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朝鮮学校補助金打ち切り表明の中、卒業式行われる「在日理解の懸け橋に」/神奈川

2013年3月4日

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 県内の在日コリアンが学ぶ神奈川朝鮮中高級学校(横浜市神奈川区)で3日、高校部の卒業式があった。朝鮮学校をめぐっては、北朝鮮の核実験後、黒岩祐治知事が補助金打ち切りを表明した。卒業生の男性(18)は「学ぶ権利が認められず心残り。でも、理解される日はきっと来る」と前を向く。

 式典後の校庭。携帯電話を手に34人の卒業生で記念写真を撮り合った。「笑ったり、泣いたり。いっぱい青春しました」。少し誇らしげな笑みが、男性の顔に広がった。

 落胆の3年間でもあった。入学した年に始まった高校無償化の対象から外され、「日本の高校生と変わらない生活を送っているのに、なぜ」。卒業を目の前に、県の補助金打ち切りの知らせが届き、やるせなさは募った。

 それでも「日本の植民地支配に始まる在日の歴史が知られていないだけ。知れば理解してもらえる」。サッカー部でボールを追った日々。日本の学校の選手から「国へ帰れ」と暴言を浴びたこともあったが、ファウルで倒された相手に「大丈夫か」と手を差し伸べられた。「おまえ、うまいな」。男性は「敵とだって仲間になれる。スポーツから学んだことです」と話す。

 在日5世。先祖は日本で学ぶため、海を渡った。朝鮮半島が植民地支配される以前のこと。歴史を見渡せば、海を隔てた友好はむしろ長らく続いてきた。

 建築士を志し、この春から専門学校に進む。「立派な家を建て、日本社会と在日の懸け橋になりたい」。築半世紀余、風雪に耐えてきた校舎を振り返り、言った。「夢は、いつかこの学校を建て直すこと。そのためにも補助金は続けてほしい」

<解説>
 自治体による補助金打ち切りの流れは、朝鮮学校の高校無償化問題をめぐる国の動向に重なっている。

 制度が始まった2010年春、民主党政権は拉致問題に絡めて無償化適用を留保。1度は適用の方針が固まるが、同年10月、北朝鮮の韓国砲撃を受け審査はストップした。

 この間に、東京都や大阪府などは教育内容や学校運営に踏み込んで問題視。外交問題を持ち込んだ国の異例の対応が、朝鮮学校を例外的に扱う自治体の後ろ盾となった格好だ。

 今年2月には安倍政権が無償化除外を正式に決定。新たに13年度から支給停止を決めた広島、山口両県は国の決定自体を判断材料に挙げており、今後追随する自治体が広がるかが注目される。

 もっとも、現時点では補助金を続ける自治体が7割を占める。兵庫県は「交付要件を満たしている限り、止める理由はない」と説明する。判断基準はあくまで要件に合致しているか否か。政治・外交問題と切り離した対応は一貫しており、同じく補助を受けている外国人学校との公平性も守られている。

 こうした自治体の判断の根底には、日本で生まれ育った在日コリアンが学ぶ場を、北朝鮮の問題と結び付ける短絡への疑問がある。

 黒岩祐治知事自身、2月21日の県議会本会議の代表質問で「朝鮮学校と北朝鮮は違うという声は承知している。子どもに罪がないことも重々分かっている」と答弁した。それは、核実験を理由にした補助金停止は理にかなっていないと自ら認めているに等しい。

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