「ごめんなさい!!」
のぞみちゃんにつれてこられた21号館の校舎裏の静かなベンチで最初に聞いた言葉は謝りだった。
必死だった。こんなに心の底から謝られたのは始めてだ。
「あ、いやその…」
「私が悪いんです!着替えている時に大きな声をだしたから!」
今にものぞみちゃんは泣き崩れそうだった。
「瓜流君が心配して部室に駆け込んできたのに…それなのに…」
瞳に涙をいっぱい溜めたその表情は不謹慎ながらも可愛いとかんじてしまう。
「いや、でも僕が着替えをのぞいちゃったのがいけなかったんだ!!」
僕が必死にのぞみを庇うような発言をすると、のぞみちゃんが顔を耳で真っ赤した。
自分の下着姿を見られた事を思い出して照れているのだろうか。
「で、でも…」
のぞみちゃんは顔をあげて、言葉に詰まっているいるようだった。
僕も彼女になんといえばいいのかわからない。
とりあえず僕にわかった事は覗かれて一番ショックうけていたように思ってた女の子は
僕がおもっていたほど僕の事を恨んでいなかったようだ。
安心した。本当に。そう。その安心した矢先だった。
「おいーのぞみー!!」
僕らの後ろのほうからあのチアリーダーの不良女の声がした。
可愛らしいチアの衣装に対し、派手な髪。
僕をおもちゃ同然に扱う女の一人。
最近では脊髄反射でこの女をみるとすくんでしまう。
「もう直ぐ出番チアの演舞の時間だからって…
え?どうして奴隷クンといっしょにいるの?」
ああ、とても嫌な予感がする。
「ちょっとのぞみどうして泣いてるの!?もしかしてコイツが変な事やったんじゃない!?」
のぞみちゃんを本当に心配して言っているのか、僕に単に難癖つけたいだけなのか。
「また奴隷がセクハラしたのね!!あれだけ私達が酷い目にあわせたのに!!
まだ反省したないのね!!これからもっと酷い目にあわせる必要がありそうね」
「せ、先輩ちょっとまって下さい!!瓜流くんは何も悪くないんです!!私が勝手に泣いただけで…」
のぞみちゃんは必死に僕を庇おうとする。恐らくそんな事は無駄であるが。
「のぞみ、わかってるのよ。コイツにそう命令されているのでしょう。
のぞみがうけて屈辱は、私達が必ず仕返ししてやるから…」
ああ、どうして。こんな事になってしまったのだろう。
「あ、あの」
なんとかこの状況を打開しようとする。けれどなんと言い訳すればよいのか。
僕がいて、のぞみちゃんが泣いていた。
それだけで。僕が泣かしたようには十分見える。
「今日のチアの演舞が終わったら、部室に来い」
冷たい冷酷な目で僕をみる。その目にはギアスがあるわけでもないのに。
「Yes, Your Highness」
もうすぐレポート提出しなければならない授業だというのに。
と僕は彼女達に命令されると、パブロフの犬状態になっていた…。
「お願いですから…瓜流君をこれ以上酷い目にあわせないでください…」
僕が完全に諦めた後でも、彼女は神にすがるように懇願していた。
どうして彼女は僕なんかの為にあそこまで必死なのだろうか。
恐らく何をいっても無駄だろう。不良女は僕を虐めるきっかけほしいだけ。
のぞみちゃんの為に復習したいわけでない。
女が男を虐める機会なんてそうそうないから。
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