富山のニュース 【2月21日02時34分更新】

伊勢丹玄関復元に高岡銅器の技 新宿本店、鋳物メーカー2社
 東京の伊勢丹新宿本店が、開業した1933(昭和8)年の正面玄関を復元する作業に 高岡の二つの鋳物メーカーが貢献した。高田製作所が大型のドアハンドル、能作がシャン デリアを当時の意匠で製作した。新宿本店は現在改装中で、全面開業する3月6日に復元 された80年前の玄関が披露される。両社は伝統技術の粋を集めた玄関が高岡銅器の魅力 発信につながることを期待している。

 高田製作所が製作したのは、真ちゅう製の半円状ドアハンドル2枚。1枚の直径は1・ 15メートル、重さは60キロに達する。原型製造の嶋モデリング(高岡市)と協力し、 当時の写真か

ら細かな線の一本一本まで解析。クジャクやブドウをあしらった、華美なデザインをよみ がえらせた。小型のハンドルも製作した。

 能作が手掛けた青銅製のシャンデリアは、高さ3・3メートル、幅1・1メートル、重 さ800キロで、こちらも当時の写真を基に荘厳な雰囲気を再現した。着色などの作業に は高岡銅器の別業者が携わった。壁面に取り付けられていた照明器具も作った。

 新宿本店は昨年6月から店内の改装を開始。玄関の復元もその一環で「憧れの存在だっ た百貨店の再現」などの思いが込められている。三越伊勢丹ホールディングスによると、 装飾品は戦時中の1941年ごろに金属類回収令を受けて供出されたとされる。

 2社に仕事を発注したのは、それぞれ別の会社。偶然にも高岡銅器のメーカーに同じプ ロジェクトの仕事が寄せられたのは、高岡が有する技術力への信用を裏付けている。

 高田製作所の高田晃一常務は「多くの人に高岡の伝統技術を身近に感じてもらいたい」 とし、能作の能作克治社長は「高岡のPRになればいい」と話した。


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