東日本大震災と東京電力福島第一原発事故からもうすぐ2年。埼玉県朝霞市教育委員会は新年度から独自に市立全15小中学校で放射線から身を守るための授業を展開する。「万が一、事故が起きても自分の身を自分で守れる人間になってほしい」という願いがこもる。
■線量の変化、教室で実演
朝霞第二中学校の理科教諭内田隆さんが放射線測定器を使い、教室内の数値を測定する。テレビの画面に「0・063〜0・071(毎時マイクロシーベルト)」が映し出されると、内田教諭は市が除染対策を行う判断基準値の毎時0・19マイクロシーベルト以下だと説明し、「この教室は安全に生活できる」と宣言した。
昨年11月、同中3年3組で開かれた放射線の授業研究会のひとコマだ。教室の後ろでは、他校の校長ら約20人も授業を見守った。
続けて、内田教諭はこう切り出した。「放射性物質、買ってきました」。取り出したのは、ガスランプに発光体を作るマントル。測定器を近づけると、値は0・298から0・435まで上がり続けた。
「さえぎる方法はないだろうか?」。コピー用紙やアルミホイル、鉛……。厚さも1ミリ、5ミリと変えて遮り、値の変化を追う。放射線と性質が似る光も参考に、マントルとの距離を1センチ、3センチと離して測定。物質や厚さによって放射線を遮れることや、距離を遠ざければ、放射線量が下がることを実演してみせた。
※Twitterのサービスが混み合っている時など、ツイートが表示されない場合もあります。
朝日新聞社会部