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【格闘技】ゆうこりん 顔面炎上で判定負け2013年3月4日 紙面から ◇WBA世界女子ミニマム級タイトルマッチ
▽女子トリプル世界戦▽東京・後楽園ホール▽3日▽観衆1120人 ゆうこりん殴られた−。女子3大世界戦で、WBA世界女子ミニマム級王者の多田悦子(31)=フュチュール=に挑戦した、ボクシング界のゆうこりんこと、同級12位の黒木優子(21)=YuKO=は、健闘むなしく0−3の大差の判定で敗れた。前日は「これまで顔は無傷。殴られるのは好きじゃない。顔は死守する」と話していたが、百戦錬磨の多田に翻弄(ほんろう)され、ボコボコ状態。だが、アグレシッブな攻撃で王者をグラつかせるシーンもあり、明日に希望を抱かせる1敗となった。WBC世界女子アトム級王者の小関桃(30)=青木=は、自身の日本女子最多記録を更新する10度目の防衛に成功。同ライトフライ級王座決定戦に臨んだ柴田直子(31)=ワールドスポーツ=は敗れた。 「スイマセン。負けちゃいました。しかも、大差で」。氷嚢(ひょうのう)で顔を冷やしながら会見の席に着いた黒木が、舌をペロリと出した。 前日の記者会見では「殴られるのは好きじゃない。顔は死守します」と宣言した。この言葉から、どれだけディフェンシブなボクシングをするのかと思わせたが、ディフェンシブどころの騒ぎじゃなかった。黒木は顔面に無数のパンチを食らっても持ち前の負けん気で前に前に出たのだった。 左対左。テクニック、パワーとも、経験豊富な多田が上だった。左ストレートをまともに食らい、頭がカクンと後ろに揺れる危なっかしい場面も再三あった。しかし、黒木はひるむどころか、時にニヤリと不敵な笑みを浮かべながら向かっていった。そして、迎えた5回。右ジャブから左ストレートが多田の顔面にヒット。一瞬、王者が棒立ちになる、あわやのシーンもあった。9回を終え、判定なら多田の勝利は濃厚の状況。最終回の10回開始前は「倒す!」と宣言しコーナーを飛び出し、のるかそるかの打ち合いを演じた。 福岡の実家には茶室があるという。祖母が茶道・表千家の先生なのだそうだが、孫は子供のころからお茶にもピアノにも、女の子らしい習い事には見向きもしなかった。夢中になったのが、スキーとボクシング。アルペンスキーではインターハイと国体にも出た。この日、福岡から応援に駆けつけた両親は、ともに警察官。“最強遺伝子”が一人娘の黒木の中に脈々と受け継がれている。 右まゆ付近をプックリと腫らした黒木は「悔しい。そして、恥ずかしい。冷静さを失い、パンチも大振りになった。でも、2年後、3年後を見ててください。その時は、多田さんに勝ちます。世界王者になるのが私の夢であり、家族の夢」とキッパリ。ボクサー・ゆうこりんの心は折れるどころか、一段と燃え盛っていた。 (竹下陽二) PR情報
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