北朝鮮核実験:日本、独自制裁を即断
毎日新聞 2013年02月12日 23時34分
北朝鮮の核実験について、日本政府は11日夜に米政府から「近いうちに行われる」と通報を受け、12日以降の実施を警戒していた。核実験自体は「いずれやるだろう」(日本政府高官)とみており、核実験の地震波を検知後は安倍晋三首相や関係閣僚があらかじめ準備していた対応方針を確認。菅義偉官房長官は午後の記者会見を前倒しして日本の独自制裁をいちはやく発表し、安倍政権の「看板」である対北朝鮮政策で強硬・迅速な対応をアピールした。
◇首相、看板の「強硬」
今回の独自制裁は、朝鮮総連の議長らトップ4人に限っていた北朝鮮渡航後の再入国禁止を、総連幹部である副議長5人にも拡大するもの。国連安全保障理事会は1月の決議で、北朝鮮が核実験を行えば「さらなる行動に出る」と警告しており、日本政府は「安保理決議が1カ月やそこらで簡単に踏みにじられ、放置できない。きちんと対応しなければいけない」(政府関係者)と判断。安保理の協議を待たずに独自制裁の発表に踏み切った。
外務省は米韓両国に加えてロシアとも連絡を取り、旧正月休暇中の中国とも大使館ルートで接触。安保理の追加制裁などで足並みをそろえるため、岸田文雄外相が米国のケリー国務長官、韓国の金星煥(キムソンファン)外交通商相と12日夜に電話で協議するなど、連携を急いでいる。
さらに首相官邸は、安保理と北朝鮮双方の対応をにらみつつ、追加の金融制裁も検討している。菅官房長官は会見で「あらゆる(追加)制裁を考えている。金融関係など、まだいろいろあると思う」と強調。自民党の関係議員も12日の会合で、北朝鮮を「テロ支援国家」に再指定して金融制裁などを強化するよう、米国に働きかける▽北朝鮮への渡航者が持ち出す金額と送金について、届け出上限の引き下げと、年間の上限の設定−−などの厳しい措置を取るよう決議し、官邸に申し入れた。
ただ、日本は過去2回の核実験を含めて段階的に対北制裁を強化してきたが、今回も核実験を制止できなかった。このため政府内で「効果的な制裁はあまり残っていない。日本だけでやれることは限られている」(高官)との指摘も出ている。