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真希2


「あっ、降ります、降りますっ!」

慌ててホームに飛び出した途端、プシューッと音を立てて電車のドアが閉まった。気づかないうちにうたた寝
をしていたようだ。前の夜、悶々として一睡もできなかった雄二は、予備校の講義の最中も何度も居眠りをしてしまった。

(しっかりしなきゃ、こんな調子だと、来年も浪人だぞ…)

自分を戒めながら家に帰り着き、ドアを開けると、真季の電話する声が聞こえた。

「えっ…、遅いの…。うん…、仕方ないけど…」

不満そうな、そして、どこか甘えるような声だ。相手は浩一だろう。電話の内容からすると、今日は帰りが遅くなるというのだろう、そう推測はついたものの、真季に話しかけたくて、雄二は近寄って尋ねた。

「兄さんから?」

「うん、そうよ。」

「何だって?」

「仕事で遅くなるんだって…」

真季は少し寂しそうにそう言った。それは、雄二の心に兄に対する激しい嫉妬心を呼び起こした。思わず「僕がいるよ」と言いかけて、雄二は、危うくその言葉を飲み込んだ。

その夜、二人で食事をする間、真季は雄二のものだった。
真季は聞き上手だ。雄二の話を感心して聞いてくれ、時折、的確な質問で話を波に乗せてくれる。雄二の下手な冗談に応えて見せてくれるのは、とびっきりの笑顔だ。

「雄二君、第一志望はどこなの?」

「慶稲大学の政経学部。」

「浩一さんと同じなのね。私も慶稲大学よ。文学部だけど。」

「でも、偏差値がちょっと足りないんだ。先生はもっと自信を持て、そうすれば大丈夫だって言うんだけど…」

「そうよ。雄二君、実力はあるんだから、自信を持って勉強すれば、来年はきっと大丈夫よ。」

「うん、義姉さんにそう言ってもらうと、本当に合格しそうな気がするよ。」

「あら、気がするだけじゃなくて、本当に合格するのよ。」

真季にそう言ってもらえるだけで、雄二は志望校に合格できそうな気がした。

「ねぇ、ビール飲もうか?」

いたずらっぽく笑って、真季が言う。

「僕、未成年だよ。」

「でも、飲んでるんでしょ?」

「うん!」

そう言って笑い合いながら、真季は350ミリの缶を2つ持って来た。
アルコールが入ったせいで、会話もぐっとなめらかになってくる。そのうち、浩一の話になると、頬をほんのり染めた真季が、拗ねたような表情を見せてぼやいた。

「あの人ったら、私のことより、仕事の方が大切なんだから…」

そんな真季は、あどけない少女のように見える。そんな彼女が愛しくて、雄二は思わず言った。

「俺が兄さんなら、義姉さんを放っといたりしないけどな。」

「ふふっ…、雄二君って、優しいわね。」

そう言って見つめられると、雄二の心臓はドキドキ音を立てる。
その時、風呂場からお湯が張れた合図のメロディが聞こえた。

「雄二君、お風呂、入ったら?」

「僕、後で入るよ。風呂に入ると眠くなって、勉強できないんだ。」

「じゃあ、私、先に入ってくるね。」

そう言って真季が立ち上がる。
やがて、浴室のドアが閉まり、シャワーを流す音が聞こえた。

(いけない…、いけない…)

そう思いながらも、雄二は足音を忍ばせて、脱衣室のドアを開けた。磨りガラスに、立ってシャワーを浴びる真季の姿が映っている。
豊かな胸とお尻、キュッと締まった腰のくびれ、スラリと伸びた両足。その中心に黒い陰りが見える。雄二は、思わず股間が熱くなってくるのを感じた。

=====

夜中になって、雄二は足音を忍ばせながら二階に上がって行った。何を期待していたわけでもないが、真季の寝ている姿を見たいと思ったのだった。
階段を一歩一歩のぼるごとに、昨日、真季と浩一の夜の生活を覗いた記憶がまざまざと浮かんでくる。
真季が寝ている部屋の前に来ると、やはりドアが少し開いていた。どうやら建て付けが悪くなって、何かの拍子に開いてしまうのだろう。雄二は思わず部屋の中を覗き込んだ。電球はついていなかったが、煌々と照らす月の光で、部屋の様子はだいたい見て取れた。
目の前に、ベッドに寝ている真季の姿が見えた。掛け布団は掛けず、その上に横たわっている。

「あぁ…」

ふいに、真季の声が聞こえた。泣き声のような、甘えるような、男の官能をくすぐる声だった。
見ると、右手がパジャマの上から胸を撫でている。

「!」

息を飲んで見ていると、パジャマの裾から中に入った右手が、ゆっくりと左乳房を揉み始める。ベッドの上に投げ出された美しい脚がもじもじとよじり合わされていた。

「んんっ…、ん…」

押し殺してはいるが、真季は今や、はっきりとわかる喘ぎ声を漏らしている。眠っているのではなく、自ら身体を愛撫しているのは明らかだった。

(ね、義姉さん…、オナニーしてるんだ…)

真季は横になったまま、手と足を使ってパジャマのズボンを脱いだ。軽く開いた足の間に白い下着の底が覗いている。一方の手がそこに伸びて、パンティの上から陰部を撫で始めた。
軽く折り曲げて、しっかりと揃えていた両脚がついに崩れた。右足はまっすぐ伸ばしたまま、左足がおずおずと90度上に持ち上がり、折り曲げた足の膝小僧が天井を向いた。雄二の位置から、さっきよりはっきりと下着が見えた。

(パンティ…、濡れてるのかな…)

雄二はそう思って目を凝らすが、月明かりぐらいでは、それを確認するのは無理だった。

「ん…、んっ…、んんっ…」

真季の自慰は激しさを増していく。胸を愛撫していた手がパジャマから出て、シーツをぎゅっと掴んでいる。足の指が閉じたり開いたりしているのが目に入った。

「あっ…、いっ…、いやんっ…」

とうとう、真季はパジャマの上も脱いでしまい、パンティ一枚になっている。冴え冴えとした月の光を浴びて輝く肌が見える。
その手が乳首に触れた。ぴくんと身体が反応し、伸ばした足が一瞬、内股に少し縮まる。

「あ…、いやっ…」

そして真季はついにパンティの中に右手を差し込んでいく。
敏感な部分に触れたらしく、頭を後ろにぴくっと反らせ、投げ出していた足の膝が持ち上がった。
真季は身体をよじり、パンティを足から抜き取った。手の動きが制限されるのを嫌ったのだった。

「あンっ…、あンっ…、はっ、はっ…、」

全裸になった真季は、大きく足を広げた「人」の字型の姿勢で仰向けになっていた。左手は右の乳房を握りしめ、右手を激しく股間に突き立てている。

(凄い…、感じてるんだ…)

雄二の目は真季に釘付けになった。普段、清楚な分だけ、快楽に悶え狂うその姿はたまらなく淫靡であった。

「んん…、あっ、だめ…んん…」

真季が甘えるような喘ぎ声を漏らした。ドアの隙間から見つめる雄二は、強烈な興奮に、夢中で自分の物を擦りたてている。

「いやっ…、やンっ…、あぁん…、あっ…、あっ…」

美和の姿勢はさらに変化していく。一度は伸びきった両脚が少し縮まり、その足を支点にして腰が少しずつ持ち上がり始めた。

「あっ…、あぁっ…、あっ…、あっ…」

真季は無茶苦茶に指を動かした。指の動きに合わせて、くいっくいっと腰が持ち上がる。

(義姉さん、いきそうなんだ…)

「あっ…、いっ…、いっ…、あっ…、あぁっ!」

真季の体が、ぶるっぶるっと断続的に震えだした。

「やっ…、やンっ…、あっ…、んっ…、くぅ…」

真季は腰をがくがくと突き上げ、頭を大きく後ろに反らした。

「んっ…、んっ…んんんっ!」

そして、糸が切れたように、がくんとシーツの上に身体を落とした。荒い呼吸の中で、なお、しばらくぴくぴくと身体が痙攣している。

=====

思わず身を乗り出した途端、雄二は態勢を崩してしまった。
とっさにドアの把手を掴んだものの、半開きのドアは彼の体重を支えてくれるわけもなく、勢いよく部屋の壁にぶつかった。
ガターン!
大きな音とともに、雄二が部屋に転がり込む。

「雄二君、見てたの?」

真季が掠れた声で尋ねた。雄二と視線を合わせることなく、掛け布団を胸まで引き寄せて、裸身を隠している。
雄二はそれには答えず、ベッドに駆け寄ると、真季の肩を抱きしめてキスをした。

「んん…、雄二くん、だめ…」

真季はもがいて、雄二を引き離す。伸ばした両手が雄二の肩を掴んでいるために、掛け布団が捲れ、豊かな乳房が揺れているのが露わになった。それが雄二の興奮にさらに火をつけた。

「義姉さんっ、好きだ!」

そう言うと、雄二は倒れ込むようにして、真季の身体をベッドに押し倒す。その手は、真季の胸の膨らみを押し潰すように揉みしだいていた。たわわに実った乳房はなんとも心地よい弾力で、脳まで溶かすような感触を掌に伝えてきた。

「いやっ、やめて…」

そう言って拒もうとはするものの、恥ずかしい姿を見られた負い目からか、自慰行為の余韻が残っているせいか、真季の抵抗はとても弱々しいものであった。

(乳首が硬くなってる…)

指先でなぞると、乳暈が微かに隆起し、乳首がすっかり尖っているのがわかる。雄二は夢中で乳首にむしゃぶりついた。

「ふぅん…、ああぁ…」

強く吸うたびに、真季の唇から甘い吐息が漏れてくる。乳輪をなめまわし、乳首に軽く歯を立てると、真季はピクンと身を震わせ、切なげな喘ぎ声を響かせる。
柔らかな肌を全身で味わいたいと思った雄二は、もどかしげな手つきで着ている物を全て脱ぐと、真季の体に覆いかぶさり、体を重ね合わせた。頬と頬を擦りつけ、胸板と乳房を触れ合わせ、再び唇を奪う。汗をかいた真季の髪の毛からリンスの甘い匂いがした。
雄二は夢中で真季の唇を吸った。今度は真季もそれを応え、タイミングを合わせながら互いの唇を貪った。真季の喉の奥からは、ひっきりなしに可愛らしい哭き声が漏れている。雄二は舌を差し入れ真季の舌と絡ませた。真季も雄二の舌を受け入れ、自ら舌を絡ませてくる。次から次へと雄二の唾液が真季の口に注ぎ込まれた。
もっと真季の体のいろいろな部分に触ってみたいと思った雄二は、左手で乳房を揉みながら。右手は体側にそってすべりおろし、ふとももの内側にあてがった。むっちりした肉の感触が掌に伝わってくる。
そして、下腹部に手を滑らせる。陰毛のシャリシャリした感触の真ん中に、ヌルっとした手触りがあった。

(どうなってるのか、見て見たい!)

そう思った雄二は、真季の下半身の方に体を移動させ、太腿を大きく開かせた。

「あっ、いやっ…」

股間を隠そうとする手を払いのけて、雄二は真季の秘部を見た。ふっくらと盛り上がった外陰唇から、濡れた花弁がわずかにはみ出している。ラビアの合わせ目の包皮の間から小さな突起が顔をのぞかせているのが、月明かりの中でも見て取れた。

(これが、義姉さんのオ××コ…)

ふと、浩一がそこをなめていたことが鮮明に思い出され、雄二は真季の陰毛に鼻先を埋めた。

「ああっ…」

真季は背をのけ反らせ、太腿をギュッと締め付ける。
雄二は夢中で真季の陰部をなめた。陰核をしゃぶり、ラビアを含み、尖らせた舌先で膣口をほじってゆく。

「あんっ…、んんっ…、ああっ…」

真季が喘ぎ、少しもじっとしていられないようにクネクネと身悶えている。真季の性器をなめている、そう思っただけで、あやうく射精しそうになることが何度もあった。

=====

限界だと思った雄二は、体を起こすと、大きく勃起しカウパー腺液まみれになっているペニスを握って、グッと真季の秘部に押し付けた。

「あっ、だめ!」

真季が慌てて声をあげる。しかし、もはや止めることはできなかった。亀頭の先に愛液のぬめりを感じた直後、雄二はたまらず腰を突き出したのだ。屹立した肉棒がずぶずぶと真季の膣に潜り込んでいく。

「ああっ…」

雄二は声にならない快感の声を吐き出した。こんなに気持ちがいいのは、生まれて初めてだった。
今にも射精しそうになるのを必死で耐え、真季の体を抱き締めると、唇に、頬に、首筋にキスをした。

「ああ…、だめ…、やめて…」

真季の哀しげな声に、雄二はハッとした。自分はいけないことをしているんだという罪意識が強く湧いてきたが、すぐに、真季とつながっているという快感と興奮がそれを上回った。
雄二は腰を使い始めた。肉襞にペニスをこすられ、何度も暴発しそうになりながら、その都度、なんとか踏みとどまった。
しかし、それも長続きしないのは明らかだ。

「あん…、あっ…、あぁ…」

真季のよがり声が雄二の興奮を煽る。もうこれ以上、雄二に耐える術はなかった。肉棒が脈動を開始し、溜まった白濁液が真季の体内に向かって噴出していく。
数秒遅れて、真季の体を大きな痙攣が走り抜けた。ふと見ると、真季の右手が股間にあてがわれている。彼の肉棒を迎え入れたまま、真季は自らの指で秘部を愛撫していたらしい。
射精の余韻を味わいながら、雄二は真季の体を抱き締める。
すると、閉じた真季の目から大粒の涙がポロポロこぼれ落ち、裸の胸を熱く濡らした。

「ごめん…」

その声が引き金になったかのように、真季が小さな声を漏らして泣き出した。雄二は掛ける言葉が見つからず、ただ、真季の髪を優しく撫でていた。

「こ、このことは…、雄二君と…、私だけの…、秘密にして…」

真季が涙声でそう言った時、二人は「共犯」になった。

雄二が真季を抱いたのは、その時一回だけだった。
数日後には両親が旅行から帰って来たし、浩一も意外に早く新しいマンションを見つけて、すぐに引っ越して行った。
以前と変わらない日が戻ってきたが、それ以来、雄二は見違えるように勉強をするようになり、翌年の春、見事に大学に合格した。しかし、それは、当初の志望校の慶稲大学ではなかった。兄と違う大学、そして、兄と違う進路を選んだのだ。もやは、浩一は雄二の憧れの存在や自慢の兄ではなかったし、競争相手でもなかった。
それから二、三か月経って、浩一から電話があった。

「よろこんでくれ、真季に子どもができたんだ。どうやら、うちにいる時にできたらしいよ。」

浩一がそう言っていたと母から聞いた雄二は、心の中にムクムクと疑問が湧き起こってくるのを感じた。しかしそれは、けっして口に出してはならない疑問である。

それから2年程の月日が流れた。

「ただいま。」

雄二が大学から帰ってくると、玄関に黒い紳士物の革靴とネイビーブルーのおしゃれな婦人靴、そして、掌に乗りそうな小さな可愛い靴が並んでいた。

「おう、雄二、元気にしてるか!」

浩一はいつも変わらない口調で声をかけてくる。その横で、以前にも増して美しい真季が、膝の上に小さな子どもを乗せて、にっこりと笑っていた。
膝の上の幼児は、雄二を見ると、ニコニコ笑いながら手を伸ばし、口を開いた。

「パパ…」

「おっ、直人がしゃべったぞ!」

浩一がうれしそうな声をあげた。
雄二が凍りついたように見つめる幼児は、無邪気に微笑みを返してくる。

「きっと、直ちゃんは、雄二叔父さんが好きなのね。」

穏やかにそう言った真季は、そっと子供を抱き上げると、優しい微笑みを浮かべて雄二を見た。その姿は、ラファエロの聖母子を連想させ、雄二はただ黙って見つめていた。

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真希1

「ただいま。」

雄二が予備校から帰ってくると、玄関に見慣れない靴が二足並んでいた。黒い紳士物の革靴とネイビーブルーのおしゃれな婦人靴だ。

(誰か来てるのかな?)

そう思いながらリビングに入ってみると、兄の浩一が来ていた。

「おう、雄二、元気にしてるか!」

浩一は雄二に向かって、いつも変わらない陽気な口調で声をかけてきた。
5歳年上の兄は子供の頃から優秀で、浪人中の雄二と違って名門大学にストレートで合格した。卒業後は一流企業に入り、若手の有望株として期待され、今も重要なプロジェクトを任されている。雄二はそんな出来の良い兄と、何かと言えば比較されてきたのだが、しかし、そのことで僻んだことは一度もなかった。兄とは仲が良かったし、そもそも、兄が自分の競争相手だなどと考えたことがなかったからだ。浩一は、雄二にとっても「自慢の兄」であった。

「こんばんは。」

浩一の隣でニッコリ微笑んだのは、兄嫁の真季である。一瞬、返事をするのも忘れて、雄二はみとれてしまった。真季と会ったのは、結婚式の時以来だが、上品なワンピースを着た彼女は、花嫁姿の時に勝るとも劣らない美しさだ。

「…こんばんは…」

目を伏せてドギマギしながら、雄二が真季にあいさつを返す。なんとなくそわそわして落ち着かない。

「まったく、まいったよ…」

そう言って、浩一が実家に帰って来た事情を話し始めた。
浩一は、結婚と同時にマンションを買って家を出たのだが、そのマンションが欠陥住宅であることがわかって、退去しなければならなくなったのである。出て行けと言われても、すぐに替りの住居がみつかるわけでもないし、ローンと家賃の二重払いもきついということで、とりあえず実家に戻って来たのだと言う。

「でも、困ったわね。私たち、明日から旅行なのよ。」

母が言った。両親は明日から一週間、北海道に旅行に行くことになっているのだ。

「構わないよ、父さんと母さんは、ゆっくりと旅行を楽しんでくればいいさ。家のことは真季にやってもらうから。」

「ええ。勝手に押しかけて来ちゃったんですから、何かしておくことがあったらおっしゃってください。」

真季が笑顔を浮かべ、柔らかな物腰で姑に言った。打ち解けた雰囲気の中にも、ふとした態度で育ちの良さを感じさせる。

「雄二君も、何かあったら、遠慮なく言ってね。」

「…う、うん…」

まぶしいばかりの真季の笑顔を向けられ、雄二は完全に舞い上がってしまった。
兄の浩一が初めて真季を家に連れて来た日のことを、雄二は今でもはっきりと覚えている。

「紹介するよ。俺の彼女だ。」

そう言う兄の横に座っていたのは、まさに雄二の「理想の女性」そのものだった。
まず、ハッとするぐらいの美人だ。テレビに出ている女優や、ファッション雑誌のモデルと比べても見劣りしない。
しかも、「美人」と言っても、近寄り難い感じはまったくない。しっとりした大人の女の雰囲気を持ちながら、ややふっくらとした頬の線とパッチリした大きな目が少女っぽさを残しているため、雄二から見ても、年上だということを忘れさせ、「可愛い」と思わせる容姿である。
知的で、言動に品があるのも雄二の理想にぴったりだった。
浩一の大学時代の恩師にあたる教授の娘だと聞いて、雄二は深く納得した。
さらに、優しく思いやりにあふれた性格を知るに及んで、真季は雄二の崇拝の対象となった。
兄が真季と婚約したことを聞いた雄二は、最初、真季が家族になることに大きな喜びを感じ、次に、兄の嫁になることに気づいて、胸が苦しくなるのを感じた。

=====

「おはよう、雄二君、もう朝よ。」

翌朝、雄二を起こしたのは、いつもの母のガミガミした声ではなく、甘く優しい女性の声だ。雄二は寝ぼけた頭で、跳び起きた。
部屋の入り口にエプロン姿の真季が立っていた。新婚ほやほやの若妻らしいその姿に、雄二はまたもやみとれてしまう。昨夜から、何度バカみたいな顔で真季を見つめたことだろう。

「早く食事をして、出掛けないと遅れちゃうよ。」

そう言って微笑む真季。雄二は、天にも昇るような気持ちにだった。
顔を洗い、着替えを済せてダイニングキッチンに行くと、カリカリに焼いたベーコンと卵がテーブルに並べてあり、真季がトーストとミルクを運んできてくれた。

「兄さんは?」

「もう出掛けたわよ。お寝坊さん。」

そう言って笑い、真季は肩まで伸ばした髪を自然なしぐさでかきあげる。わずかに茶色がかったその髪は、まるで何かをコーティングしてあるように,見事な光沢を放っていた。

「義姉さん、料理うまいね。」

「あら、ベーコンと目玉焼きを焼いただけよ。」

「でも、焼き加減がいいよ…、うん…」

「本当かしら?」

真季はいたずらっぽく笑って、雄二の目を見る。

「でも、褒められるとうれしいわね。じゃあ、晩ごはんには、シチューを作っておくわ。私、シチューには少し自信があるのよ。」

そう言ってほほ笑む真季。幸福な食事の間、雄二は何度も、真季との新婚生活を始めたかのような錯覚に陥った。

その日、授業が終わると、雄二は悪友たちの誘いを一蹴して、一目散に家に帰った。

「ただいま!」

元気良く家に飛び込むと、真季の楽しそうな笑い声が聞こえた。それに答えて、男の声がする。浩一が帰っているのだ。

「おかえりなさい。」

「おう、雄二、早かったじゃないか。」

雄二に声をかける真季と浩一は、向かい合って座っている。
テーブルの上には暖かな料理とワイン。絵に描いたようなお似合いのカップルだ。

「兄さんこそ…、早いんだね…」

雄二の声は、自分でもびっくりするほど沈んでいる。

「ああ、今日は外回りの仕事の後、直帰だったんだが、仕事がスムーズに言ったんでね…。」

「兄さんは、優秀だからな…」

雄二は、「優秀」と言った言葉が刺を含んだ響きになるのを、自分で感じていた。浩一も一瞬、表情を硬くする。

「じゃあ、僕は勉強するから…」

そう言って、何か言おうとする浩一を遮ると、雄二はくるりと背を向ける。

「雄二君、ごはんは?」

心配そうな真季の声を背中で聞きながら、雄二はダイニングキッチンを飛び出した。

「やっぱり、腹が減ったなぁ…、ひょっとしたら、シチュー残ってないかなぁ…」

深夜になって、雄二はそうつぶやきながら部屋から出て来た。
勉強しようと思っても集中できず、感情の波が収まってくると、今度は空腹を意識して眠れなくなったのだ。
一階の奥にある自分の部屋を出て、キッチンのあたりまで来ると、二階に上がる階段がある。
午前1時過ぎの静まり返った空気の中に、微かな物音を聞いたような気がした雄二は、何げなく、音のする方をたどっていく。どうやら音は二階から聞こえてくるようだ。音に引き寄せられるように階段を上がると、女の泣き声のようなものが聞こえて来きた。

「…うん、何だろう…?」

なんとなく放っておけない気持ちになった雄二は、声のする方へ歩いて行った。
そこは兄たちの部屋だった。
漏れて来る声は、もはや、はっきりそれとわかる。真季のよがり声だったのだ。
見ると、ドアに少しだけすきまがあいている。真っ暗にせず、小さな電球だけはつけているようで、部屋から電球色の光が漏れていた。

(ちょ、ちょっとだけ…)

夫婦の秘め事をのぞき見する後ろめたさより、好奇心の方がわずかに上回った。雄二は、物音を立てないよう細心の注意を払ってドアに近付くと、その隙間を覗き込んだ。

=====

ちょうどベッドが見てとれた。
ベッドの上で、真季が仰向けになり、体を艶っぽくくねらせてあえいでいた。立てた膝に間に頭が見える。浩一が真季の股間をなめているのだ。

「………!」

その光景に衝撃を受け、雄二の眼は釘付けになってしまった。

「ほら、気持ちいいだろう?どんどん濡れてくるぞ。」

浩一は顔をあげ、乱れる妻を見つめて言った。言いながら、指先で秘部に触っているらしい。

「あ、いや…、は…、恥ずかしい…」

「エッチなオ××コしてるね、真季、可愛いよ…」

浩一は股間を覗き込むようにして、両手でしきりに真季の局部を弄っている。その都度、真季は「あっ…、あっ…」という喘ぎ声を漏らして、身体をくねらせる。

(あんなに感じてる…、兄さん、どんなふうにしてるんだろう…)

雄二の位置からは、浩一が真季のもっとも恥ずかしい場所をどうやって攻めているのか見ることはできない。しかし、むしろ見えない分だけ、雄二の想像はかきたてられる。

「あん…、あぁ…、いじわる…」

真季が耐えられなくなったように、羞じらいを含んだ甘え声を漏らす。すると、浩一が再び真季の股間に顔を埋めた。

「あうっ!」

真季の腰がピクンと跳ね上がり、内腿で浩一の顔をはさみつけた。

「あっ、あう…、気持ちいい…、浩一さん…」

真季は髪を乱して首を振り、みずから両手で浩一の顔をギュッと股間に押しつける。

(す…、凄い…)

雄二は心の中で呟いた。彼は女性とセックスをした経験がなく、風俗の店に行ったこともなかった。欲求を満たす方法と言えば、インターネットのエッチ画像やアダルトビデオを見て自慰行為にふけるぐらいなものだったのである。そんな雄二にとって、目の前で繰り広げられている濃厚な愛の行為は、あまりにも刺激が強かった。
チュチュ…、チュル…、チュバッ!
真季が漏らした蜜を、浩一が音をたてて啜り上げる。

「あ…、あ…、あ…、ああっ…」

真季が顎をのけぞらせて喘いだ。その拍子にベッドから頭がずれて、髪がハラリと垂れ下がる。雄二の視線の先に、歓喜の表情を浮かべた真季の顔があった。閉じられた瞼のうえで、整った眉がキュツと寄せられている。噛み締められた唇の隙間から、悩ましい呻きが漏れている。

「あっ、ああ…、もっと、奥のほう…」

真季の唇が白い歯を覗かせて、うわ言のような声を漏らした。浩一はそれに応えて、指で真季の割れ目をめいっぱい広げ、奥の奥まで舌を伸ばした。
息を詰めて見ている雄二の耳に、浩一の舌がピチャピチャ鳴る音と、しだいにせわしくなっていく真季の息づかいが聞こえてきた。
女のアソコを舐めるとどんな感じがするのだろう。それに、一番恥ずかしい部分に顔を埋められ、そこを男に舐められたら、女はどんな気持ちなのだろう。天使のように清純で、おしとやかな真季が、これほど手放しに喘ぎ、悶えている。きっとその快感は想像にあまるものなのだろう。
想像をめぐらすにつけ、雄二は全身がカーッと熱くなり、自分が真季の秘所を舐めているような気になってきた。胸がドキドキし、股間が痛いほど硬く膨らんでいる。雄二の手は無意識のうちに、ズボンの上からそれを撫で始めていた。

「あっ…、いや…!」

真季の声が少し変化した。

「今日は、こっちも舐めてあげるよ…」

「あっ、ダメ…、そこは…、汚い…」

(…きっと、…義姉さんの、お尻の穴を舐めてるんだ…)

そう思っただけで、雄二は興奮のあまり射精しそうになったが、必死でそれを堪える。

「真季、乗ってくれよ…」

浩一の声がする。

「えっ、でも…」

「どうしたんだい、前にやっただろ?」

「うん…、だけど…」

「俺の上に跨がって、腰を振ってよがってたじゃないか。」

「…恥ずかしい…」

「じゃあ、今夜はこれで終わりにしようかな…」

「…もう、…意地悪…」

うらめしそうに、しかし、甘えるようにそう言うと、真季は体を起こして、ベッドに仰向けに寝ている浩一の下半身に跨った。なだらかな陰影を映し、電球の光を浴びた素肌が、暗がりの中に浮かび上がって妙になまめかしい。

=====

魅力的な肉付きの尻、艶めかしい曲線をたたえた腰、たわわに実る乳房…、スリムで華奢と言っても良い真季の体格からすれば、信じられないぐらいの豊かさだ。人妻となり、夫の愛撫で磨き上げられた女の持つ豊かさなのだろうかと、雄二は夢中で見つめていた。その手は、トランクスの中で、下腹につくほど勃起した男根を、撫でさすっている。
真季は腰を浮かして前に移動すると、屹立する浩一の肉棒に手を添え、角度を調節して股間へと誘う。

「う、うっ、うんっ…」

軽く息を吐いて、真季はゆっくりと腰を落として行った。

「はうぅぅ!…」

奥まで達したペニスを浩一が動かすと、真季がピーンと背筋を伸ばし、白い喉元を見せてのけぞる。

「腰を動かして…」

浩一が言うと、真季は小さく喉を鳴らして、ヒップを揺らし始めた。

「ん、ひっ…、んく、うんっ…」

真季は、浩一の下腹部に腰をこすりつけるように前後に揺すってグラインドさせる。おそらく、より深い快感を得るためにクリトリスを刺激しているのだろう。肩まで伸ばした髪がサラサラと揺れ、頬にかかる。身体の動きにあわせて、理想的な形をした豊かな胸が、官能的に揺れるのが見えた。
真季が腰をグラインドさせながら、浩一のお腹に少し手をついて、のけぞるように動く。

「うっ、いい…、いいぞっ、真季…」

浩一が気持ち良さそうな声をあげる。雄二も真季の動きにあわせて陰茎をしごいていく。
突然、浩一が真季の腰を押さえて、グッと一気に腰を突き上げた。

「あうっ!」

真季が呻き声をあげて、前のめりになると、浩一は両手を伸ばした。揺れる真季の胸を、指さえ埋もれてしまうほど強く掴み、思うがままに揉みしだく。真季の身体は、肉柱と腕にしっかりと捕らえられ、ゆっさゆっさと揺さぶられる。

「あぅ…、はぅ…、あぁん、あぅっ…、あぁっ…」

抑えようとしても抑えられない甘い喘ぎ声を漏らす真季。美しい髪は流れ落ちる汗によって額や首筋に張り付く。

(義姉さん…、スゴイ…)

清純そのものの兄嫁が、狂ったように快感を求め腰を振る淫らな姿は、すっかり雄二を興奮させてしまった。股間の肉棒は限界ギリギリまで膨れ上がり、先端から滲み出す体液でヌルヌルになっている。
浩一が強烈な突きを繰り出した。

「うっ…、くうっ!」

浩一が腰を突き上げる動きと同調させるように、真季はさらに激しく美しいヒップをくねらせた。髪を振り乱し、美しい顔をこれ以上ないほど反らしている。その腰は淫らに上下に動き、たわわな乳房は、ぷるんぷるんと激しく揺れ続けている。結合部から溢れ出た愛液は、二人の動きに合わせて、ジュポジュポと淫らな音をたてていた。

(はっ…、はっ…、はっ…)

荒い息をひそめながら、雄二の右手も激しく動いている。今にも射精してしまいそうだ。

「だめ、もうっ…、いっ、イキ…、そうっ!」

真季が切羽詰まった声をあげる。

「おっ、俺もだ…」

浩一は、我を忘れてヒップを揺すっている真季の膣奥に向け、固く大きくなったペニスを突き出す。子宮まで突き破られてしまいそうな衝撃に、真季は思わず高く喘いだ。

「あ、あ、あううっ…、ああぁーっ!」

真季が全身が細かく痙攣し、ひときわ大きなよがり声をあげた瞬間、雄二の手に握られた肉棒がビクンビクンと脈打ち、トランクスの中で勢いよくはぜた。

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Author:まとまる☆☆☆☆
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