昨年暮れ、私は元極左の活動家から、絶対に名前を公表しないことを条件に次のことを打ち明けられた。
「20年ほど前、県内の左翼活動家が本島の山岳地帯に集められて、対米軍基地テロ訓練を受けた。指導員の中には、明らかに中国語を話すものがいた」
この事実は、公安当局も把握しているはずだ。
最近、沖縄における米軍基地反対運動は市民運動の域を越えている。「中国軍の三戦(世論戦・心理戦・法律戦=2012年版防衛白書より)」を実践するかのように、巧妙に統制がとれている。これで爆発物が使用されれば明らかにテロの域に達する。
一方、彼らの活動の焦点は、米軍普天間飛行場封鎖と新型輸送機「オスプレイ」の配備阻止に集中している。われわれ、元軍人(海自士官)からみれば、その目的は一目瞭然である。島嶼(とうしょ)奪還戦の切り札、米海兵隊の撤退、または無力化にあるのだ。
現在、中国民兵または人民解放軍による沖縄県・尖閣諸島上陸の可能性は日に日に高まっている。万が一、彼らが上陸すれば、直ちに反撃して奪還しなければならない。尖閣に対空ミサイルなどを敷設されると、奪還に要する負担は一挙に10倍以上に跳ね上がる。
従来の海兵隊主力ヘリCH46は、作戦行動半径が170キロ、長崎県・佐世保を母港とする揚陸強襲艦に搭載して尖閣沖に向かうには最短でも10日を要する。一方、オスプレイは、行動半径600キロ、約50分で普天間飛行場から尖閣に直行して帰還できるのである。また仮に朝鮮半島で有事が発生しても、オスプレイであれば速やかに対応できるのだ。
普天間飛行場は国連指定基地である。日本国民はこの機能を理解していないが、朝鮮半島有事をにらんでいるのだ。もしも、北朝鮮が停戦協定を破って南下すれば、米軍は日本政府との事前協議なしに核を持ち込めるのみか、戦闘地域に直接兵力を投入できる。
そのような臨戦態勢の基地を、民間団体が約1日封鎖したということは、米国への宣戦布告に等しいのである。しかも、沖縄県警への反対派排除の要請は本来、行政官である沖縄県知事が行うべきであったが、仲井真弘多知事は一切対応しなかった。
普天間飛行場の進入路付近で、反対派がたこや風船を揚げる行為が恒常化しているが、最近、飛行場のフェンスに廃品やゴミを貼り付けて嫌がらせも行っている。
近隣に住む市民たちが見かねてクリーン作業を行ったところ、触れれば指先を切り裂けるように、ガラス片やカミソリがテープで巧妙に仕掛けられていた。また、傾斜地のフェンスには、触れれば岩が落下する巧妙な仕掛けが施されていた。
たこや風船を揚げるのは、航空危険行為処罰法違反、フェンスの仕掛けでけが人が出れば傷害罪に抵触する可能性がある。基地反対運動は法律を無視して展開されている。
有事になれば、フェンスの各所で起爆または発火装置が施されることは火を見るより明らかである。=おわり
■惠隆之介(めぐみ・りゅうのすけ) 1954年、沖縄コザ市生まれ。78年、防衛大学校卒業、海上自衛隊幹部候補生学校、世界一周遠洋航海を経て、艦隊勤務。82年に2等海尉で退官し、銀行へ就職する。97年 米国国務省プログラムにて国際金融、国家戦略などを研修。現在、拓殖大学客員教授、八重山日報論説委員長。著書に「誰も語れなかった沖縄の真実」(WAC)など。3月中旬、「沖縄が中国になる日」(育鵬社)を緊急出版する。