社説:共通番号制度 与野党でよりよい案に

毎日新聞 2012年02月19日 02時32分

 国民一人一人に個別の番号を割り振る共通番号制度が実現に向け大きく動き出した。野田政権は導入のための法案(マイナンバー法案)を国会に提出し、15年からの共通番号活用を目指している。税と社会保障の一体改革を進める上で重要な仕組みだ。国会で審議の時間を十分確保し、利便性、信頼性の高い制度に仕上げてもらいたい。

 現在、国民の個人情報は、納税に関するもの、年金、医療、介護に関するものが、それぞれ担当の役所ごとに管理されている。これを一つの個人番号の下で一元管理し、手続きの効率化や、きめ細かく公平なサービスの提供などを目指そうというのが共通番号制だ。

 実現すれば、所得で対象者を限定した現金給付や、医療・介護・子育てなどの自己負担総額に上限を設けることなどが可能になるという。自分の年金情報などをチェックすることも容易になりそうだ。

 他の先進国では同様の番号制度が普及しており、必要なものではあるが、日本ではほとんど知られていない。政府の世論調査では8割以上の人が「知らない」と回答している。

 目的や用途などを分かりやすく説明し、国民の理解を得る努力を加速させねばならない。

 そこで欠かせないのが、個人情報の漏えいや不正利用などに対する不安をできるだけ取り除くことだ。誰がどのような場合に罰せられるのかについての説明や、個人情報にアクセスした履歴の閲覧制度を周知させていくことが重要だ。

 特に病歴など診療情報の保護には不安を抱く人も多いだろう。今回国会に提出された法案に医療内容への適用は含まれておらず、政府は今後1年かけて特別法案として追加する方針のようだ。

 共通番号制を利用して個人の治療歴などにアクセスできたら、災害時の診療に役立つ可能性がある。こうしたメリットを国民に分かりやすく解説すると同時に、プライバシー保護のための手を十分打ってほしい。

 今回の法案は、税と社会保障の一体改革に関する国会審議に間に合わせる必要もあり、利用対象を最低限の分野に絞り込んだ。民間事業者による活用の検討を将来に持ち越したほか、預金通帳が共通番号の適用外となるなど、課題は残る。

 さらに、共通番号を導入すれば、正確な所得把握が保証されるというものでもない。消費増税に伴う低所得者への支援でいかに公平さを確保するか、工夫の余地は大きい。

 国民にとってよりよい制度を作るという大きな目的のため、与野党には一日も早く建設的な審議を始めてもらいたい。

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