勝利監督インタビューでファンの声援に応える山本監督(佐藤哲紀撮影)
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◇WBC 中国戦 日本5−2中国
引きつり気味だった前夜とは打って変わって、穏やかな顔になった。2次ラウンド進出を手元に引き寄せ、山本浩二監督(66)が安堵(あんど)の表情を浮かべた。
「きのうが非常に苦しい戦いだった。それに勝ったのがきょうの勝ちにつながった。2次の可能性が高くなったということで、安心じゃないけど…。とりあえず一つ一つ、それがこうなったんだと思う」
福岡ラウンド突破を確実にした白星。突破口を開いたのは山本監督がこだわり続けてきた武器だった。「あれは大きいよ。あのあたりで追加点がほしいところやからね。普通やったらサードゴロになってるところ。非常に大きいね」。ニンマリだったのが9番・松田の走塁だった。
試合を決定付ける4点を奪った5回。先頭の松田は平凡な三ゴロを放った。やや緩い打球。中国の三塁手の送球もやや遅かったが、松田の激走で内野安打に。これが猛攻の火付けとなった。
猪突(ちょとつ)猛進の松田を一喝したこともあった。2月26日の阪神戦(強化試合)で単独の三盗に失敗。「100%じゃないといっちゃイカン!」。判断ミスをしかった。この日も「あのマッチーの盗塁、な」と、よく覚えていた。
同時に、先の塁を狙うアグレッシブさも認めていた。「スキを突いた走塁やったな」。そうほめたのが、一塁激走の後の好走塁。二進後、捕手が投球を少しそらす間に三塁を陥れたのだ。
2回に先制のホームを踏んだ糸井も二盗を決めていた。山本監督は「走塁のスピードは守る側にとってはプレッシャーになる」と、走れる選手をそろえた。貧打がクローズアップされる中、足にはこだわり続けた。結果2連勝スタートだ。
キューバ戦は2次ラウンドに進出する1位と2位の順位決定戦となる可能性が高い。「1位通過か2位通過が変わってくるところだけど、それを意識していてはまずいと思う。キューバ戦は目いっぱい、いく」。結果を考えずに全力で走る。これも浩二流だ。 (生駒泰大)
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