Kamen Rider DECADE Re:imagination War
Episode54:悲しみの薔薇
シャウタ「えー、作者が昨日間違えて次話投稿の時『戻る』を押したのに気付かず、書いていた前書き・あとがきの内容が無くなってしまうと言う事故が起きました。しかも、気付いたのは今日の21時40分です」
リュウガ「なので今日は…」
エターナル「あらすじをまた書く気力もないので、とことん遊びます」
龍騎「呼ばれて飛び出てジャジャジャジャン!」
オーガ「さあ、それでは、やっちゃってください!」
ファイズ「いや、お前もやるんだよ!」
龍騎「第一さ、士って本当に主人公なわけ?」
シャウタ「さあ?」
ファイズ「知るかそんなの…」
オーガ「うん…」
リュウガ「もう、エイジスとかケイスケでいいだろ主役」
エターナル「と言うわけで、閉幕」
龍騎「後さ、正直ナツポンカンどうでもいいとおもう」
シャウタ「前々からそうだったよ、あのナツマロン」
ファイズ「ああ…ナツミリンは何してるのか分からないしな」
オーガ「ナツマンゴーさんはねぇ…」
エターナル「むしろ【笑いのツボ】しか存在意義がないな、ナツピーチは」
リュウガ「だよな…あのナツレモンは確かに」
エターナル「第一、主役ってあのもやし挽回できるのか?」
シャウタ「さあ?」
龍騎「挽回する前に、エイジスが株上げそうな気がする」
ファイズ「まだ上げる気なのかよ!?」
オーガ「凄いよね〜」
リュウガ「もうあいつ一人でいいんじゃないか」
士夏「「orz」」
☆
各支部へと向けて、出発を始めた士達。
本郷邸の前では、全員集まって円陣を組んでいる。
「また、皆一緒に会えるように」
その誓いを込めての、円陣なのだろう。
しばしの別れ…また会えるのか、それとも永遠の別れになるのかは、士達には分からない。
特にヒロシやケイスケは、いつその命が尽きるのか…
二人のことに関しては、カズヤ達は…ハルミ達は勿論、士や弦太朗といった“話を聞いていない人間”には話していない。
そして、自分達の残り僅かの命を気にして…自分達を庇うことはしないで欲しい、ともヒロシやケイスケに言われていた。
士達には余計な心配をさせたくない。皆には、目の前のことに集中して欲しい。
そんなケイスケとヒロシの総意で、カズヤ達はそれを受け入れていた。
「いいか。この旅は、ただ各地の支部を潰すだけじゃない…本部の場所を探し出すことも、目的の一つだ」
「ああ。…誰も本部の場所について知らない以上、各支部の…特に、本部に足を運ぶことの多かったジャーク将軍やアポロガイストからは、確実に情報を聞きだす必要がある」
「となると、…俺達やケイスケ達のチームが重要ってことかな」
士やジョージの言葉の後に、ヒロシが尋ねる。
その言葉にエイジスやシンジといった面々も頷き、「責任重大だなぁ」とカズヤは少し困り顔を見せていた。
相手を駒としか思っていない【神】が、易々と居場所を晒すとは思えないが…
だが、それでも…特に彼に深い忠誠を誓っているジャーク将軍ならば、情報はある程度持っているだろう。倒すのが難しい相手だが、その分倒す価値は大きい。
そして…
更に問題なのが、各支部に配属されたというライダーの存在。
映司も、誰がどこの支部に配属されたのか分からないそうだ…だが一つだけ確実なのは、自分達の出方次第で別の支部から派遣させるか、それとも重要拠点の守りを固めるために呼び寄せるか…だ。
特に茨城や北海道といった支部は、後者の可能性が格段に上がる。
――最悪の場合、戦って命を落とす者も出てくるだろう。それ程厳しい戦況だ。
しかし全員、覚悟を決めた上で今回の作戦の決行を決めた…こういうことは真っ先から反対してきたユリコだけでなく、がんがんじい等の非戦闘員達もだ。
「…全員、必ず生きて…そして敵の総本山に集合だ。絶対に……俺達が、勝つ!」
「「「おおおっ!」」」
互いに手を合わせ、気合を入れる士達。
それを終えると、彼らはすぐさま移動を始める…
カズヤに至っては…先程ケイスケから手ほどきを受けて自動操縦で呼び出した、ブルーマシンに跨って走り出す。
そんな士達の様子を、ハヤテは庭の薔薇に水をあげながら見ていた。
彼女の元に栄次郎が焼きたてのクッキーを持ってきて、優しく告げる。
死神博士であったときの記憶などまったくないのか、それはいつも通りの栄次郎の笑顔であった。
「おや、士君達はもう行ったのかね。折角、焼きたてのクッキーを渡そうと思っていたのに…」
「栄次郎さん。お体のほうは、大丈夫ですか?」
「お陰様で。――しかし、私は写真館にいたはずなのに…どうして京都にいたのか。ううむ」
「どうしてでしょうね?」
ハヤテは、笑顔でそう受け流す。
そして、栄次郎の持ってきたクッキーを一枚、さくっと齧る…
サクサクとした食感で、焼き立てで多少熱かったものの、何度でも口に運びたくなるほどの美味しさ。
思わず、笑顔がこぼれてしまうほど美味しい。
それを見た栄次郎も笑顔を見せ、ハヤテに告げていた。
「しかし、君も大変だねぇ。折角お兄さんが帰ってきたのに、すぐまた何処か遠くへ行くことになって」
「ええ…でも、兄さんのことは特に心配していないんです。何だかんだで、悪運の強い人なんだなって最近分かりましたから」
「うんうん」
「栄次郎さんも、お孫さんがいなくて不安に思っているのでは?」
「確かに…士君から『ユウスケ共々|旅行中《・・・》だ』と聞いたときは驚いたけど、あの子は昔からちゃあんと家に帰って私のおやつを食べていたからね。だから私は、夏海や士君達が帰ってきていいように待っているだけだよ」
はっはっは、と笑いながら本郷邸に戻る栄次郎。
そんな彼を見て、ハヤテは感心していた。
やはり、年の功というものは凄い。――まるで“皆が無事で帰ってくる”と分かっているかのように、どんと構えている。
大事な孫娘がいないとなれば、誰だって狼狽える。
だが、それでも栄次郎は動揺することなく、孫娘や居候達が帰ってきた時の準備をしている始末。
ハヤテも当に暗い方向に考えることは、止めていた。
兄が帰ってきた時のために、この美しい庭を保つことを決めた彼女。
一厘の青い薔薇を優しく撫でながら、ハヤテはそれらに話しかけていた。
「…あなた達も、兄さん達が無事で帰ってこれるよう…応援してね」
その頃…
ゴッドショッカーの内部では、大きな動きがあった。
――愛媛支部のファイズを愛知支部に転属
――長野支部の響鬼を茨城支部に転属
――山形支部のダブルを北海道支部に転属
――沖縄支部のクウガを鹿児島支部に転属
尚、九州地方の3支部と愛媛支部の一部は、九州地方に逃げた1号捕獲に全力を注げとのこと…
上手くいけば鹿児島に誘き寄せ、クウガと連携して捕らえることも可能。
ジャーク将軍は【神】の前に跪くと、深く頭を下げながら報告していた。
「…|奴《・》の情報通り、ディケイド達が各支部に向けて動き出しました」
「そうか。1号の捕獲はどうなっている?」
「現在は福岡に潜伏しているようですが、見つかるのも時間の問題かと。それと…」
「それと?」
「……アポロガイストの奴が、地獄大使の残骸を回収して蘇生させたようです」
地獄大使、と聞き【神】は仮面の奥で眉を上げる。
…確か、岡山の朱空町で人とも怪人とも思えぬほど、ズタズタにしたというのに。
アポロガイストが何を考えているのか、さっぱり分からないといった様子のジャーク将軍。
だが…
突然柱の影から、ジェネラル・シャドウが現れる。
こいつも自由行動か、と海東のことを思い出しながら頭痛を感じるジャーク将軍だが、ジェネラル・シャドウは気にせず言い放つ。
「地獄大使を復活させた理由など、一つしかないだろう」
「…ジェネラル・シャドウ。愛知支部を任されているお前が、ここにいていいのか?」
「どうせ奴らも今日中に攻め込めるはずがない。――話の続きだが、地獄大使を甦らせたのはただ一つ、……確実に決着をつけたいからだろうな」
確実な決着。
それを聞いた【神】やジャーク将軍は、すぐにアポロガイストの意図が読めた。
…彼は自分を倒したXにも固執しているが、この世界のXも好敵手として認めている。
つまり、彼を倒すために…『邪魔者を抑える役割』を地獄大使に与えたのだ。
だが、それなら長崎支部の怪人でもいいはず。
わざわざ地獄大使を甦らせるメリットが、見えてこないのだ。
そう思っていると…ジェネラル・シャドウは得意のトランプ占いをしながら、話を続ける。
「一応、ショッカーという組織の幹部だった地獄大使…今の奴らの勢いでは、100の兵を使っても抑えられないと判断したからだろう。だからこそ数に頼るのではなく、質でX以外のライダーを押さえようとしている」
「だが…」
「現に…そのお陰で鹿児島や沖縄、愛媛は長崎支部からの兵力補充で防衛と1号捜索を両立できているのも確かだ。……む、」
引いたトランプを見て、ジェネラル・シャドウは顔色を変える。
彼はニヤリ、と笑うとカードを懐にしまう。
一体、どんな結果が出たというのか。
ジェネラル・シャドウのトランプ占いは、外れたことが一度もない。
占いなど信じない主義の【神】やジャーク将軍であったが、ジェネラル・シャドウの勿体付けぶりには気を揉んでいた。
「――成程、ふむ。これは…」
「…なんだ。勿体つけずに教えろ」
「いえ、【神】にはいずれ分かることかと。それでは」
それだけ言うと、ジェネラル・シャドウは静かに立ち去っていく。
一体なんだったのだ、とジャーク将軍は呆れていたが…
彼と【神】のいない所まで行くと、ジェネラル・シャドウは可笑しそうに笑っていた。
彼の出した占いの結果。
それは…
「――まさか、|あやつ《・・・》に死相が出ていたとはな。…そして、他でもない…私にも」
〜〜〜
本郷邸を出発し、二日が経っていた。
愛媛・和歌山を攻めることになっていたリョウ・アマゾン・弦太朗チームは、一路愛媛県にある|鍵雛《かぎびな》町に来ていた。
愛媛、といえばシロウの故郷だ。そして、V3が作られた支部のある地…
本来なら彼がここに来るべきだったのだろうが…シロウは、愛知・長野を攻めるメンバーがある意味で不安ということで、そっちに向かっていた。
愛知・長野メンバーはシロウを除くと、シゲル・ジョージ・ユリコ…
ライダーマンもタックルも決して弱いわけではないのだが、怪人や仮面ライダーの相手をするには荷が重過ぎる。
かと言って、同行するストロンガーも実力的にはやや不安が残る。
愛知支部での混戦を予想するなら、いくら内情に詳しいジョージがいるとはいえ、不安ばかりが残る…士達もそれを配慮した上で、V3であるシロウを愛知・長野チームに加えることを同意していた。
鍵雛町は天狗岳の近くにあり、シロウの話によれば、三年前から天狗岳に来た登山客の“神隠し”騒ぎが起こっているとの事…
恐らく、天狗岳に愛媛支部がある。
そう踏んだリョウとアマゾンは、準備を整えるべく鍵雛町に足を踏み入れていた。
蜜柑の匂いが町中に漂っており、栽培農家の数もかなり多い。
アマゾンはその匂いに反応していたが、リョウは軽く頭を抑えている。
「ここ、ニオイ、凄くいい。ハヤトの家ほどじゃないけど、アマゾン、気に入った」
「…」
「リョウ?」
「リョウさん、どうかしたんですか」
リョウの異変に気付いたのか、アマゾンやルミが心配そうに尋ねる。
同行していたシュンにリュウは不安そうな顔を見せるが…
リョウはまるで知っている町のように、鍵雛町を歩き出していた。
あ、とルミは軽く声を上げながら、その後を追いかける。
アマゾンやリュウ達もまた、勝手に歩き出すリョウを追って鍵雛町の中を歩いて回ることに。
頭を何度も抑えながらも、リョウは迷わずある場所へと向かおうとしている…アマゾンやルミは進行方向の先を見ると、そこは古い洋館。
一体どうしたのだろうか。
そう考えている間にも、洋館の前に彼女達は到着…その表札には、【一条】と書かれていた。
リョウは、頭を抑えながら声を絞り出すようにルミ達に告げる。
「リョウさん、ここって…」
「俺は…ここに来たことが、ある」
「え?……もしかしてリョウさん、記憶が…」
「いや、完全に思い出してはいない。だが…凄く、懐かしい」
ゴッドショッカーに奪われたリョウの記憶。
それは、一生をかけても元に戻らないはずのもの…
だが、ルミ達との楽しい思い出のように、僅かに残っていた記憶もいくつか存在しているのは確か。
もしかして、僅かに残った記憶の一部だろうか。
ルミはそう思っていたが、リョウの様子からして、ルミ達との記憶を思い出したときのような暴走を引き起こしていない。
どういうことかと考えていると、中から眼鏡を掛けた一人の老人が現れたかと思いきや…老人は口をパクパクとなんども開閉しながら、リョウを見ていた。
――誰だ、この人?
リョウだけでなく、弦太朗にアマゾンにルミ…更にはシュンやリュウといった子供達も、そんな疑問を感じ始めている。
しかし老人は、感激した様子でリョウに近寄ると、おいおい泣きながら訊ねていた。
「旦那様の面影を残したその顔…も、もしや、……リョウ坊ちゃん!?」
「え?」
「「坊ちゃん!?」」
老人の言葉に、リョウ本人は動揺し…
ルミと弦太朗に至っては、声を揃えて叫んでいた。
立ち話も何だと、老人…“|洗馬栖《せばす》 |智哉《ちや》”はリョウ達を洋館の中に迎え入れる。
本郷邸よりも若干古びているものの、内装には気を遣っているのか、埃一つない…
更に、壁に架けられている家族写真らしきものの中に、幼い頃の子供の写真もあった。
彼の横には優しげに微笑んでいる年上の女の子の姿もあり、アマゾンはそれを見て首を傾げるばかり。
洗馬栖に案内された場所は、暖炉のある広いリビング。
弦太朗達はソファーに静かに座り、リュウとシュンは壁に掛けられている鹿の剥製に興味を持っていた。
一方のアマゾンは、落ち着かない様子でキョロキョロ路周囲を見渡しており、それをルミに宥められていた。
そうしていると、洗馬栖が紅茶にオレンジジュースといった飲み物を持ってきて、リョウ達に渡す。
そして自分も近くの椅子に腰を掛けると、嬉しさのあまり涙を溢しながら、リョウに話していた。
「覚えていないのも、無理もないかもしれません…リョウ坊ちゃんは、20年ほど前に奥様に連れられてこの家を出ることになってしまわれたのですから」
「…?」
「どういうことなんですか?」
「奥様と旦那様の不仲が原因で、別居することになってしまわれたのです。その際、奥様は元の時雨姓となり…岡山の実家へお帰りに」
うう、と涙をハンカチで拭う洗馬栖。
しかし、リョウにはどうも実感が湧かないのだ…
記憶を失っていることも関係しているのだろうが、20年も前といえばリョウは6歳…その年頃なら、昔のことはあまり覚えていないだろう。
ルミは洗馬栖に、リョウが記憶喪失だと告げるべきか悩んでいた。
だが、正直に話してしまえば、洗馬栖は一層悲しんでしまうかもしれない。弦太朗もシュン達も、洗馬栖を気にしてか本当のことは言えないでいる…勿論、リョウ本人もだ。
そうしていると、洗馬栖は溜息混じりに呟き始める。
「うう…一年ほど前にリョウ坊ちゃんがいなくなった、と奥様から聞かれた時には私共も血の気が引くほどの思いで……特に旦那様など、その頃から床に臥せられるように…」
「そう、なのか」
「ああ…ここにシズカお嬢様が居たら、どれほど喜んでおられたことか」
「リョウさんに、お姉さんがいたんですか?」
ルミが驚いたように、洗馬栖に訊ねる。
はい、と洗馬栖は頷くと、姉のシズカについて話し始めていた…
シズカは笑顔がとてもよく似合う女性とのことで、まだリョウがこの家に居た頃、泣いてばかりいたリョウを優しく慰めていた。
また、二人で一緒に鍵雛町を探検することも多く、両親の仲が悪くなるまでは、家族で一緒に旅行にも行って…そのたび旅行先で見つけたものを、家に残って執事の仕事をしていた洗馬栖に見せていたのだそうだ。
彼から見てシズカとリョウは仲睦まじい姉弟で、二人が離れ離れになる際、洗馬栖は大変心を痛めたらしい。
リョウも「シズカ」という名前を聞き、薄っすらと何かを思い出そうとしていた。
――蜜柑畑で探検している、幼い自分と誰か
――その誰かは、いつも笑顔で自分を引っ張っていた、ような
「ですがシズカお嬢様も、数ヶ月前から行方不明になられ…噂では、黒ずくめの奴らに誘拐されたとか。旦那様の心痛は、ますます増すばかりで……今は病院で治療を受けなければならないほど、衰弱してしまい…」
(黒ずくめ…!)
(…ゴッドショッカーの奴ら、か)
洗馬栖の話を聞いた弦太朗とリョウは、コソリと話し合う。
だとしたら、今、リョウの姉は愛媛のゴッドショッカー支部に捕まっている可能性が高い…
弦太朗としては、今すぐにでも愛媛支部に向かって助け出すべきだ…と、洗馬栖に聞こえないようにリョウやアマゾンに話す。
二人もそのほうがいいと考え、早速この場を離れようとしていた
――その時だった。
洋館の壁を、突然の攻撃が襲う。
壁はガラガラと倒壊し、洗馬栖は何事だと大慌て。
だが、リョウ達は洗馬栖とは対照的に…このような事態でも、落ち着いていた。
彼らは今まで、襲撃されることなど幾度となくあった。
だからだろうか…冷静に、攻撃を仕掛けてきた“敵”を見据えることが出来るのは。
そして、そこに立っていたのは…武器を構えたデストロン戦闘員約500体と、一人の女性。
その女性の姿を見たリョウはズキリと頭が痛み、洗馬栖は口をパクパクさせている。
「…ッ、――お前達か…ここを襲ったのは」
「な、な、な…シ、シズ…」
「ええ。…ゴッドショッカーに逆らう愚か者の首、ここで……討ち取ります」
「「「うおおおおおー!」」」
女性の言葉を皮切りに、デストロン戦闘員が襲い掛かる。
戦闘員程度ならどうって事ないが、流石に、この洋館や洗馬栖は巻き込めない…
そう思ったリョウやアマゾンは、何とか敵をおびき出すように洋館の外に飛び出し、弦太朗もその後に続く。
「大丈夫ですか」とルミは洗馬栖に声を掛けるが、――洗馬栖は顔を青ざめたまま、女性を凝視している…まるで、ありえないものでも見たかのように。
一体、どうしたというのか。
そう思っていると、洗馬栖は声を何とか絞り出し、……その言葉にルミは衝撃を受けていた。
「シズカ、お嬢様…!?」
「え…シズカさんって、まさか…」
戦闘員達を何とか外までおびき出し、リョウとアマゾンは変身の構えを取る。
遅れて弦太朗もフォーゼドライバーを装着し、全員変身完了…
フォーゼはいつものように「宇宙キターッ!」と叫びながら、ロケットモジュールでデストロン戦闘員を殴り飛ばす。
アマゾンもまた、鋭い爪で敵を引っ掻くようにして襲い掛かる。
一方のZXは電磁ナイフを構え、武器を持ったデストロン戦闘員に向かっていく
…が、どうしてもそれを指揮している女性が気になって、仕方がない。
ゴッドショッカーの一員として行動していた時に、見かけた記憶はない。
それでも…
何故かZXは彼女のことを知っている。根拠はどこにもないが、確かに、覚えているのだ。
そうしていると、女性はゆっくりと微笑みながら…どこからともなく発生した薔薇の花の渦に巻かれる。
――彼女が微笑んだ瞬間、ZXの脳裏にある光景が甦る。
先程見た、蜜柑畑での記憶。
そして…泣いていた自分の頭を優しく撫でながら、優しい笑顔を見せていた人物。
ガラン、とZXが電磁ナイフを落としながら…頭で何度も「そんなはずはない」と訴えながら、女性に尋ねていた。
「姉…さん…?」
「いいえ、私はあなたの姉ではない」
「…な、に」
「私はバラロイド。――ゴッドショッカーの忠実な兵士」
花弁が女性…シズカを完全に包み、現れたのは薔薇の花を象った怪人。
“バラロイド”と呼ばれたそれは、茨の鞭を取り出しながらZXに襲い掛かる。
油断して反応が遅れた彼を庇うように、アマゾンが鞭を引き裂く。
真っ二つにされた鞭は、一方はボトリと地面に落ちるが…もう一方はすぐに再生し、アマゾンとZXを同時に狙うべく強襲する。
洋館の中から何とか脱出したルミ達は、洗馬栖を安全な場所まで避難させようとしていた。
だが、そんな彼女達をデストロン戦闘員が襲い、逃げることに必死で洗馬栖と離れ離れになってしまう。
ルミ達の危険を察したアマゾンが援護に向かおうとしたが、突然背後から重い一撃を浴びる。
「アマゾン」とZXが叫び、
…アマゾンを襲った攻撃手に、誰もが驚いていた。
「ウ、ぐぅぅ…」
「――ごめんな、アマゾン。それから、リョウさんも」
「何を、しているんだ…|弦太朗君《・・・・》!?」
アマゾンに襲い掛かったのは、味方であるはずのフォーゼだった。
彼はいつものようにフレンドリーで、さっきも、デストロン戦闘員にロケットモジュールで応戦していたはず…
だが、今フォーゼは…味方であったはずのアマゾンに、チェーンアレイモジュールで攻撃してきた。
何故。
どうして!
そんな素振りは、まったくなかったのに!!
誰もが動揺していると、バラロイドはフォーゼの横に並び立ちながら、説明していた。
「……彼はゴッドショッカーの協力者よ。少し前…あなた達が最初に京都支部を攻めた、あの時から」
「なん、だと…!?」
「俺や士達はそれぞれ、別の牢に捕らえられていた…そして俺は、その時に【神】の洗脳を受けたってワケだ」
「ゲンタロウ…嘘だ、アマゾン信じない!アマゾンとゲンタロウ、…トモダチ!!」
ZXが困惑し、アマゾンは嘘だと自分に言い聞かせるようにして、フォーゼに言う。
フォーゼは少しばかり心苦しそうにしながらも、右足のランチャーモジュールで威嚇射撃をする。
“威嚇”だけあってか、その攻撃はZXとアマゾンに当たらず…彼らの手前の地面に着弾。
強力な爆風が巻き起こり、ZXとアマゾンの視界が隠れる。
その際巻き起こった砂埃の合間を縫って、バラロイドがZXと交戦を始める。
ZXは「やめてくれ」と何度も叫ぶが、バラロイドは聞く耳を持たない。
「――待ってくれ、姉さん、…俺はあんたとは…!」
「『戦えない』?」
「!」
「優しいのね…だけどごめんなさい、……【神】に逆らうものには死を…そう教えられているの」
そう言い放ちながら、ZXの腹に蹴りを入れるバラロイド。
戦いのセンスなら、ZXの方が上…さっきの蹴りも、余裕でかわせるはずのものだった。
だが、ZXは“姉”と戦うことに抵抗を覚え、どうしても彼女に手出しをすることが出来ない。
そんな彼らの様子を見たフォーゼは、ドリルスイッチをガトリングに換えた後、ガトリングモジュールでZXとバラロイドに向かって射撃を行っていた。
その我武者羅な攻撃はZXだけでなくバラロイドをも怯ませ、その隙にヘルダイバーに跨ったアマゾンがZXを助け出す。
更に、ジャングラーは「乗れ」とばかりにルミやリュウ・シュンの所にやってきて、三人はそれに跨る。
…するとジャングラーは、まるで自分の意思が在るかのように勝手に走り出し、アマゾンの後を追いかけるようにしてこの場から逃げ出した。
それを追いかけるべくデストロン戦闘員達もまた、バイクに乗って追従。
残されたバラロイドとフォーゼは、暫くその様子を見ていた後…バラロイドはフォーゼに訊ねる。
「…あなたのお陰で逃げられたわ」
「悪いな、…なんか調子が悪くてさぁ…はは」
「まあ、いいわ。――今回の作戦は、彼らを愛媛支部に追い詰められれば…それでいいもの」
そう告げると、バラロイドは愛媛支部に帰還するべく歩き出す。
だが…
そんな彼女を呼び止めたのは、既にマシンマッシグラーに跨ったフォーゼだ。
「待てよ。…あんた、リョウさんの姉さんなんだろ?本当に、覚えていないのかよ……弟のことだぞ」
「私はゴッドショッカーに改造手術を受ける際、不必要な記憶を排除されたの。私だけじゃない…女の戦闘員・怪人は殆どがそう…だから私には、“リョウ”という弟なんて、いない」
「…なんで、脳改造だけでいいだろ…どうしてそこまでして」
「非情になるため、だそうよ。――そもそもこの話は、あなたには関係ないわ」
『関係ない』
そう言われ、フォーゼは悔しそうに舌打ちしながらも、マシンマッシグラーを走らせる。
そんな彼を眺めながら、「若いわね」とバラロイドはクスリと笑っていた…
To Be Counted…
***
〜次回予告〜
「敵になった以上、戦わなくては…いけないんだよな。姉さんとも、弦太朗君とも」
「ZX…キィィィーックッ!」
「――スーパー大切断!」
Episode55:決断の薔薇
☆
冒頭のシャウタのセリフはマジです。
栄次郎さんは相変わらず、器が大きいですね〜
ただ、何しているのか覚えていないのはさすがですけどw
敵の動きもキナ臭い…のはいつものことかww
とりあえずは
タクミ→愛媛から愛知に
アスム→長野から茨城に
ダブル組→山形から北海道に
ユウスケ→沖縄から鹿児島に
海東→北海道固定
と言う配置が判明しましたね。
でも、ここからまた更に移動しそうです……タクミ辺りが。
そして、ある意味ダブルとかアスムを移動させてよかったような事態もw
新事実:リョウさんの生まれ故郷は愛媛
これで愛媛出身が二人になりましたね(一人目はシロウ)
ちなみに
青森→月島兄弟
岡山→仁、紫電、本郷、花崎、(リマジ1号)
島根→麻豆
ドイツ→ジョージ
…ジョージさんだけ浮きまくりww
バラロイドとエグルのダブった方、手を上げて!←
と言う冗談はさておき…
裏切り者は弦ちゃんでした。
残念だったな!王環さんはブラフなのさ!!
…という冗談はホント無しにして、実は前回の時点で、王環さん書き忘れていたんです…!
でも弦ちゃん「ギル」って名前知らないでしょうし、どう説明したらいいのか分からないから放っておいたらそのまま忘れていたと言う。
後でちゃんと【神】にでも突っ込まれて、言ったんじゃないでしょうかw
ちなみに、ソウジさんの次に移動が忙しくなるのが王環さん。
54/90
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