ 「権利はない。たしかに権利はない。私はあの声を一晩、耳にしながら、もう主を讃えることができなくなった。私が転んだのは、穴に吊られたからでない。三日間……このわしは、汚物をつめこんだ穴の中で逆さになり、しかも一言も神を裏切る言葉を言わなかったぞ」

フ 「わしが転んだのはな、いいか。聞きなさい。そのあとでここに入れられ耳にしたあの声に、神が何ひとつ、なさらなかったからだ。わしは必死で神に祈ったが、神は何もしなかったからだ」

ロ 「黙りなさい」

フ 「では、お前は祈るがいい。あの信徒たちは今、お前などが知らぬ耐えがたい苦痛を味わっているのだ。昨日から。さっきも。今、この時も。なぜ彼等があそこまで苦しまねばならぬのか。それなのにお前は何もしてやれぬ。神も何もせぬではないか」

 司祭(ロドリゴ)は狂ったように首をふり、両耳に指をいれた。しかしフェレイラの声、信徒の呻き声はその耳から容赦なく伝わってきた。よしてくれ。よしてくれ。主よ、あなたは今こそ沈黙を破るべきだ。もう黙っていてはいけぬ。あなたが正であり、善きものであり、愛の存在であることを証明し、あなたが厳としていることを、この地上と人間たちに明示するためにも何かを言わねばいけない。…

ロ 「あなたは… 祈るべきだったのに」

フ 「祈ったとも。わしは祈りつづけた。だが、祈りもあの男たちの苦痛を和らげはしまい。あの男たちの耳のうしろには小さな穴があけられている。その穴と鼻と口から血が少しずつ流れ出してくる。その苦しみをわしは自分の体で味わったから知っておる。祈りはその苦しみを和らげはしない」

ロ 「あの人たちは、地上の苦しみの代わりに永遠の悦びをえるでしょう」

フ 「誤魔化してはならぬ… お前は自分の弱さをそんな美しい言葉で誤魔化してはいけない」

ロ 「私の弱さ… そうじゃない。私はあの人たちの救いを信じていたからだ」

フ 「お前は彼等より自分が大事なのだろう。少なくとも自分の救いが大切なのだろう。お前が転ぶと言えばあの人たちは穴から引き揚げられる。苦しみから救われる。それなのにお前は転ぼうとはせぬ。お前は彼等のために教会を裏切ることが怖ろしいからだ。このわしのように教会の汚点となるのが怖ろしいからだ…」

フ 「わしだってそうだった。あの真っ暗な冷たい夜、わしだって今のお前と同じだった。だが、それが愛の行為か。司祭はキリストにならって生きよと言う。もしキリストがここにいられたら… たしかにキリストは、彼等のために転んだだろう」

ロ 「そんなことはない… そんなことはない」

フ 「キリストは転んだだろう。愛のために。自分のすべてを犠牲にしても」

ロ 「これ以上、私を苦しめないでくれ。去ってくれ。遠くに行ってくれ」

 司祭は大声で泣いていた。

フ 「さあ… 今まで誰もしなかった一番辛い愛の行為をするのだ… 教会の聖職者たちはお前を裁くだろう。わしを裁いたようにお前は彼等から追われるだろう。だが教会よりも、布教よりも、もっと大きなものがある。お前が今やろうとするのは…」

 主よ、長い長い間、私は数えきれぬほど、あなたの顔を考えました。特にこの日本に来てから幾十回、私はそうしたことでしょう。… そしてそのお顔は我が魂にふかく刻み込まれ、この世で最も美しいもの、最も高貴なものとなって私の心に生きていました。それを、今、私はこの足で踏もうとする。…

 司祭は足をあげた。足に鈍い重い痛みを感じた。… 自分は今、自分の生涯の中で最も美しいと思ってきたもの、最もきよらかと信じたもの、最も人間の理想と夢にみたされたものを踏む。この足の痛み。

 その時、踏むがいいと銅板のあの人は司祭にむかって言った。踏むがいい。お前の足の痛さをこの私が一番良く知っている。踏むがいい。私はお前たちに踏まれるため、この世に生まれ、お前たちの痛さを分かつため十字架を背負ったのだ。

 こうして司祭が踏み絵に足をかけた時、朝が来た。鶏が遠くで鳴いた。

(つづく)

コメント


関係ない話ですみませんが、シーハ師が獄中結婚していたのをご存知ですか?
いまは出所して、一緒に住んでるみたいなのですが

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