クルーズ船 大きすぎ 舞鶴港、岸壁長さ不足 誘致に悩み
日本海側拠点港の舞鶴港(舞鶴市)へのクルーズ船誘致で、船の大型化に京都府や同市が頭を痛めている。運航会社は総トン数が10万トンを超える船をアジアへ次々に投入しているが、岸壁の長さ不足で舞鶴港には着岸できない船も出始めた。沖合停泊も検討するが海上自衛隊や海上保安庁の活動に支障が出る恐れもあり、妙案は浮かんでない。
■延長工事 多額費用必要に
舞鶴港は2011年11月、拠点港に選ばれ外航クルーズなどで国の支援が決まった。府や市の誘致活動で今年は2回、来年は5回、外国クルーズ船の寄港が決まった。
しかし、岸壁のサイズ不足という課題に直面する。中国人向けプランを強化する米国の船会社は近年、客1人あたりの料金を抑えるため巨大船の就航を進める。来年寄港するダイヤモンド・プリンセス(11万6千トン)は長さ290メートルだが、着岸する国際埠頭(ふとう)は280メートルしかない。府は新年度予算案で岸壁に船を固定する柱の増設費を計上したが、府港湾課は「これ以上のクラスは難しい」と話す。
府と市は、さらに大きい世界最大級の「ボイジャー・オブ・ザ・シーズ」(13万7千トン、長さ311メートル)の誘致に動いたが、昨年秋に舞鶴を視察した運航会社に「現状では着岸できない」と言われたという。
岸壁の延長工事は多額の費用がいるため、府は工夫で大型船を寄港させる方法を検討。沖合に停泊させて小型船で客を運んだり、国際埠頭の先の海中に船の固定柱を設けて延長不足を補う案も出た。しかし、停泊は他船の往来の支障になり、海自や海保の活動に影響が出る恐れもある。柱設置は将来の国際埠頭延長事業の邪魔になるとの声もある。
舞鶴港には延長約900メートルの海自岸壁があるが、府市とも「まさか、お願いできない」という。誘致活動を行う京都舞鶴港振興会の入江一郎理事は「大型クルーズ船の乗客は3千人を超え、経済効果は絶大。知恵を絞って誘致に支障の出ないようにしたい」としている。
【 2013年02月19日 09時20分 】