中国:国防予算案の大枠発表されず 「不透明」批判に反発

毎日新聞 2013年03月04日 20時09分(最終更新 03月04日 21時43分)

全国人民代表大会の開幕に先立ち、記者の質問に答える傅瑩報道官=北京の人民大会堂で2013年3月4日、工藤哲撮影
全国人民代表大会の開幕に先立ち、記者の質問に答える傅瑩報道官=北京の人民大会堂で2013年3月4日、工藤哲撮影

 【北京・工藤哲】中国の全国人民代表大会(全人代=国会)の開幕に先立ち4日に北京の人民大会堂で開かれた記者会見で、傅瑩(ふえい)全人代報道官は今年度の国防予算の発表を見送った。中国では05年から、この会見で国防予算案の大枠を公表してきたが、全人代開幕直前に外国メディアから「不透明」と批判されることが事実上恒例化してきた現状に、習近平指導部が反発していることが背景にあるとみられる。

 「2013年の国防支出の規模はどのくらいか。どの方面に使うのか」。4日午前、人民大会堂1階の記者会見場でロイター通信の記者が質問すると、傅氏は「軍事費の問題は、全人代の記者会見で必ず聞かれる。以前の報道官は答えており、依然として国際的にも注目されている」と苦笑し、「我々は厳格な財政制度を実行しており、国防予算は国家予算案の一つに含まれ、16項目の検討議題の一つだ。大会で承認された後、皆さんも知ることになるだろう」と述べ、この場での公表を控えた。

 この対応について、中国人民大学の龐中英(ほう・ちゅうえい)教授は「予算の透明度はさらに高まっており、国防白書などでも十分に関連情報は公開されている」と理解を示したうえで「(今年の)額もいずれ公開されるだろう」と話す。

 しかし北京の外交関係者は「習指導部の意向があったのは明らか」とみている。沖縄県・尖閣諸島(中国名・釣魚島)を巡る問題で日中関係が冷え込む一方、中国海軍は先月27日、中国初の空母「遼寧(りょうねい)」(昨年9月就役)を、山東省青島に新設した基地に配備。黄海や東シナ海などで訓練を実施するとみられている。

 さらに中国軍は、装備の近代化・情報化を一層推し進めているとされる。米紙「ニューヨーク・タイムズ」が先月、米国企業や政府機関に対するハッカー攻撃の大多数に、上海に拠点を置く中国軍の部隊が関与している疑いが濃厚と報道し、中国側は否定するなど、波紋が広がっている。

 こうした活動の予算は公表額に含まれていない可能性がある。国防予算を公表することで、中国軍の動きが改めて注目され、周辺国を刺激することを習指導部が懸念したとの見方も出ている。

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