日本−中国 2回裏2死二塁、先制の左前適時打を放ち、ベンチに向かい「バーン!」のポーズをする中田=ヤフオクドームで(佐藤哲紀撮影)
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◇WBC 中国戦 日本5−2中国
ため込んだストレスを吐き出した。2日のブラジル戦で出番のなかった中田が先制打を含む2安打。母・香織さんと兄・龍(りょう)さん夫妻も観戦した晴れ舞台。しかし、試合後の感謝の言葉は立浪打撃コーチに向けられた。
「ありがたいことに、ずっと付きっきりで教えてもらっている。僕にとっては雲の上の人。結果を残して喜ばせたい気持ちだった」
宮崎、大阪、そして福岡。侍ジャパンが集合してから、連日のようにマンツーマンでの指導を受けてきた。身ぶり、手ぶり。映像でのフォーム確認。二人三脚の歩みがターニングポイントを迎えたのは先月22日だ。
左足を高く上げる一本足からすり足への打撃改造。目的としたのは頭が突っ込む悪癖を修正だ。しかしそう簡単に結果は出ない。もがく。苦しむ。代表争いを乗り越え、たどり着いた1次ラウンド初戦。中田はグラウンドに立つことを許されなかった。
「試合に出ることができなかったのは、(左膝を直撃した)自打球のせいじゃなく、実力の問題だと思う。悔しかったです」。その気持ちをバットに込め、スタメンで起用した首脳陣の期待に応えた。
山本監督が声を弾ませる。「打ったね〜。先制点だよ! 本人もウズウズしていたんじゃないかな」。誰もが将来の日本球界を担う男と認めている。中田もその期待を背負う決意だ。「自分はもっともっとアピールしないと。ガムシャラにやっていきます」。ヤンチャな野球小僧は、真の侍へと進化しようとしている。(井上学)
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