ホッとニュース 【12月8日03時07分更新】

「波の花」予報を休止 輪島市、問い合わせ減で経費削る

海岸に出現した波の花=10月、輪島市町野町曽々木
 輪島市は7日までに、日本気象協会に委託して独自に発表してきた、能登半島の冬の風 物詩「波の花」の発生予報を今冬から休止することを決めた。経費節減の荒波が、観光客 や市民に親しまれた恒例の予報に及んだ格好だ。一方で、市は13年間の予報で「波の花 」の知名度が十分上がったことを挙げ、「誘客促進など当初の目的は果たした」(観光課 )としている。

 波の花は、冬の能登半島の外浦側に現れる。輪島市では、曽々木海岸の窓岩や垂水の滝 付近が絶景ポイントとして知られ、今季は10月下旬ごろから海が荒れた日に見られるよ うになった。

 輪島市独自の予報は1997(平成9)年に始まり、シーズンに入ると、波の高さや風 速、気温などから発生状況を「大」「中」「小」「なし」の4段階で発表。市ホームペー ジ、市役所と道の駅輪島ふらっと訪夢(ほうむ)の掲示板で知らせていた。ただ、インタ ーネット社会の進展による情報源の多様化で、観光客からの問い合わせは年々減っていた 。

 日本気象協会への委託料は年間8万円程度だが、市は財政環境が逼迫(ひっぱく)する 中、一定の成果を得たと判断し、今季の休止を決めた。来年度以降も予算計上を見送る方 針だ。

 当初、目的の一つとした「波の花が発生する条件の分析」という点では、風速や波高の データが得られた。加えて、市によると、近年は「正確な日数は把握していないが、地球 温暖化の影響か、波の花の発生日は減っている」という。こうした環境の変化も予報休止 の判断材料となった。

 今後の観光客の問い合わせに対して市は、波の花のポイントである曽々木観光協会で情 報提供できないかどうか検討するという。

●波の花 日本海に寒風が吹き荒れると、岩場に打ち付けられる海中プランクトンが泡状 になり、花のように空中に舞い上がる現象。風速13メートル以上、波高4メートル以上 で発生しやすい。


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