オキナワ2013:/5止 上大謝名自治会長・大城ちえ子さん

毎日新聞 2013年03月02日 東京夕刊

 ◇県民大会で心一つに

 「これが墜落事故を起こしているオスプレイか。ついに来てしまった」

 沖縄県宜野湾市の米軍普天間飛行場の南約400メートル、滑走路の延長線上に自宅がある大城ちえ子さん(59)は昨年10月1日、米軍垂直離着陸輸送機オスプレイを初めて自宅近くの公民館で見た時、思わずそう言った。

 それから5カ月になる。だが、ヘリコプターでも飛行機でもない機体は「不気味な生き物のようで」今も怖い。「ズーン、ズーン、ズーン」とも「バタバダバタ」とも聞こえる重く低い回転翼(ローター)の音も気味が悪い。

 夜間飛行には心底驚いた。回転翼を上に向けるヘリモードの時、回転翼の下にある緑色のライトが、リング状に光る。二つの緑の輪は、闇夜に光る左右一対の動物の目のようだ。

 配備前の昨年9月に宜野湾市であった配備反対を訴える県民大会には、大城さんの自治会住民はほぼ総出で参加した。会場に続く人の群れを見ると、仲間の多さに力強さを感じ、目が潤んだのを覚えている。大会開催で配備がなくなるとは思わなかったが、他に意思を示す有効な方法はなかったと思う。

 沖縄県民の要求を無視して、オスプレイは飛来してきた。無力を感じないわけではないが、あの県民大会で、沖縄は一つにまとまったと大城さんは思う。オスプレイだけでなく、普天間飛行場の名護市辺野古への移設反対も、沖縄の意思を示す時に「オール沖縄で」と表現されるようになったからだ。

 2月6日、飛行中のオスプレイから水筒が落ちたと報道された。米軍が説明する落下した場所は普天間飛行場の南西側。ひょっとすると自分の自宅に近いかもしれないが、水筒が見つかっておらず、実際にどこに落ちたのかは分からない。

 「たった一つの水筒で」と思われるかもしれない。でも事故には変わりないし、他の物が落ちてくるかもしれない。基地周辺に住む者は危険と隣り合わせだ。

 2月2日、安倍晋三首相が普天間飛行場を視察した時間帯に、オスプレイは飛ばなかった。首相の時だけではない。東京の政治家が視察に来る時、米軍機はあまり飛ばない。「これでは騒音被害は分かってもらえない」と大城さんは思う。

 安倍首相は視察から3週間後、オバマ米大統領との会談で普天間飛行場の名護市辺野古への早期移設に合意した。県外移設を求める沖縄の願いはまた無視された。【井本義親】=おわり

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