福島第1原発:東電 処理後汚染水を海に放出計画

毎日新聞 2013年03月05日 21時49分(最終更新 03月05日 22時02分)

福島第1原発の汚染水処理の概略図
福島第1原発の汚染水処理の概略図

 しかし、これまでの検査で検出された放射性物質63種類のうち、62種類を除去する能力を持つことは確認したが、放射性トリチウムは技術的に分離できない。汚染水などのトリチウムの濃度は、1立方センチあたり約1300ベクレル。国の排出基準値の同60ベクレルを超えていて、規制委はアルプスでの処理後も濃縮塩水を敷地内に貯蔵するよう求めた。

 トリチウムに詳しい田中知(さとる)・東京大教授は「カナダで除去装置が稼働しているが、福島事故のように大量の汚染水から除去するには非常に巨大な装置が必要になる。除去は非現実的で、仮に海洋放出するとしても、薄めて排出基準値以下に濃度を下げるしかない」と話す。

 東電はトリチウムの処理方法について、「現時点では検討中」としている。

 ◇地元の漁協は強く反発

 「(放射性トリチウムを)薄めるといっても100%除去されない。そんなものを放出したら、また福島の海は消費者から疑いの目で見られる」

 相馬双葉漁業協同組合(福島県相馬市)の阿部庄一・指導部長は憤る。

 今回の事故では、発生直後の11年4月2日、2号機の高濃度の放射性汚染水が海に漏れた。その直後には地元に事前の相談もなく、意図的に低濃度汚染水を海に放出。福島沖の漁は一時、自粛に追い込まれた。

 その後も原発沿岸では国の基準値(1キロ当たり100ベクレル)を上回るアイナメなどは取れるものの、海水や一部海産物で放射性物質がほとんど検出されなくなった。12年6月、同漁協は試験操業を開始した。相馬市から50キロ以上沖、水深150メートル以上の海域でミズダコなど3種類に限定していたが、現在は操業海域を広げ、対象の魚種も13種類に増やした。約142トンが水揚げされ、12都府県に流通している。

 水産業再建に一歩を踏み出したところで浮上した海洋放出について、福島県漁業協同組合連合会は、東電に、汚染水を絶対に海洋放出しないと表明するよう求めている。

 放射性トリチウムをめぐっては、各地の原発から出る排水にも微量含まれている。各事業者は地元自治体と安全協定を結び、国の基準値以下に薄めて海洋放出している。

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