長期避難の課題を議論 伊達でICRP対話集会
東京電力福島第一原発事故を受けた国際放射線防護委員会(ICRP)の対話集会「ダイアログセミナー」は2日、伊達市の保原市民センターで始まった。避難が長期化している現状を踏まえ、「帰還」をテーマに3日まで開く。
ICRP委員や国内外の各機関・団体の関係者、県外避難者ら約60人が出席した。初日は医療や教育など各分野の専門家による事例発表などを行った。
東大大学院理学系研究科の早野龍五教授は、県民約5万人の内部被ばく調査や、各市町村の給食の放射性物質検査の分析結果を報告。早野教授は「一般的な生活を送る県民で内部被ばくが高い人は皆無で、給食一キロに含まれる放射性セシウムは1ベクレルを下回っている。避難者らに被ばくの実態を分かりやすく伝えることが大切だ」と訴えた。
福島民報社の早川正也報道部長は帰還時の社会基盤の確保や町外コミュニティー(仮の町)の設置など、避難生活を送る住民を取り巻く課題を解説した。
討論では、出席した避難者から「放射線量が高く除染が進んでいない」「常磐線などの社会基盤が復旧していない」など帰還への不安が示された。ICRPのジャック・ロシャール委員は「帰還は複雑な問題であり迷うのは当然。時間をかけて解決法を探る必要がある」と述べた。
最終日の3日は県外避難者の現状報告や討論がある。
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