TPP:交渉会合開始 議長国「日本の参加も主要議題」
毎日新聞 2013年03月04日 21時16分(最終更新 03月04日 21時53分)
環太平洋パートナーシップ協定(TPP)の交渉参加国11カ国による第16回拡大交渉会合が4日、シンガポールで始まった。月内にも交渉参加を正式表明する日本政府は出席できないが、議長国シンガポールは「日本の参加問題も主要議題だ」と説明。コメなどの農産品を関税撤廃の例外とすることを目指す政府は、関税を巡る各国の議論の行方を注視している。会合は13日まで。【丸山進】
政府関係者によると、米国、豪州、ニュージーランドの3カ国を除く各国は日本の交渉参加を歓迎する意向を示している。
先月の日米首脳会談ではTPP交渉について「一方的にすべての関税を撤廃することをあらかじめ約束するものではない」ことが確認され、安倍晋三首相が求めた「聖域」の余地を事実上認めた。しかし、経済産業省幹部によると、米国はその後も「自動車、保険両分野で、議会の理解が得られるような進展がないと了承できない」との立場を伝えてきており、米国の納得が得られる対応策を示せるかが大きな焦点になっているという。政府はすでに、自動車分野で輸入時の安全審査を簡素化する条件を緩めるなどの譲歩案も提示しているが、米国からは色よい反応が得られていない状況という。
11カ国による今回の拡大交渉では、「知的財産」「投資ルール」「政府調達」など20分野の作業部会での協議に加え、関税撤廃の例外をどこまで認めるかなどについて詰めの協議が行われる見通し。詳細は明らかではないが、共同通信によると、マレーシアの当局者は「過去15回の会合で大部分の問題が解決された」と語り、日本の参加についても「経済大国である日本が参加するのは良いことだ」とした。
昨年12月に開かれた前回のTPP交渉会合には、メキシコとカナダが新たに参加。今年10月に協定内容を大筋で合意し、年内の妥結を目指す方針を確認した。日本の参加表明後に米国が同国議会に通告し、90日が経過した後に初めて日本の参加が認められるため、日本の参加は参加表明から3カ月以上後になる。このため、正式な参加は早くても9月会合からとなる。TPPに日本が加われば参加国の名目国内総生産(GDP)は世界の約4割を占めるだけに、「各国とも日本の意向は無視できない」(外務省幹部)との声もある。